2009年6月26日 (金)

オリQスペシャル後編★空と地のあいだで

 ペンシルバニア州アーミッシュカントリーにお邪魔しておりますオリQ隊。胃袋方面はとりあえず満たしたものの、道端でお店番をしていた少女や、チーズを売ってくれたおじさんと束の間のおしゃべりの後、ますます「アーミッシュってどんな人たちなの?」と疑問が湧いてしまいました。

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そんなん聞かれても知らんモ~

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知らんメェ~

 食べものを売る程度はいいけれど、外界との接触をできるだけ断ちたがるという彼ら。もちろんお店でも立ち入ったことは聞けません。しかし「教えてあげない」と言われると「う~知りたいッ!」と思ってしまうのがニンゲンの性(さが)。アーミッシュではない人々が経営する博物館があると聞き、さっそく駆けつけてみました。

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途中、こんな風景とすれ違う。

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危険を避けるためこんな標識も完備

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アーミッシュの人々は偶像崇拝を避けるばかりか、教会も持たない。ので、持ち回りで「おうち教会」を開くそうです。ここはそのための部屋。

 こんなふうにアーミッシュをテーマにした博物館って一種の「経済的利用」と見ることも出来るけれど(ある意味、そうだけど)、アーミッシュの人々にとっては余計な詮索を交わすための価値もあるのかもしれません・・・世の中、オリQみたいに好奇心だらけのヒトがいっぱいいますからね。

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こちらはキッチン。「外とつながっているもの」が御法度だそうで、コンロはプロパンガス。屋台で売っているおいしいパイも、こんなオーブンで焼くのかな

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カウンターの上にさりげなく置かれた、いかにもフツーな箱入り食品に驚きましたが・・・

 ガイドさんによれば、アーミッシュの人々は食べものに関する宗教的規制はないのだとか。このことは後に訪れたアーミッシュ経営の自然食ストアで「梅干し」(←驚愕)を発見したとき、さらに裏付けられました。

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室内の明かりは基本的にオイルランプ。

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妙に長いゆりかご。両端にひとりずつ寝かせられる「双子御用達」だったりして!?

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糸繰り機&足踏みミシン。洋服はほとんど自家製だそう

 ガイドの方から、アーミッシュの人々についていろいろ教わりました。
 ★「外とつながっているもの」がダメなので普通の電話は使えないけれど、バッテリーで動くものは許される。ゆえに携帯電話はオッケー
 ★税金は納めるけれど、失業者保険などは「施しを受けない」という精神により受け取らない。選挙権はあるけれど大統領選挙などには投票しない
 ★16歳くらいになると、外の世界を見るための「冒険」が許される。でも外へ見学に行っても、多くの若者は戻ってくる
 ★装飾を嫌うのでボタンは御法度。男性のシャツには許されるけれど、女性の衣服には一切使わない。女性の服は縫い針みたいなピンで留める(まちがえて刺しちゃったら痛そう!)・・・と厳格なようでいて「天然素材以外ダメ」なんてことはなく、化繊も大いにけっこう、なのだそう。
 ガイドさんも「彼らの流儀には、こちらから見て法則性がわからないものもあります」と言っていました。「でも何より、彼らの宗教的信念から来る献身には、敬意を抱かずにいられません」とも。

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で、博物館の売店でアーミッシュの新聞を買ってみました。

 4冊に分かれ36ページまであるこの新聞。当然写真なし、文字のみ。典型的な記事は・・・
 「ポートワシントン。○月×日。今朝はにわか雨が降り暖かい。ホウレンソウと春葱が食卓をにぎわす。ソノラ地区のA・J・シュワルツェントルーバーが、両親のシュワルツェントルーバー夫妻を訪ねている。先週弟が結婚したそうだ」
 「ダンヴィル。×月○日。涼しいけれど晴れた朝。ルバーブは食べごろ。ホシムクドリたちは忙しく巣を作っている。苺の花が満開で、キノコも見つけた。ヨーダー神父とラーベル司教が日曜日、N・シュタッツマンの教会にいらっしゃった」

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たぶんこんな家に住むだれかが、

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こんな風景を見ながら書いたもの。

 「いぼの取り方教えます」とか「チェリー・プディング・ケーキ」のレシピ、訃報欄、また詩(かなり宗教色が濃い)や子供の絵のコーナーもあります。でも国際政治や経済記事もなければ殺人事件もない。社説もありません。基本は各地のアーミッシュから寄せられた「ニュース」で、たいていはお天気の話からはじまり、農作物のようす、だれとだれが訪ねてきたか、どこの家で教会の礼拝があったか、など。共同体の人々にとっていちばんの関心の的は、空と地の出来事と、みんなのつつがない暮らしのようす。

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青や白やグレイや、そしてたくさんの光を含んだ空を眺めながら。

