オレンジページnet
このブログは、
『オレンジページnet』の
オリジナルブログです。

『オレンジページnet』はこちら>>
 
profile:山本ふみこ
随筆家。1958年北海道生まれ。つれあい、娘3人、黒猫との、5人と1匹暮らし。ふだんの生活をさりげなく描いたエッセイで読者の支持を集める。著書に『片づけたがり』 『おいしい くふう たのしい くふう 』、『こぎれい、こざっぱり』、『人づきあい学習帖』、『親がしてやれることなんて、ほんの少し』(ともにオレンジページ)、『家族のさじかげん』(家の光協会)など。
profile:山本さんの本
不便のねうち 不便のねうち
足りないくらいがおもしろい 足りないくらいがおもしろい
片づけたがり 片づけたがり
おいしい くふう たのしい くふう おいしい くふう たのしい くふう
こぎれい、こざっぱり こぎれい、こざっぱり
人づきあい学習帖 人づきあい学習帖
親がしてやれることなんて、ほんの少し 親がしてやれることなんて、ほんの少し
まないた手帖 まないた手帖
朝ごはんからはじまる 朝ごはんからはじまる
わたしの節約ノート わたしの節約ノート
おとな時間の、つくりかた おとな時間の、つくりかた
家族のさじかげん 家族のさじかげん
子どもと一緒に家のこと。 子どもと一緒に家のこと。
台所あいうえお 台所あいうえお
元気がでるふだんのごはん 元気がでるふだんのごはん
子どもと食べる毎日のごはん 子どもと食べる毎日のごはん
わたしの献立帖 わたしの献立帖
●こちらもおすすめ!
 『オレンジページ』のブログ
オレンジ進行中
オレンジページ定点観測
堤信子さんの文具びより (ときどき雑貨)
ワンツー☆スリーピース
からだの本ネット日誌
『花カレンダー』のブログ
オレンジページnet エディターズ・ボイス
オレンジページnet
『オレンジページnet』はこちら。

『オレンジページ』に関するご意見、お問い合わせはこちら。

« 卯月 ---暦日記 | トップページ | 片づけられない子どもだった……。〈1〉 »

2009年4月 7日 (火)

miketsu

 なーんでも、すぐ片づけたくなる。
 ためこまないで、捨てたい。

 思いついたことだけで仕事をしているように見えるかもしれないけれど、じつは、資料を携えてものを書くこともあるのだ。たとえば、1冊本を書くときにも、資料風のものがかさりと積まれる。本ができてしまうと、ありがたさでいっぱいになる。「ほんとに、ありがとう」と言って束を抱きしめておきながら、じつはもう処分したくなっている。
(不実な女たらしみたいだ)。
 このとき、このなかには、とっておいたほうがいいもの、つまり、のちのちまた助けになるものもあるだろうなあ、という認識があるには、ある。なのに、わたしは、とにかく一旦処分しよう、というこころになっている、断固。そうして、ほんとうに捨てるのだ。
 後日。
「ああ、あの資料がいまあったら、どんなに助かったことだろうか」
 と、頭を掻きむしりたくなるような事態に遭遇する。そう、「あのときの認識」は、かなりの確率で当たっているのだ。
 そんなことをくり返してなお、やはり、わたしは一斉処分に走ってしまう。
 そのときは、そのとき。また調べ直せばいいじゃないの、ね、ね、という具合。

