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profile:山本ふみこ
随筆家。1958年北海道生まれ。つれあい、娘3人、黒猫との、5人と1匹暮らし。ふだんの生活をさりげなく描いたエッセイで読者の支持を集める。著書に『片づけたがり』 『おいしい くふう たのしい くふう 』、『こぎれい、こざっぱり』、『人づきあい学習帖』、『親がしてやれることなんて、ほんの少し』(ともにオレンジページ)、『家族のさじかげん』(家の光協会)など。
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2008年2月

2008年2月26日 (火)

根拠は、どこに……でも、まあいいか。

 こと掃除に関して、わたしは、ほんとうに信用がない。
 家の者、とくに娘らに、言われる。
「ほんとに、掃除、きらいだよね」とか。
「掃除、下手だよね」とか。

 それでも、掃除らしいことを、ぎりぎりで——というのは、いい加減掃除しないと、という限界のちょいと手前で、の意——やるのは、わたしだ〜。
 わたしの掃除嫌い、掃除下手をいち早く見抜いた長女は、この家の掃除に関して、自分が責任をもたなければならない、と決心した。らしい。そこには、自分は掃除が嫌いではなく、掃除のセンスもある、との揺るがぬ自信がある。らしい。
 しかし、その根拠は、どこに……?
 まあ、いいか、と思う。
 ここは、自信を持たせておいて、せいぜい掃除をしてもらおうじゃあないの、と。
 とはいえ、彼女は、たいして掃除はしない。
 しないくせに、腕を腰に当て、ここ埃だらけ、とか、カーテン洗ったほうがいいんじゃないの? とか、言う。ドラマでしか見たことがない意地悪で、口うるさい姑みたいだ。
 まあ、昨年の4月、社会人になり、いろんな意味で人生駆出しの身。自分の家の掃除にまで気持ちも手もまわらないのは、わかる。わたしが、そうだった。
あのころ、駆出し時代には、まったく余裕がなかった。

 きのうのことだ。 
「きょうは休み。さて」
 と言って、長女は、いきなり髪をしばって耳の下から口にかけてをバンダナで覆うという、ものものしい拵(こしら)えであらわれた。
「スズキサンの掃除する」
 スズキサンとは、掃除機につけた名前である。
 こういうことを、居間のまんなかではじめるあたりに、エンターテイメント性を感じる。
 とりいだしましたる——、
 湯を入れたバケツ。古新聞紙。使い古しの歯ブラシ。ボロ布。重曹。

 その前にどっかとあぐらをかき、スズキサンのフィルター類を、スズキサンのダストケースからはずし、バケツの湯に浸して洗っていく。ふふん、と鼻歌まじりで。観察するともなく観察していると、たのしそうだ。
 ダストケース、フィルター類、パイプの先についているタービンブラシをすっかり洗い、ボロ布で拭って新聞紙の上に干していく。

 翌日のスズキサンは、快調そのもの。すいすいびゅんびゅん、ゴミや埃を吸いこんでいく。
 こういうことで、少しだけど、掃除が好きになる。びゅんびゅん、ぐいーん、とね。
 わたしにもダストケースみたいなものがあったとしたら、こんなふうに掃除してもらいたいものだなあ。嫉妬とか妬みのようなものはあまりないが、たとえば「怠けたがり」はかなりたまって、目詰まりを起こしているのじゃないだろうか。などと、思う。

Photo
乾燥ちゅうの、品々です。
これまた、居間に展示してあるかのごとく、
置いてあります。
恐れ入るしかないって感じ。

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2008年2月19日 (火)

小技を……。

 名刺入れが、くたびれてしまった。
 ずいぶん長く使ったもの……、仕方ないな。

 初めてお会いするおひとと、名刺を交換するという場面をいつも共にしてくれた革製の名刺入れ。社会人になって3つめの名刺入れだ。
 初代はジャラルミン製(アルミニウム合金)、2代目、3代目は革製だった。どれも、その年代ごとに、少し背伸びをしてもとめた記憶がある。
 さて、4代目は……どうするか。
 外出のついでに百貨店の客になり、見て歩く。
 洒落た名刺入れが、ならんでいる。
 背伸びはしたくないなあ、と思う。
 ここらでちょっと、小技をきかせたい。