 なんだかいいなあ。確かに高速で広域に連絡が取れるインターネットのおかげで、こうして世界中の方々と瞬時におしゃべりができる。でも、自分の中の意識の持ちようとして、彼らをちょっぴり見習いたくなりました。
 わたしたちが日常見るニュースや広告を通して意識する世界は、大事件やセレブや漠然とした予測や不安や専門家の意見に満ちている。それは自分には手の届かない世界、でも大事件やセレブや専門家の世界はまるで世界の「中心」に思えてしまうから、ついつい「あそこに届かなければ」と焦ってしまう。
 でもね、わたしたちみんな、「自分がいまいる、この場所」にいるんだもの! そういえばアーミッシュの子供たち、みんな裸足で気持ち良さそうだった。わたしもときどき草の上で裸足になってみたら、「自分がいまいる、この場所」に気持ちごと戻ってこられるかもしれない。

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風車は高みで、風をとらえる。

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乾燥機はないから、アーミッシュのおうちではどこも洗濯物がパタパタ。

 さてみなさま、楽しくおしゃべりさせていただいた本欄も、これが最終回。ほんとうにありがとうございました。はじめた当初はこんなにたくさんの方々と、こんなふうに親しくおしゃべりできるなんて思ってもみませんでした!
 そして、お引っ越し先ですが・・・友人が主宰するブログ村、というものにお招きいただきまして、こちら「空色庵」www.sorairoan.com に新居を定めようと思います。7月中に立ち上げなのでわたしの「部屋」はまだ決まっていないのですが、上記URLを7月後半あたりに覗いてみてくださいまし。

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(おまけ)ニャニャムジカ姫も元気ですよ~! このごろ運動不足なので、セントラルパークにおでかけしてみました。

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「みにゃしゃん、またすぐにお会いしますニャ♪」

 両手いっぱいの「ありがとう」と「See you soon!!」をこめて。

 渡辺葉

 

★「渡辺葉 普段着のニューヨーク」は今回で最終回です。
これまで楽しみに読んでくださったみなさま、
ありがとうございました。

2009年6月19日 (金)

オリQスペシャル前編★馬車は西をめざす

 「西をめざしましょう」とヨシコさんは言うのです。「旅立ちましょう。時が緩やかに流れる国へ・・・」
 いや、そうは言わなかったかもしれない。エート正確には「アーミッシュ・カントリーに行きましょう」って誘ってくれたんでしたねヨシコさん(ヨシコさんのブログにも同時進行報告しています)!  
 本ブログの名物コーナー、オリQシリーズ。“オリエント急行”のニューヨーク庶民版としてはじまりましたが、とにかく好奇心の赴くまま、近くて遠いところに行くのです。それ~っ

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ヨシコさんの幌馬車でまっしぐら。それは自動車だろうって? いいの、気分は馬車なのっ

  周囲はどんどん瑞々しい緑に囲まれてゆきます。渋滞もなくスイスイと2時間ほど行くと。

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ああ、豊かな風景が見えてきましたよ!

 ところでアーミッシュってどんな人たち?
 うんとシンプルに言えば、信仰心と共同体を重んじ絶対平和を貫くキリスト教の再洗礼派の人々。スイスに暮らし、のちドイツに移住したものの、迫害を受けて渡米したようです。アメリカではペンシルバニアとオハイオ、カナダの一部にコミュニティがあり、農業や手工業を営み生活しているのだとか。
 アーミッシュといえば「牧場」のイメージ。オリQ隊の心はすっかり牧歌的風景に染まっています。曰く、
 「生みたての卵」
 「搾りたてのミルク」
 「そのミルクで作ったバターやチーズ」
 「採りたての野菜とくだもの」
 ああ、ああ!

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「で、ワシらが何か?」

 足をバタつかせながら、ヨシコさんが印刷してくれた地図をもとに、まずはファーマーズマーケットへ。

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「手の中の鳥」というかわいい名前の村の、屋内マーケット

 ハム、チーズ、お土産などいろいろなお店が入っております。約半数の店舗はアーミッシュによる経営みたい。宗教上の理由により写真は歓迎しないそうなので、「このまぶたがシャッターだったら」などと述べつつ市場散策。

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こ、これは。ビーツ(蕪の一種)で着色してあるみたいです

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こんなお店がありました

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で、当然こうなる。しかしソーダは失敗! 傷口に塗る「赤チン」をサイダーで割ったらこうなる、という味(驚愕)!?

 うー、カプカプしておいしい! 写真には写っていませんが、実はお店の人はアーミッシュの方々なのです。亜麻色の髪をぴっちり真ん中で分け、白いオーガンジーのボンネットをかぶり、紺色のジャンパースカート(と呼ぶのか)をつけた女性たちが、昔アメリカのドラッグストアにあったようなカウンターにてホットドッグを売ってくれたんですよ!

 「しゃべったね」
 「うん、ふつうにしゃべった」
 オリQ隊、会話がちょっとバカっぽい!?