 持ちものが少ないという理由だけで、片づけ上手、整理上手と言われるたび、それはちがう、と自分のなかで声がする。
 持つ能力がないのだ、つまるところ、とつよく思う。

 さすがにこのメモ、捨てたらまずいかなあ、というメモを手にしながら、友だちに相談。このひとのことは……、法律につよいオネーサン、という風に思ってもらえばいいだろう。
「そりゃ、捨てたらあかんでえ。ほとぼりがさめるまで、とっときいや」
(やっぱり……)。
「『未決』、『既決』いうて、法律用語にもあるがなあ、まあ、その場合やったら、まずは、有罪か無罪かがはっきりしているかどうか、が、ふたつのコトバの区別ということになるな」
 と、友だち。
 関西弁の記述があやしくなってきたから、つづきは、わたしが噛み砕いて書くことにして、と。ええと、ごくふつうに事務用語として使う場合は、「終わりました=既決」、「まだ=未決」くらいのちがいということになる。
 役場の机の上には、「既決」「未決」という箱がならんで置いてあるそうな。
 たとえば管理職のおひとの机の上にも、それがふたつならんでいて、部下は、持ってきた書類を「未決」のほうの箱に入れる。管理職のおひとは、それをとり上げて目を通し、「これなら、よし」と思ったら判子をついて、今度は「既決」の箱に入れる。ふたたび部下がやってきて、その「既決」の箱から、判子のついてある書類を持って行くというわけなのだそうだ。
 こういうことは、あたりまえのことなのかもしれないけれど、細細(ほそぼそ)と家内労働をしている身には、じつに新鮮でおもしろい。ほおお、とね。

「そういう『未決箱』を用意したらええよ。執行猶予期間をもうけて、入れておく。うちらの場合、『既決』の箱から書類を持ってってくれる部下なんかおらへんねやからな、『既決』になったもんは、自分で処分することになるんやけど」

 わたしが早速、以前頂戴した菓子の、立派な空き箱を出してきて、「未決箱」をつくったのは、言うまでもない。「未決箱」と書くと、ものものしいので、箱の側面に「miketsu」と書いて、貼りつけた。
 1枚、問題のメモを入れたのはいいが、ほかには何を入れたらいいだろう。ちょっと、わくわくする。

Blogillust040702

「miketsu」の箱をつくりながら、ふと、
『星の王子様』(サン・テグジュペリ作)を思いだしました。
そこに出てくるヒツジの絵みたいだなあ、と思って。



Blogillust040701
これは、オマケです。
「これ、こわくない?」
「キャンディが、なんでこわいものか」ですって?
     *
キャンディじゃないです。
前に目撃した、小へびが小鳥を……、
飲みこんだところです。

|

コメント

えぞももんがさま

わかります〜。
わたしもつい最近、だれかに、
同じこと、言いました。
「し、知らないよぉ」って。

(なんか、ばれてるような気がする)。

「笑わさりました」って、いいコトバですね。
初めて。

お返事、おそくなりました。
ごめんなさい。

投稿: ふ | 2009年4月10日 (金) 12時07分

「の」さま

わかります。
わたしね、何年かに一度、住所録をなくす癖が
あるんです。
でも、困ったことはないの。

つながりの不思議さですよね。
消えてしまったものもあるけれど、
それも、記憶のなかで光ったり。

貯めよう、
蓄えよう、
集めよう、なんて気持ちを超えた何かが、
あるような、ね。

気持ちのよい新年度を、「の」さまに。

投稿: ふ | 2009年4月 9日 (木) 19時05分

「ふ」さま

昨年の6月、パソコンがうんともすんとも言わなくなりました。
必要最低限の仕事のファイルだけはバックアップをとってあったのですが、
個人的なファイルや「あとから見るかも」ととってあったファイルはすべて
消えました・・・。

でも、全然困らなかったんです。
あ~、これだけあればいいんだって思いました。

部屋の中も同じかもしれないですよね。
なんだか外がいいお天気だと、お掃除や片付けをしたくなります。

投稿: 焼き海苔の の | 2009年4月 9日 (木) 15時17分

きんもくせいさま

ひととのあいだの
「いろいろ」を味わえると、いいのにね。
わたしはまだまだ。
まだまだだけどね、ひとつだけ、
「そっとしておく」というやり方もあるかなあ、と
気づいたことがあります。
時間をかける、というかね。
待つ、というかね。

またね。

佳い日を、きょう。

投稿: ふ | 2009年4月 9日 (木) 09時34分

フィりフヨンカさま

「そら」の話ですが。
繁るものを止めたいということは、
ありますね。

春は仕事が、たくさんです、ね。


投稿: ふ | 2009年4月 9日 (木) 09時30分

MIKIさま

苦労してまた集めたい、というような、
そんな気持ちもあるんでしょうかね。
身軽になりたい、身軽になりたい、と
思っています、気がつくとね。
「保存」と「想起」の能力に欠陥があるような
気もします。

「miketsu」と「ING」のちがいについては、
また、こんど。

ありがとうございます、コメント。
佳い日日を。

投稿: ふ | 2009年4月 9日 (木) 09時24分

ふみこ 様

ほんとうに 笑わさりました(北海道弁)

私も 同じです!!
なんでも かんでも処分したくなる
で、あとで後悔します。
そうなんです「あ~ あれが今あれば・・・」と!