 思いついて、たんすのひきだしの奥から、箱をとり出す。
 この箱には、子どもたちが母の日や、誕生日につくってくれた小物、小さい友だちが贈ってくれた手作りの品がしまってある。ただしまっているわけではない、ふさわしいときに飾ったり使ったりできるよう、ここで出番を待ってもらっている。
 少し前の拙著の帯に、「かわいい小物の写真をのせたいが……」と、デザイナー氏に相談をもちかけられたときにも、わたしは「よしきた」と言って、この箱のふたをあけたのだった。
 そうして、小さい友だち——当時はたしかに8歳だったが、いまは大学4年生になっている——が、「これ、ふんちゃん(わたしだ)に似せてつくったの」と言ってプレゼントしてくれた人形に登場してもらった。
 こんなふうに、ふたをあけるたび、胸にぽっと何かを灯らせてくれるような、そんな品品が、ここにはたくさんしまってある。

 箱のなかに、細い持ち手のついた小袋をみつけた。
 これ、誰がつくってくれたものだったかなあ。長女が小学校の低学年のころ、誕生日に贈ってくれたものだと思うが。
 これを、名刺入れとして使わせてもらおう。
 小技をきかせて。

  

Photo_2
これ、名刺入れとしては、かなり個性的でしょう?
でも、案外使いやすくて、おどろいています。
小さな持ち手は、スナップ付き。
いちどきに、たくさんの方と名刺交換するときなど、
バッグの持ち手に付けておくと、ごそごそ名刺入れを
探さずにすんで便利です。

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2008年2月12日 (火)

初体験、あんもち雑煮!

 2月3日 節分の豆まき。
    4日 立春。
    5日 おひな様を飾る。

 1年のなかで、もっとも大事で、ちょっと忙しい3日間。
 とくに、立春は「旧暦」を想う、貴重な日だ。
 旧暦では、立春を、新しい年のはじまりと考える。意味深く楽しく、過したい、という気持ちが募る。
 なにか特別なことがしたいなあ。
 そこへ。
「ね、あんもち雑煮食べてみませんか? わたし、作りますから」
 と、セイコチャンからの電話。
 ずーっと親しくしてきた上、彼女は近年、歩いて10数分のところに越してきてくれた。
 セイコチャンの故郷、四国は香川県。
「うちのお雑煮にはね、あんもちが入るんですよ」
 と、幾度となく聞かされてきた。
 お雑煮にあんこ? と、その味には想像も届いたためしがない。
 しかし、セイコチャンがいつも「あんもち雑煮」に対して愛情を抱いている様子に、いつか食べてみたい、と思うようにはなっていた。
「食べたい、食べたい。食べます」

「材料は、用意しておくから」
 と言うと、
「大根、にんじん、里芋、ごぼう、焼き豆腐。それと白味噌」
という返事。
「あんもちは、母が送ってくれますから」
 頭のなかに、根菜類と焼き豆腐、白味噌とあんこが、ぐるぐるまわりはじめる。やっぱり、想像できないや。
 セイコチャンは、うちにやって来るなり、
「白味噌は、もっと白いのじゃないと。ちょっと買ってきます」
 と言って、出かけてしまった。
 わたしは、昆布とかつお節でだしをとっておく。
 野菜も切っておくかな、と思っているところへ、西京味噌をかかえたセイコチャンがもどってきて、
「あ、野菜、待ってくださーい」
 野菜の切り方にも意味があるんだとか。

・大根、にんじんは、紅白の六方(東西南北と、天地の6)で、お祝いの意味
  ——薄い六角形に切る。
・里芋は、子孫が栄える
  ——大きめのものは半分に切ってから、小さいものはそのままの、薄切り。
・ごぼうは、お金
  ——薄い輪切り。
・ 焼き豆腐は食べやすい大きさに切る。
・ 根菜類は、すべて軽く下茹でしておく。
・ 鍋にだし汁(昆布とかつお節)を熱し、根菜類と焼き豆腐を加える。
 あんもちを入れて、白味噌を加えて味をととのえる。
※あんもちが硬くなっている場合は、一度熱湯につけてやわらかくする。
※ なかみは、家によってさまざまとのこと。ただし、あんもちは必須。

 さて、あんもち雑煮は——。
 やさしくて、ほの甘くて、深い味わいだった。
 椀のなかに、「願い」がこめられている。
 1年を元気に働ける強い力をつけ、息災に過せるように、との「願い」。
 お椀のなかの、白い汁のなかに沈んだごぼう(=お金)にしたって、いっぺんに何億円も当たる宝くじとか、ものすごい儲け話とかとは異なる、ちょうどいい実入りの象徴。
 いいな、こういうの。