 しかしアーミッシュの主要言語は英語ではないのです。彼らが幼少時学ぶのはペンシルバニアダッチ(Deutschが訛ったもので、ペンシルバニアドイツ語とも呼ばれる)。ドイツ語よりも響きが柔らかく、英語もかなり混じっているそう。英語は就学年齢になってから習うみたいです。

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新鮮な苺&バニラアイスのストロベリー・シェイク。甘み控えめで大変よろしい

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この地域の中心らしく、いろんなお店があります。

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昔のアメリカ~な感じ。

 しかしですね、少し観光地化されているかもしれない。マーケットに置いてあるお土産も玉石混淆という印象をぬぐえません。アーミッシュ手作りキルトの横には「どうみてもメイドインチャイナ」なプラスチックの置物があったりして・・・

 オリQはこんなものでは満足しない! 我々もリッパに観光客ですがその辺は軽く無視して、もっとディープな体験を求めたいわけです。街道筋を離れ、アーミッシュ・カントリーの深淵へ!

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牧歌的風景の中、オリQ隊は進む。

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心がでっかくなります

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そして・・・干し草(HAY)を売っているところに感動

 しかし、モロに私道のような・・・いいんだろうか。へっぴり腰になりつつ、トラクターで通りがかったアーミッシュの人に聞いてみました。「た、たまごとかチーズとか、この辺で売ってるんでしょーか?」
 ほら、そこ、と言われて見ると、おお確かに小屋が! 
 出て来たおじさんはゴマシオの長髪にあごひげ、薄いブルーのシャツ+ダークカラーのズボン(パンツっていうべきじゃないと思う)にサスペンダー。アーミッシュ熟年の典型的ファッションのようです。
 「このチーズはどんな味なんですか?」
 なんて質問に答え、冷蔵庫からあれこれチーズを出して味見させてくれました。オリQ隊はおじさんの自家製チーズを買って大満足♪

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買い占めた品いろいろ(これは一部) 野菜も果物も新鮮で美味ナリ!!

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何気ない草花がホッとうれしい

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立ち寄った別の屋台で。5歳&4歳くらいの男の子がスイカを食べながらお母さんとお店番していました

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アーミッシュ経営のナチュラルフード店にて。デーツ(なつめやし)を見つけ喜ぶオリQ隊員

 裏道を抜けていくと、ひょこんと道端に屋台がありました。14歳くらいの少女と、妹らしき5歳くらいの女の子がお店番をしています。

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屋台のハニカミ少女から購入した品々。

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この「レモンスポンジパイ」がすごい絶品なのです!! パイ生地+レモンカスタード+その上の部分がなぜか「メロンパンの上のとこ」みたいなケーキ状になっている(驚愕)。このお店は Lapp’s Canned & Baked Goods, 3405 Old Phila Pike, Ronks, PA 17572 (ごめんなさい、99%オンライン販売はないと思うのですが・・・近くにいらした際にはぜひ!!)

 おいしすぎる素敵すぎる。食欲の大部分を満たしたものの、アーミッシュってどんな人たち? 興味は尽きません。次号では(部外者に許される限り)アーミッシュの人々の生活に触れたいと思います。

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そして初夏の草木は空に向って伸び、

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その空は高みで微笑んで・・・

 

★次回の更新は6月26日(金)予定です!

2009年6月12日 (金)

答えがすぐ、みつからなくても

 みなさま、空が眩しい季節ですね!

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ブロードウェイと72丁目の交差点で。

  こんな季節は空の色とか、樹々の梢で踊る太陽の光とか、どこからともなく香る花の匂いなんかに誘われて、つい上の方ばかりをポヤポヤ眺めて歩いてしまう。お酒が飲める年齢になる前から、夏っていつもどこか酔った気分になるナアなんて思っていたのですが、それは大気に満ちる光のなせる業かもしれません。

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だって見上げるとこんな面白い風景があるんだもの。

 さて今回は、久々に出会った「瞬間的に旅に連れていってくれる」本からお話をはじめたいと思います。

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それはこれ。アンリ・シャリエール著「パピヨン

 この本「パピヨン」は映画化されているので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。1931年に、自分は犯していない殺人の罪で「無期懲役の重労働」を課され、南米の仏領ギアナに送られる男パピヨン(胸に蝶の入れ墨があるのでついた渾名)。当時、彼は25歳。「ごろつき」の世界で生きていたものの、殺人を犯したことなどありませんでした(後に判明する、ある悪意に満ちた人物の虚偽の証言で殺人罪が決定)。この本はそんな彼が試み続けた自由への逃亡の物語。脱獄の、そして生きることへの希望の物語なのです。
 あらすじを書くなんて野暮な真似はいたしませんが、「じ、人生大変っス」と悲鳴をあげそうなときこれを読むと「お、俺が悪かったっス」と瞬間的に心を入れ替え、「がんばるっス!!」と気合いを入れてしまうこと請け合いです。そんでもってこのパピヨンがいい男なのですよ。自分が女性として出会ったら文句無しに惚れてしまうだろうし、自分が男性でも「兄ィ!!」と惚れてしまうだろうなぁ。この本の翻訳者がうらやましい・・・
 刑務所というテーマにワタクシが反応してしまうのは、以前訳した本が米国連邦刑務所に服役していた女性の自伝に基づく話だったからかもしれません。

