食器棚のなかの、マトリョーシカ。
食器棚の下段に、いかした行列。
目に入るたび、しばし、みとれる。
いいなあ。
きれいだなあ。
なんのことはない、カレー粉の缶の行列なのだ。
だけど、これが、じつにいいんである。いい、というのは、行列としての面白さもだけど、中味との縁の深さ、つきあいの連続性にも感じている。
ずいぶん長いこと、お世話になってきた。その間(かん)、香辛料としての内容は少し進化しているのかもしれないが、容姿は変わらない(と、わたしは認識)。紅色に白ヌキの文字。フタははめ込みで、計量スプーンの柄とか、バタナイフで、くきっとはずしてあける。
そもそも、わたしのつくるカレー(カレーライス)の香辛料は、ほとんどこのカレー粉に、一手に引き受けてもらっている。カレーライスのほかにも、じゃがいものせん切りをいためるときに、ちょっとふりかけたり。フライの衣に混ぜこんだり。ピクルスの液に、加えたり。
そんなふうに大活躍のカレー粉なのに、これまで37g入りの缶しか手に入らなかった。37gなんてね、1回カレーライスつくって、ほか、ちょっとふりかければもうなくなる。
「あ、カレー粉きらした」
と駆けだして、近所でさがすと、もっと小さい20g入りの缶しかなかったりする。あるとき思いついて、食器棚の下段に、大きさのことなる2種類のカラの缶を飾ってみた。20g入りのと、37g入りのと。
こういう並びを、なぜだろう、すごく好きだ、と思う。
「アナタたちさ、しばらくそこで、そうしてて」
ある日、出先のスーパーマーケットをぶらついたとき、84g入りの缶を発見。この大きさ、容量は、ちょっと安心感をくれる。本来は、調味料を置く棚に置くところを、食器棚の下段の、仲間たちに並べて置いた。
「なんか、マトリョーシカ(※)みたいだね」
(※ロシアの木製の人形。大きさのことなる人形を入れ子式に人形の体内に納める)
最寄り駅のむこう側に、大好きなスーパーマーケットがある。
そこは、どう言ったらいいかな、洒落てないし、庶民の味方というような構えの店。でも、洒落てないところが洒落ている、かっこつけていないところがかっこいい、そんなスーパーマーケットなのだ。何より、実力がある。
ここで、みつけた、カレー粉の400g入り缶。
「84gから、一気に400g!?」
このときのわたしは、ああ、カレー粉を安心してたっぷり使えるとは思っていなくて、すっかり、マトリョーシカ気分(?)だ。
家に帰って、4缶ならべて、うっとりする。
カレー粉の缶マトリョーシカです。
じつは、業務用2Kg缶というのがあるそうなんですが、
これが四角い缶。
残念。四角じゃダメなんだよなあ……。
〈おまけのレシピ その1〉
■ドライカレー
材料(4人分/おかわりできます)
合挽肉……………………………………………………500g
にんにく(みじん切り)………………………………2片
玉ねぎ(みじん切り)…………………………………2個
にんじん(みじん切り)………………………………1本
しょうが(みじん切り)…………………………大さじ2
ピーマン(みじん切り)………………………………4個
サラダ油…………………………………………………適宜
カレー粉……………………………………………大さじ4
ソース(ウスターでも中濃でも)………………大さじ2
塩……………………………………………………小さじ2
こしょう…………………………………………………適宜
しょうゆ……………………………………………小さじ2
だし昆布……………………15cm(2つくらいに切っておく)
ベイリーフ………………………………………………2枚
トマトの水煮缶詰(かるく刻んでおくとよい)……1缶
ヨーグルト…………………………………………1カップ
プロセスチーズ(ころころに切る)………………3切れ
干しぶどう(みじん切り)………………………大さじ4
※野菜のみじん切りは、あらくていいのです。
わたしはフードプロセッサーで、ガーッと。
作り方
(1)なべにサラダ油を熱し、にんにくを炒める(中火)。
(2)玉ねぎ、にんじん、しょうがを加えて炒める。
(3)ピーマンを入れる。
(4)ここでちょっと強火にし、合挽肉を入れて炒める。
(5)中火にもどし、カレー粉の半量(大さじ2)、ソース、塩、こしょう、
しょうゆを加える。
(6)昆布とベイリーフを入れる。
(7)トマト、ヨーグルト、チーズを入れ、カレー粉の残りの半量を加える。
(8)干しぶどうを加える。
(9)30〜40分煮込み、ふたをしてしばらくおく。
※仕上げに生クリームを加えると、味がまあるくなる。
※このカレーは水を加えずに作ります。野菜やヨーグルトの水分で、濃度はいい感じにゆるみます。
〈おまけのレシピ その2〉
■細切りじゃがカレー炒め
材料(4人分)
じゃがいも……………………………………………………4個
サラダ油…………………………………………………大さじ1
塩、こしょう………………………………………………各適宜
カレー粉………………………………………………小さじ1/2
作り方
(1)じゃがいもは皮をむき、細いせん切りにして水にさらす。
(2)なべにサラダ油を熱して、水をよくよくきったじゃがいもを炒める。
(3)塩、こしょうする。
(4)カレー粉を加え、全体に混ぜる。
※少ししゃきしゃき感を残すと美味しいので、歯ごたえがあるうちに
火からおろすといいですよ。
| 固定リンク












コメント
山本ふみこです。
himawariさま
コメントありがとうございます。
毎日新聞のコラムを読んでくださっているとのこと。
うれしいです。
毎週のことなので、書きたいこと、書けそうなことを
ただ書いている感じですが、そんなふうに言っていただくと、
勇気百倍。
どんどん脱線しながら、つづけていきたいと思います。
オレンジページのブログも、よろしくお願いします。
おじぎ。
ふ
投稿 ふ | 2008年3月11日 (火) 13時36分
はじめまして。
感激

新聞連載の「山本さんちの台所」すごく面白くて、
すっかりファンになってしまいました
ブログを書かれてることをまったく知らなくて、
今日初めてこちらに、たどりつきました
お料理大好きなので、楽しく読ませていただきました。
カレーはいつもルーで作っていたので、缶のカレー粉
今度は使おうと思います
投稿 himawari37 | 2008年3月10日 (月) 08時37分
山本ふみこです。
マリリン様
コメントありがとうございます。
カレー粉には、お母様との想い出もあるんですね。
もしかしたら、わたしたちも、
誰かの想い出のごはんをつくってるのかもしれない……、
そう考えると、ちょっとときめきます。
ふ
投稿 ふ | 2008年3月10日 (月) 08時07分
山本ふみこです。
やっこ様
早速つくってみてくださって、うれしい!です。
このカレー、肉の脂も少ないし、野菜いっぱい。
なかなか健康的なカレーだと思うんですよね。
じゃがいも炒めも、食べてみてください。
これは、カレー粉のほか、シンプルな塩コショウ味も、
ソース味もいけます。
ふ
投稿 ふ | 2008年3月10日 (月) 08時03分
私もカレーが大好きです。子供の頃はカレー粉をふりかけ好みの味に作っていた母の姿を思い出しました。私が母になり手軽なカレールーを使う様になったのですが山本さんの本と出会い始めてカレー粉を使い作ったカレーライス。美味しかった事。ジャガイモの千切りも作りましたよ。これもグーでした。これからもレシピ楽しみにしています。
投稿 マリリン | 2008年3月 8日 (土) 18時49分
カレーおいしかったです。今度じゃがいも炒めも作ってみます。
投稿 やっこ | 2008年3月 8日 (土) 06時10分