 セイコチャン、ありがとう。
 旧暦の正月、あんもち雑煮のおかげで、あらためて、願えた。

 1年働き通せる健康を。
 いろんなことに感謝する気持ちを。
 ちょっとおいしいものを作る機会を。


Photo
あんもち。
なかのあんこは、上品な、甘過ぎない甘さでした。
子どもたちは、雑煮で食べるほか、これを軽く焼いたりして
食べるのも、たのしみにしているそうです。


Photo_2
あんもち雑煮。
いろいろ、こめられている味わい。

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2008年2月 5日 (火)

ヒントは、そこらじゅうに……うふ。

 美容院に行く。
 ここで、わたしは月に1度、髪を切ってもらい、染めてももらい、トリートメントというのをしてもらう。
 じつは、40歳代の半ばまで、髪は自分で切り、自分で染めていた。
 ショートヘアでこういう感じ、とイメージがはっきりしていたので、自分で切れる、となぜか、思いこんでいた。髪を切るのは好きだったし、でき上がったスタイルも自分ではわりあい、気に入っていた。
 うしろ? 鏡も見ずに、ざくざく切った。
 ほんとは、だいぶへんてこだったのだろうな。

 45歳になったとき、なぜ美容室に行くようになったか、はっきりとは憶えていないが、美容師の仕事に興味をもったからだったような気がする。ためしに行った美容室で、いきなりプロに出会ってしまった。技術はもちろん、仕事に対する姿勢が、プロフェッショナルだった。
 彼女の仕事を、しばらく眺めたい、と思った。
 アシスタントたち——ヘアデザイナーをめざし、目下勉強しながら、ヘアデザイナーの助手みたいな仕事をしている——も、勉強熱心で、目がおもしろい。活きのいい目をしているな、と思うアシスタントは、だんだん変化していく。
 ためしに……というつもりだったのに、この店で、わたしは、いろいろおしえられた。若いひとたちは、自分の考えや、興味というのを、ちょこちょこっと頭の上からふり注いでくれる。
「旅をしてきました」
「久しぶりに帰った故郷で、こんなことがありました」
「友だちの結婚式に行きました」
「こんな勉強をしました」
 ……などなど。
 そして気がつけば、もう5年間、毎月通っていた。

 ふり注いでもらうばかりでなく、たまには、自ら発見もする。
 ある日。
「イヤー・キャップをつけさせていただきます」
 髪を染める準備として、耳が染まってしまわないように、耳に小さなカバーをつけてもらったとき、ひらめく。
 あー、これ、プロセスチーズの切り口にぴったりだー。

 庶民的な、あの立方体のプロセスチーズが、好きだ。
 料理にも、よく使うので、切らさないように気をつけている。好きなのだが、困るのが、切り口。使うたび、ここをいちいちラップで包むのが、どうも具合がわるい。ラップも、いちどはがすとくっつきにくくなり、また新しいのを使うの? もったいないなあ、というような気分。
 美容室で使うイヤー・キャップ。これがあれば、チーズの切り口は、安泰だと思いついたわけ。
 斯斯しかじか。と、いうわけで、イヤー・キャップがほしいんだけど、どこで売ってるの?と、尋ねると、アシスタントの青年が、
「チーズの切り口に、イヤー・キャップ? おもしろ過ぎっすね」
 と笑う。
「でも買うとなると、おそらく少なくても50枚単位ということになりますよ。チーズのために2枚、さしあげます」
 と言って、そっと包んでくれた。
 以来、「チーズのカバーは、足りてますか? はい、補充分です」と、持ってきてくれる。うれし。

 関係ないふたつのものを頭のなかで結びつけるのに成功したときというのは、なかなかのものだ。
 美容室のほかにも。
 生け花展に行ったときにも、また、ひらめきが……。

  

Photo
プロセスチーズの切り口に、イヤー・キャップ。


Photo_2
「小さな生け花展」という、
「小さな花器に小さな花を生ける」を
テーマにした展覧会に行きました。
あ、とひらめきました。
うちに帰って、台所のひきだしの隅に束ねておいた「ねじりん棒」を
早速、生けてみました。
食器棚のなかに置いています。

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