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原題 “Sing Soft, Sing Loud” 邦訳「優しく歌って、高らかに歌って」 パトリシア・マッコネル著、徳間書店。

 いまから10年くらい前、ふと立ち寄った書店で、囚われの作家たちの選集を手に取りました。ほんの暇つぶしのつもりだったのです。ヘンリー・デヴィッド・ソローやマルコムXなど有名な“囚人作家”の作品も収められた中、ひときわ光る短編がありました。当時のワタクシは舞台役者をやっていたのですが、この短編を読んだ瞬間、「どうしても舞台化したい!」と思ってしまいました。そう思ったら目の前にどんどん舞台のイメージが湧いてきて・・・著者に連絡を取り、短編を舞台化する許可を得、はじめての脚本を書き、演出を手がけました。
 そんな中、「この作品、本当は一冊の本になっているの」と著者がこの本“Sing Soft, Sing Loud”を送ってくれたのです。それを読んだとき「翻訳したい!」と思いました。ワタクシのように無名のモノカキ&翻訳家にとって、一冊の本を書いたり翻訳したりという仕事を戴くのはなかなか大変なのですが、親切な編集者さんに助けられ、出版にこぎつけました。

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米国東部では圧倒的存在感を誇る大手チェーン書店、バーンズ&ノーブル。書店生き残り戦争が激化する中、奮闘しております。

 その間、現在70代になる著者とはいまでも交流が続いています。発行部数は少ないものの(もう絶版じゃないかな)、この本はワタクシにとっては大切な翻訳書籍となりました。

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人生どこでどんな出会いがあるかわかりませんね

 著者パトリシアとのやりとりの中で印象に残ったのは、刑務所という場所の「否応のなさ」でした。確かに、世の中にはあまりにも酷い犯罪が溢れていて・・・残忍な暴行や殺人事件に対しては、わたしも「できるかぎり最大限の刑を」と思ってしまう部分もあります(死刑に関しては疑問がありますが)。
 けれど、冤罪の場合もありますよね。たとえば17年もの間、犯していない罪で禁固されていた「足利事件」の菅家さん。検察に決めつけられ、暴力をふるわれて罪を認めろと強制されたようです。
 また、「その罪に対し、その懲罰は適切か」という問題もあります。私が知っている限られたエピソードの中でも、「ヒトがヒトを閉じ込め、罰する」という刑務所の形態の中には、信じがたいほどサディスティックで陰惨なものがあります・・・
 以前は法律って「社会の基盤であり、ガッチリとして動かせないもの。そして人々の叡智が集約された完璧なもの」と思っていました。でも、そう「あれかし」という意図の下に作られているものの、実際は法律って完璧じゃない。むしろ、人が集まって生きていく中に何らかの秩序や約束事を作ろうという、大昔から続いてきていまも続行中の、未完の試みではないかと思うのです。

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そのままならば「混沌」の世界に、正義や秩序という「形」を切り出そうとする試み・・・それが法の世界なのかもしれません。

 答えをみつけようとしてみんなが「うーんと」、「えーっと」と考えていく。でもあるいは、そこに厳然たる「答え」がないからこそいいのかもしれない。そんな気もします。

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夕暮れ前の一瞬、通りを太陽が染めて。

 さて、唐突なお知らせになってしまいましたが・・・そしてわたしにとっても悲しいお知らせなのですが、当ブログは6月末で一旦「おしまい」になります。オレンジページのネット版編集部が新しい編成になるので、コンテンツが今後いろいろ新しくなる予定なのです。コメント欄を通じてみなさまとおしゃべりができて、ひとつのコミュニティも育まれていて・・・ワタクシとしても残念でなりません。ごめんなさい。「ずっと続けて!」というみなさまのコメントは毎回本当に嬉しく、みなさまのお言葉を励みに毎回書いてまいりました。
 現在、「お引越し先」を検討中です。6月末の最終回までにわかったら、お知らせいたしますね。
 ここオレンジページのネット上でお会いできるのは、残り2回になってしまいました。でもね、次回はきっと「わ~☆」と思っていただけるネタをもう仕込んでいますからね。どうぞお楽しみに!! 
 いつも変わらない、心からの感謝をこめて。

 

★次回の更新は6月19日(金)予定です!

2009年6月 5日 (金)

通勤2009

 みなさま! 朝ですよ!! オ・ハ・ヨー、オハヨオハヨ♪(←九官鳥風)
 え? 日本はまだ夜ですって? ヨーロッパは昼? そして火星では・・・
 まあいいじゃありませんか。今日はワタクシと一緒にニューヨークの朝を体験してみてくださいよ。なんせ、キツキツ超多忙な出張から帰ったばかりなのです。ブログネタがないのです(あ、自分で言っちゃった)。今回は出張話が書けるかなーと思っていたのですが、なにしろ自分の腑甲斐無さを反省しつつドタバタと走り回る、喩えてみればうさぎ跳びで皇居3周だぁオラオラー! とでも言うべき辛く苦しい旅だったので、そんなものは書けないのです。ゆえに本日は強引に、みなさまを、めくるめくニューヨーカー通勤の旅へご招待したいと思います!