先日も古くなったと思われる 靴を一斉在庫処分しました。
「あの 柔らかい皮の靴知らないか?」と主人に聞かれ 
知っていましたが「全然 知らない」と答えました 汗・・。

投稿: えぞももんが | 2009年4月 9日 (木) 09時21分

ふみこさま

miketsu箱、私も作ってみようかなあ、なんて思っていたら、友達のことを
思い出してしまいました。
その友達はとても大切なひとだったのですが、3年くらい前にいろいろあって、
なんだかこじれてしまい、今はよそよそしくなっています。
いつか、もう少し気持ちがほぐれるまで、心の中のmiketsu箱にしまって
おこうと思います。とりだして、元の場所に戻せる日が来るように・・・

いつも私事ばかりすみません・・・
いつもあたたかいお返事をありがとうごさいます!

投稿: きんもくせい | 2009年4月 8日 (水) 14時47分

ふみこさん こんにちは。

いよいよの嬉しい春本番!
桜に負けじと、いろんな木も花も草も競うようです。
おかげで春の庭で夕暮れまでカクトウしてます。

家の中の空。広くてなぁーんにもない空。
そうそう、空っぽの引き出しや空きスペースのことです。
これがあるといつでも「いらっしゃい。ここ空いてますよ」が言えて
なんだか安心なんです。
心や時間にも「そら」を持っていたいです。

私が子供だった頃「星の王子さま」に出会ってたら
「ゾウを飲み込んだヘビ」に見えたのかなぁ。
大人になってから読んだので、やっぱり「帽子」にしか見えなかったです。

時々逢いたくなる一冊です。

投稿: フィりフヨンカ | 2009年4月 8日 (水) 13時24分

こんにちは。
執筆に使った資料、私はず~っと捨てられません。
苦労して集めた物やいつか使うかも、、、と思うと捨てられません。
サクッと処分してしまう、、、ひとつの仕事が終わった!!!という区切りなのかなぁと思いました。次へ向かうための。
そういう潔さ、それが、こぎれいこざっぱり、ふみこ様の魅力なのかなぁとも。
「ingグッズ」を入れる袋、私も真似させてもらっていますが、重宝しています(ありがとうございます)。
で、、、このmiketsu箱とのちがいを知りたいなぁ、と思いました。

投稿: MIKI | 2009年4月 8日 (水) 10時35分

risyonさま

ちょっと怖いもの入れる箱なので、
わたしの「miketsu」は、ふたつき。
まだ、メモが1枚ぺらっと入っているだけ、ですが。

「miketsu」の箱の「その後」も、
報告しますっ。

いつも、どうもありがとうございます。
たのしい春を。

投稿: ふ | 2009年4月 8日 (水) 10時06分

はやし あい様

そうそう。
(共感の、そうそう、です)。

だんだん「捨てる」が怖くなってきて、
このごろは「持つ」に、ブレーキがかかります。
うっかりすると、知らないうちに持っちゃうでしょう。
相当力をこめて、戒めないと、と。

ねー。

投稿: ふ | 2009年4月 8日 (水) 10時02分

チャボさま

いらっしゃいませ。

うれしいコメントを、ありがとうございます。

わたしたちは、
「変わる」「終わる」「壊れる」みたいなことを、
とても怖れるけれど、それ、わるくないなあ、と、
思うようになってきました。
新しいことがはじまるっていうことだし、
浄化っていうことでもあるし、と。

