オリQスペシャル後編★空と地のあいだで
ペンシルバニア州アーミッシュカントリーにお邪魔しておりますオリQ隊。胃袋方面はとりあえず満たしたものの、道端でお店番をしていた少女や、チーズを売ってくれたおじさんと束の間のおしゃべりの後、ますます「アーミッシュってどんな人たちなの?」と疑問が湧いてしまいました。
食べものを売る程度はいいけれど、外界との接触をできるだけ断ちたがるという彼ら。もちろんお店でも立ち入ったことは聞けません。しかし「教えてあげない」と言われると「う~知りたいッ!」と思ってしまうのがニンゲンの性(さが)。アーミッシュではない人々が経営する博物館があると聞き、さっそく駆けつけてみました。
こんなふうにアーミッシュをテーマにした博物館って一種の「経済的利用」と見ることも出来るけれど(ある意味、そうだけど)、アーミッシュの人々にとっては余計な詮索を交わすための価値もあるのかもしれません・・・世の中、オリQみたいに好奇心だらけのヒトがいっぱいいますからね。
ガイドさんによれば、アーミッシュの人々は食べものに関する宗教的規制はないのだとか。このことは後に訪れたアーミッシュ経営の自然食ストアで「梅干し」(←驚愕)を発見したとき、さらに裏付けられました。
ガイドの方から、アーミッシュの人々についていろいろ教わりました。
★「外とつながっているもの」がダメなので普通の電話は使えないけれど、バッテリーで動くものは許される。ゆえに携帯電話はオッケー
★税金は納めるけれど、失業者保険などは「施しを受けない」という精神により受け取らない。選挙権はあるけれど大統領選挙などには投票しない
★16歳くらいになると、外の世界を見るための「冒険」が許される。でも外へ見学に行っても、多くの若者は戻ってくる
★装飾を嫌うのでボタンは御法度。男性のシャツには許されるけれど、女性の衣服には一切使わない。女性の服は縫い針みたいなピンで留める(まちがえて刺しちゃったら痛そう!)・・・と厳格なようでいて「天然素材以外ダメ」なんてことはなく、化繊も大いにけっこう、なのだそう。
ガイドさんも「彼らの流儀には、こちらから見て法則性がわからないものもあります」と言っていました。「でも何より、彼らの宗教的信念から来る献身には、敬意を抱かずにいられません」とも。
4冊に分かれ36ページまであるこの新聞。当然写真なし、文字のみ。典型的な記事は・・・
「ポートワシントン。○月×日。今朝はにわか雨が降り暖かい。ホウレンソウと春葱が食卓をにぎわす。ソノラ地区のA・J・シュワルツェントルーバーが、両親のシュワルツェントルーバー夫妻を訪ねている。先週弟が結婚したそうだ」
「ダンヴィル。×月○日。涼しいけれど晴れた朝。ルバーブは食べごろ。ホシムクドリたちは忙しく巣を作っている。苺の花が満開で、キノコも見つけた。ヨーダー神父とラーベル司教が日曜日、N・シュタッツマンの教会にいらっしゃった」
「いぼの取り方教えます」とか「チェリー・プディング・ケーキ」のレシピ、訃報欄、また詩(かなり宗教色が濃い)や子供の絵のコーナーもあります。でも国際政治や経済記事もなければ殺人事件もない。社説もありません。基本は各地のアーミッシュから寄せられた「ニュース」で、たいていはお天気の話からはじまり、農作物のようす、だれとだれが訪ねてきたか、どこの家で教会の礼拝があったか、など。共同体の人々にとっていちばんの関心の的は、空と地の出来事と、みんなのつつがない暮らしのようす。
なんだかいいなあ。確かに高速で広域に連絡が取れるインターネットのおかげで、こうして世界中の方々と瞬時におしゃべりができる。でも、自分の中の意識の持ちようとして、彼らをちょっぴり見習いたくなりました。
わたしたちが日常見るニュースや広告を通して意識する世界は、大事件やセレブや漠然とした予測や不安や専門家の意見に満ちている。それは自分には手の届かない世界、でも大事件やセレブや専門家の世界はまるで世界の「中心」に思えてしまうから、ついつい「あそこに届かなければ」と焦ってしまう。
でもね、わたしたちみんな、「自分がいまいる、この場所」にいるんだもの! そういえばアーミッシュの子供たち、みんな裸足で気持ち良さそうだった。わたしもときどき草の上で裸足になってみたら、「自分がいまいる、この場所」に気持ちごと戻ってこられるかもしれない。
さてみなさま、楽しくおしゃべりさせていただいた本欄も、これが最終回。ほんとうにありがとうございました。はじめた当初はこんなにたくさんの方々と、こんなふうに親しくおしゃべりできるなんて思ってもみませんでした!
そして、お引っ越し先ですが・・・友人が主宰するブログ村、というものにお招きいただきまして、こちら「空色庵」www.sorairoan.com に新居を定めようと思います。7月中に立ち上げなのでわたしの「部屋」はまだ決まっていないのですが、上記URLを7月後半あたりに覗いてみてくださいまし。
両手いっぱいの「ありがとう」と「See you soon!!」をこめて。
渡辺葉
★「渡辺葉 普段着のニューヨーク」は今回で最終回です。
これまで楽しみに読んでくださったみなさま、
ありがとうございました。
























































































































































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