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夏の朝、まず目に入るのはニューヨーク名物「屋根の貯水樽」。火星人的な風貌がなかなか素敵なのです

  みなさま、朝はすっきり起きられますか? ワタクシ本当はかなりの低血圧で、支度に3時間くらいかかることはしょっちゅうでした。しかし人間慣れれば慣れるものですね。キンローに励んでもうすぐ2年。いまでは6時半に起床し、頑張れば7時半に家を出られるようになりました。えっそんなの普通カナ!?

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コロンバス・アベニュー、朝の風景。

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頭はホゲホゲ、足は「急げ急げ」なのですが、こういうものはしっかりチェック☆

 ワタクシのアパートから職場まではいくつか行き方がありまして、
 (1)家からすぐの駅でオレンジ色の電車に乗って、ミッドタウンで数分歩く
 (2)家から数分先の駅まで歩いて赤い電車に乗り、途中で乗り換えてオフィスの駅まで直行
 の2通り。要するに、オフィス街を歩くか、家の近所を歩くか、どちらか選びなさい。・・・というわけです。気持ちとしては家の近所を歩くほうが好き。両親に手を引かれて登校途中のこどもたちや、開店したてのカフェで水まきをするお店の人を眺めて歩いていくと、なんだか「よしっ」と地に足がついた気持ちになるのです。

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ブロードウェイと72丁目の、「赤い電車の駅」に到着。

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ニューヨークの地下鉄周辺では毎朝、こんな無料新聞が配られています

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こうやって欲しい人は自分で持っていって、

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駅へと吸い込まれていく。

 ニューヨークの地下鉄もラッシュアワーはかなり混みます。ラッシュの混雑は精神的にもきついのでワタクシはこれを避け、8時~8時半にオフィスに到着するように家を出ています。

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急行に乗ると、72丁目からタイムズスクエアまでほんの数分。

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タイムズスクエアに着いて、

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タイムズスクエアとグランドセントラル駅を結ぶシャトルに乗り換え。

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ニューヨークの地下鉄の入り口は「ターンスタイル」と呼ばれるコレ。日本の改札と比べるとけっこう昔風に見えるかも?

 東京人と比べるとニューヨーカーは歩くのが多少遅いかなという気がしますが、ラッシュアワーはさすがに速い。なーんだ、やればできるじゃん! 君たちは雨期のラプラタ河かい、と言いたくなるほどどんどん人波が流れていきます。(他都市のみなさま、ごめんなさい。ワタクシ東京しか経験がないので他とは比べられないのです。他都市のラッシュアワーの様子を教えてくださいね!)

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グランドセントラル駅構内を早足で駆け抜け、

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朝のコーヒーを求めて立ち止まる人々を横目に、

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エスカレーターをぐいぐい上がる。

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エレベーターに乗り換えて・・・チン! さあ今日もがんばりましょう。

 しかしね、ニューヨークではどうもまた地下鉄料金が値上がりするらしいのです。いまだって運航はいつもスムーズではないし、週末はびっくりするほど不規則になるし、値上げなんかする前にサービスもうちょっと何とかしてよ、と思うのはきっとワタクシ一人ではないはず。しかも値上げ後はなんと、「経費削減のため」運航頻度を減らすとか。ちょっとちょっとMTA(ニューヨークの地下鉄会社)さん、それはあまりに非情ではありませぬか・・・

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地下鉄のカードはこの機械で購入

 さてと、時間を早回し。ギュイーン。帰宅の時間になりましたよ!

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オフィスから下の、グランドセントラル駅を見下ろして。

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近郊へ行く電車で帰る人の群れ。

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 いつもならこんな贅沢なかなかできませんが、本日は途中、セントラルパークを通って家に帰ることにしました!

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5番街の夕暮れ風景。

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木立を抜けて、さあおうちへ帰ろう。

 緑の樹々のあいだを抜けて歩いていくのは、ああ本当に、本当に幸せです。こんなに柔らかな空気の中、森を抜けて家に帰る。ゆっくり歩いて家に帰るのって、現代の生活ではとても贅沢なこと。それはあまりに貴重な時間で、幸せすぎて胸が苦しくなってしまう。こんな幸せをあと何回、この人生で経験できるだろう。

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グランドで球技に興じる若者たち。ワタクシと同じように会社帰りの人々が眩しそうに足を止めて、ひととき、彼らの姿を眺めていきます

 今日も無事に終わりました。明日もちゃんと起きられるカナ。みなさまの街の通勤風景やオフィスに行く途中の小さな楽しみ、できたらどうぞ教えてくださいね!

 

★次回の更新は6月12日(金)予定です!