ここに来てくださったことは、
新しいこと……。
ありがとう!ございます。

また、きっといらしてくださいね。
お待ちしています。
佳い春を。

投稿: ふ | 2009年4月 8日 (水) 09時56分

ゆかりんさま

時間に、大人も、子どももないと思うんです、
ほんとうはね。
おとな時間というのは、タイトルのマジック。
そうつけてもらったとき、
おとな時間って、何だろう……と思いました。
それでね、こういうところにたどり着きました。

自分の時間を、自分が生きる。

どうかな。

読んでいただいて、ありがとうございます。

投稿: ふ | 2009年4月 8日 (水) 09時52分

ふ さまへ

ふ さまの片付いたおうちは、やはり潔い「捨て」にあるのですね。

納得です。

miketsu箱。
なんか私にとっては、フタ付きの箱は、永遠に開かずの箱になりそうで危険です。
我が家用には、フタなしの箱でも考えてみます。

投稿: risyon | 2009年4月 8日 (水) 09時50分

ふみこさま

こんばんは。
わたしもすぐに捨てたくなる性分です。
miketsu箱いいですね。

松浦弥太郎さんがわからない言葉などを、miketsuのような箱に入れて時間があるときにまとめて調べたりすると書いていました。
わたしは未だ、ポストイットにかいておいて、手帳にはってとっておく形が多いです。
miketsu箱や弥太郎さんの箱みたいなもの、わたしも用意してみようかなあと思いました。

投稿: はやし あい | 2009年4月 7日 (火) 21時57分

ふみこ様

いつも、ふみこさんのご本やブログを楽しみにしています。
新しいご本、「おとな時間の、つくりかた」 読ませていただきました。

このご本の中の、ご友人との関わりについて書かれた部分は、
今、心にとても深く響いています。

というのは、これまでお付き合いを重ねてきた、
少し年長の方との関係が、近々変わりそうなんです。
関係に名前をつけるとすれば、友人から、上司と部下、という風に。
ちょっと心が乱れました。

でも、ふみこさんのご本を読んで思ったのです。
そうだ、誠実にその人の前に立っていればよいのだと。
この言葉をよく味わいながら、その方と関係を築いていこうと
思います。

私事を長く書き連ねてしまい、申し訳ありませんでした。
これからも、ふみこさんのお書きになるものを楽しみにしています。


投稿: チャボ | 2009年4月 7日 (火) 21時55分

ふみこさま
・・・もしかしたらウチは「未決」のものばかり???
だから、ち~っとも片付かないのかも!!
おまけに迷子のもの多し・・・(涙)
今、ちょっと忙しいからね、と言い訳ばかりです。

「大人じかん、あこがれるなあ」
と、しみじみご本を読みました。
けれど、「子どもとの時間」を、きっちり
楽しんだからこそ、後で「大人じかん」を楽しめるってもんですよね?
ヒィヒィいいながら、今を楽しもう。と思いました。

投稿: ゆかりん | 2009年4月 7日 (火) 21時03分

マドレーヌさま

もう一度、マドレーヌさんも中学生ですね。
おめでとう! ございます。

明日、忘れものしないでね。
あのね。
わたし、まんなかの子どものとき、
入学式の受付でわたすはずの何かを、
忘れたんです。
何だったかも忘れましたが、大事なもの。
緊張のあまり……。
うれしさのあまり……。

そういうこと、あるでしょう?

ほんとうに、おめでとうございます。

投稿: ふ | 2009年4月 7日 (火) 15時26分

ふみこさま

miketu箱、いいですねぇ。
私も作らねば…としみじみ思ったのでした。

先日のこと、実家の母がわが家にやってきて、新中学生!娘の部屋の大模様替え大会を手伝ってくれました。
来る前に電話で「ダンボール三つある?」と母。
これは一つは記念の品用、一つは捨てるもの用、そしてもう一つは迷っているもの用、それでどんどん仕分けをしていくわけです。
ほとんど私はノータッチで、母と娘が二人、部屋にこもって作業をしておりました。見違えるようにきれいになった娘の部屋!
いよいよ明日は入学式なのですよ。

投稿: マドレーヌ | 2009年4月 7日 (火) 15時11分

コメントを書く