米のとぎ汁をうやうやしく……。
米の研ぎ汁が、川、湖、海の水質汚染の原因のひとつになっているということを知ったのは、いまから15年ほど前だっただろうか。
ショックだった。
米は、なにからなにまで、重要な存在だと思いたかった。それなのに、水質汚染だなんて……ね。
思えば。
弥生時代に、この国に稲(作)が入ってきてからというもの、ひとはずっと米をといできた。おそらく、とぎ汁も大事に使われていたことだろう。いつの頃からか、とぎ汁を流し去るようになったところから、とぎ汁の不運がはじまるのだ。
実験によって、1合の米をとぐと、大さじ1杯のヌカが出ることがわかった。そうして1合の米を1カップの水でとぎ、そのとぎ汁をコップに入れて1日おくと、沈殿物ができるという。これが水の底にあつまりヘドロ化すると、川、湖、延いては海を汚染するモノになるというのだ。
しかし、米のとぎ汁自身に、どんな罪があるのか。
罪などありはしないばかりか、ほんとは大いなる力を秘めている。
ああでもない、こうでもないと考えこむなか、無洗米(とがずに炊く米)というのが登場した。なるほど、なるほど、と思った。
だけど。
農業を営む夫の両親は、昔ながらの米をつくりつづけていたし、
わたしのなかにある米のとぎ汁への思いというのもまた、絶ちがたいものだったのである。
とか言いながら。
ときどき、とぎ汁を遠く海に流してしまうようなこともある。
米をとぎながら、どんどんとぎ汁を流してしまう、という意味だ。
こんなことじゃ、いけないよね。
と、現在、家のなかでもっとも米のとぐことの多い、末娘とわたしは、一念発起。今年の夏ごろから、米のとぎ汁を使うシステムをつくった。米のとぎ汁を、2リットル入りの専用ペットボトルにためるのだ。
ためて、どうするか。
植物に与える。
大根や里芋の下茹でに使う(*)。
土鍋にとぎ汁を入れて煮、ひび割れを食い止める(*)。
身欠きにしんをつけておき、身をやわらかくする(*)。
——*印は、使用後、冷まして植物に与える。
以前は、米をといではとぎ汁を大きいボウルにうつしていたので、すぐに植物に与えてまわらなければならなかった。とぎ汁が余ったからといって、突然、大根を茹でたりという唐突なこともした。
専用ペットボトルへの貯蔵は、必要なときに必要な量のとぎ汁を使うことを可能にした。うふふ。
米のとぎ汁にはー、と叫びたい。
米のとぎ汁には、ビタミンB1、B2、脂質、でんぷん質といった栄養が、たっぷり含まれていますー。すごいんですー。うちの植物は、米のとぎ汁のおかげで、元気ですー。
冷蔵庫と壁のあいだの隙間に、
米のとぎ汁入りペットボトルを置いています。
ペットボトルにとぎ汁をうつすとき、
漏斗(じょうご)が必要になります。
台所の流しの下のとびらに、ほら、こんなふうに常備!
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