2009年5月29日 (金)

マンハッタンの宝石

 薄緑、翡翠色、金を含んだ若葉色。さまざまな色あいの葉っぱたちが美しい季節になりました。太陽の光を浴び、風にそよぐ葉っぱたちを見ているとつい「そうだよねえ、うれしいよねえ」とうなずいてしまう。都会の中の公園を「オアシス」と呼ぶのは月並みな表現かもしれませんが、ビルの中にふわん、と出現する緑を見ると、やはりほっとしますよね。

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たとえば42丁目のブライアントパーク。

 タイムズスクエアとグランドセントラル駅の中間に位置するブライアントパークはまさに、ビル街のまんなかに現れた宝石のよう。オフィス街でもあるこの地域で働きはじめるまではあまり足を踏み入れたことがなかったのですが、この公園、なかなか味のある空間なのです。
 この公園の中心は大きな芝生。春と秋のファッションウィークにはここに巨大テントが設立され、モデルやファッション関係のヒトビトでにぎわいます。

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これはごく普通の、平日の朝の風景。通勤のほんの数分でも緑の中を歩きたい・・・この女性もそう思ったのかも

 いつもは通勤途中に通り抜けるだけなのですが、週末にミッドタウン周辺を歩く機会があったので、念願の「ブライアントパークでぼーっとする」計画を実行してみました!

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6番街側の入り口は、噴水が目印。向こう側の大きな建物はニューヨーク市立図書館です。

 ところで、みなさま、公園とくればあの有名な公式を思い出しますね。ほらアレですよ。中学校のとき習ったでしょ?

 (公園+週末)×空腹=ピクニック 

 ブライアントパークの中にはサンドイッチ屋さんがあるのですが、ワタクシが出向いたのは午後4時近くだったのであいにく閉店。うー。しかしいい考えが浮かんだのです。

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いったん公園に背を向け、6番街を渡ってこの店へ。

 なぜワタクシは紀伊国屋書店に向ったか? いえ、空腹を読書でまぎらわそうというのではありません。本を買って紙を食べるんだろうって? 黒ヤギさんじゃあるまいし、そんなことしませんよ! ここんちの2階には日本風のパン屋さん「Zaiya」のカフェがあるのです。アメリカ人の男の子と女の子がごくふつうにおにぎりを買っている、微笑ましい風景を見てしまいましたよ☆

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よしよし、食料も買い込んだし。豊かな気持ちで再び公園へ。

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トマトとチーズのパニーニを買ってみました。こーんなにたっぷりのサラダがついて、6ドル50セント。お供のピーチティーも入れて、税込みで9ドルなり。

 うーウマイ! カリカリのパン&チーズがとろ~っ。ここでもうひとつの公式が証明されました。

 (公園+空腹)×おいしいサンドイッチ=幸福

 と思ったら、近くで声がするのです。「くれろー、くれろー」と言うのです。

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横の椅子でこんなヒトが、「ピチュピチュピチュ」と主張していました。スズメ語辞典によると“Give me!!”の意味だそうです

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ちょっとだけよ、とパン屑をあげたらば、恋人(?)もやってきて。

 マンハッタンの中の小さな森であるセントラルパークとか、芝生にみんなが寝そべるユニオンスクエアとか、マンハッタンにもいろんな公園があります。そんな中で、ブライアントパークはどこかヨーロピアンな雰囲気が漂っています。

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それはこんな回転木馬があるからかもしれないし、

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すぐ隣にこんな古いホテルがあるからかも。

 ところでみなさま、公園の「椅子」についてどう思いますか?
 なんて突然聞かれても困るかしれませんが、ワタクシ、椅子というものの形に昔から非常に惹かれているのです。その椅子がだーっと並んだ風景には無性に心揺さぶられてしまうんですね。

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こういう風景に「おおお・・・」とドキドキしてしまうのです。

 街のまんなかに緑があって、そこに椅子があって、人が座る。ただそれだけの営みに、どうしてこんなに嬉しくなってしまうのか。自分でもよくわかりません。

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みんなののんびり感が伝わってくるからかな。

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40丁目に近いこちらはグリル&レストラン。(42丁目側はもっとカジュアルなカフェで、当ブログのワタクシ写真はそこで撮ったものです)

 さてお腹もいっぱいになったし、足の向くままブラブラしてみましょうかね。

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公園の出入り口で「ツピー、ツピー」と主張していたスズメッコ約一名。

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おや、こんなチョコレート屋さんも発見。

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午後の光に満足げな、ニューヨーク市立図書館のライオン殿。

 まだまだ空の明るい初夏の週末です。みなさんも、どうぞすばらしい週末をおすごしくださいね!!

 

★次回の更新は6月5日(金)予定です!

2009年5月22日 (金)

春のマクロビお料理レシピ

 お待たせしました! おいしくってためになるマクロビお料理レシピの時間です~♪ 5月8日更新号にご登場いただいた奈津子先生のレシピです。みんなで奈津子先生に盛大な拍手を贈りましょう。パチパチパチパチパチパチ!!!

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再び登場。キュートな魅力のなっちゃん先生です☆

 メニューは
 ★リークとアスパラのキッシュ
 ★野菜と大麦のスープ
 ★たんぽぽとフィグのサラダ
 ★そして手作りローファット・グラノーラ入りいちごのパフェ

 「すべておいしかった中で、特にどぎゅーんと心臓を貫かれたのはこれです。

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リーク葱とアスパラガスのキッシュ

通常ならキッシュといえば卵とクリーム、チーズなどが入っていますね。ここではそのどれも使わないのに、コクがあってクリーミー♪ そのヒミツは・・・フィリングのお豆腐に入れる白味噌+練り梅! この方たちの威力はすごいです。ワタクシ、目からうろこがぽろぽろ落ちました。美味!!
 具の野菜はホウレンソウやマッシュルームなど、いろいろ応用できそうです。パイクラストにはバターを使わないので、コクを出すために白ごまを入れています。サクサクしていておいし~い♪ このクラストだけ作り、七味唐辛子など振って焼いたらおつまみになりそう(←左党の意見)。

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美しい手さばきに思わず感嘆

 そうしてもうひとつ、ハッとしたことがありました。
それは、奈津子先生の素材と向き合う姿勢です。リーク葱を洗いながら「こうして、土をきれいに落としてあげて・・・」という言葉つきが、とても優しい。野菜に対して「ありがとう、おいしくお料理しますね」と語りかけているようにも思えます。葱の根っこやマッシュルーム(←スープに使用)の軸、アスパラの硬いところなどは、キッチン脇のボウルへ。まとめて捨てるのかと思ったら、スープストックに使うのだとか! こんなに大事に食べていただけるのなら、野菜冥利に尽きますわ・・・とワタクシ思わず葱になったつもりで呟きました。
 さて、レシピのご紹介です♪

(注)レシピはアメリカンカップ(240ml)使用

<レシピ1・リークとアスパラの豆腐キッシュ>

 <材料>(直径21cmのパイ皿1台分)
  パイクラストの材料A
  ・バーリーフラワー(大麦粉。グルテンが少ない。全粒粉で代用可) 1/2カップ
  ・無漂白スペルトフラワー(薄力粉で代用可) 1/2カップ
  ・白ごま 大さじ2
  ・天然塩(なければ塩) 小さじ1/4
  ・ベーキングパウダー 小さじ1/4

  パイクラストの材料B
  ・キャノラオイル(菜種油。サラダオイルで代用可) 大さじ2
  ・水 大さじ3~(適宜調節)

  フィリング
  ・アスパラガス 200g(12本~18本)
  ・リーク(長ネギで代用可) 縦割りにして斜め切りにしたもの2カップ分(約1/2本)100g。
  ※葱の太さと長さによって調整してください。
  ・ニンニク 2かけ
  ・タイム(乾燥) 小さじ1/2
  ・オレガノ(乾燥) 小さじ1/2 (タイム&オレガノはパセリやバジルで代用可)

  ・木綿豆腐 450gくらい(アメリカの大きめなもので1パックに当たる)
  ・梅干しペースト(練り梅) 小さじ2
  ・白味噌 大さじ1
  ・あれば栄養イースト 大さじ3
  (奈津子先生のサイトに情報があります>>
  ・塩 小さじ1/2
  ・オリーブオイル 大さじ1強

 <作り方>
  パイクラストを作る。
  1.オーブンを180℃に温めておく。
  2.材料Aをボウルにいれて混ぜる。
  3.2の中に材料Bのキャノラオイルを入れてへらで手早く混ぜる。

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ぽろぽろのそぼろ状になります。

  4.3の中に水を入れてへらで一気にまとめる。
  5.パイ皿に4の生地を手で押し延ばして広げる(厚さ7~8ミリくらい)

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なんと数分でクラスト完成!

  フィリングを作る。
  1.アスパラガスの根元を手で持ち、下3cmくらいのところで自然に折り、根元の部分は捨てる。残った上の穂の部分を8センチくらいのところで切っておく。下の部分は斜め切りにする。

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奈津子先生の見事な包丁さばき。タタタタタ・・・とリズムのよい包丁さばき、見ていて気持ちが「スッキリ!」します

  2.フライパンにオリーブオイルを少量入れ中火にかけ、リーク、みじん切りにしたニンニク1かけ、アスパラのスライスを順に入れて炒め、タイムとオレガノを振る。
  3.小鍋に湯を沸かし、1のアスパラの上の部分をさっと湯通して水気を切る。
  4.フードプロセッサーに豆腐を入れクリーム状にして、白味噌、梅干しペースト、塩、オリーブオイル大さじ1、すりおろしたニンニク1かけ、あれば栄養イーストを入れてさらに混ぜる。

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ブレンダーにかけると、「これがお豆腐?」と思うくらいぽってり、カスタードクリーム状に。

  5.3で炒めた野菜と共にボウルに入れて混ぜる。

  キッシュを焼く
  1.フィリングをパイクラストに入れ、4で湯がいたアスパラの上の部分を放射線状に飾る。

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  2.オーブンの下段で約30分、フィリングの真ん中にしっかりと火が通り、薄いきつね色になるまで焼く。

 もうひとつご紹介しておきたいのがこのドレッシング。フラックスシード(亜麻の実)は必須脂肪酸のオメガ3が豊富です。熱に弱いので生のまま挽いて使います。ドレッシングにとろみがついて葉っぱにもよくからみ、食べやすいですよ~。

<レシピ2 たんぽぽとフィグのサラダの、バルサミコドレッシング>

 <材料>
  ・バルサミコ酢 大さじ2
  ・メープルシロップ 大さじ1
  ・オリーブオイル 大さじ1
  ・フラックスシードを挽いたもの(クルミで代用可) 小さじ1と1/2
  ・塩 小さじ1/4

作り方は、上記を混ぜるだけ。これがタンポポの葉の苦みに合って、フラックスシードのコクとトロミがよくからんで、おいしいのです!! たんぽぽが手に入らなかったら、ルッコラとか、あるいは菜の花をさっと湯がいてこのドレッシングで食べてもおいしいかもしれませんね。

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市販の食用たんぽぽの葉っぱはけっこう硬さがあるので、30分から1時間ほどこのままなじませると食べやすく、おいしくなります

 ちなみにこのサラダ、奈津子さんはお湯でふやかした干しイチヂクを合わせていました。フィグの種のツブツブ感がまたおいしくて♪ そうそう、5/8のイントロ編で、「タンポポの苦みを中和するもの、な~んだ?」というクイズがありました。答えはなんと「甘み」だそうです。確かにメープルシロップ&フィグの自然な甘さが、ほろ苦さを和らげています。

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上からたんぽぽのサラダ、お豆腐キッシュ、そしておまけの卵を使わないマヨネーズで作ったポテトサラダと、香菜の香りがうれしいコーンサラダ。

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デザート、いちごの寒天パフェ。自然な甘みがベリーグッド☆ (下記リンクにレシピあり)

山脇奈津子さんのヴァーチャル・マクロビお料理教室。楽しんでいただけたでしょうか? 奈津子さんのレシピや食材情報満載のページと、マクロビシェフの毎日が伺える楽しいブログも併せてお楽しみくださいね。奈津子先生どうもありがとうございました! みなさま、Bon apetit!

 

★次回の更新は5月29日(金)です! 

2009年5月15日 (金)

ちょっとおやすみ

 みなさま、先週はマクロビお料理教室の「イントロ」をお届けしました。続けてレシピ回にできなくてごめんなさい。レシピは次週に掲載しますので、楽しみに待っていてくださいませね~
 今週は、キンロー方面で非常に忙しく・・・ブログお休みしたくないな、と思ってせっせと原稿を書いていたのですが、ひとつのエッセイとしてうまくまとまらないので、一回お休みにさせてください。でも写真は撮っておいたので、ちょこっと紹介しますね。

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しかし本当に気持ちのよい季節ですね。いろんな花々がどんどん開いています

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こんな花たちも咲いていました

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72丁目、オノ・ヨーコさんお住まいのダコタハウス前から入ったところで毎週末ジャズを演奏しているミュージシャンたち。彼ら自身も楽しんでいる感覚の演奏が、聞いていても楽しいのです。

 「薫風」なんて言葉が本当にぴったりの、美しい季節。忙しくても、ちょっとくらい疲れていても、外を歩き、風を嗅ぎ、樹々の緑を眺めるだけで元気がもらえますね!
 いつも楽しい情報や、勇気づけられる言葉がいっぱいのコメントをありがとうございます。みなさまの一週間が「薫る風」に満ちたものとなりますように!

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また来てにゃ

 

★次回の更新は5月22日(金)予定です!

2009年5月 8日 (金)

旬のおいしさ、マクロビお料理教室

 春はあけぼの。やうやう白くなりゆく・・・なんて言っているうちに世界はどんどん光に満ちてきて、華やかな季節になってきました!

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「えいえいっ」と春の花衆がのびてきて、

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壁に映る夕暮れの光も明るさを増してゆきます。

 さて、旬と身体の関わりについて学びつつおいしいものを味わい、その作り方まで教わっちゃうという贅沢なお料理教室があると聞きつけ、さっそく駆けつけてみましたよ!

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講師の山脇奈津子先生。しかし「先生」と呼ぶにはあまりに可憐なその姿。「奈津子さ~ん」とお呼びしてしまうのです♪

 奈津子さんは日本で東京農大卒業後、管理栄養士の免許を取得。その後渡米してマサチューセッツ州のクシ・インスティテュートでマクロビオティック料理を、ニューヨーク州ナチュラルグルメクッキングスクールにてナチュラルスイーツを学んだそうです。現在はマンハッタンのマクロビオティック・レストランSouenにてデザート・パティシエを務める傍ら、自宅のお料理教室で教えたり、ケイタリングをしたり、ヨガとマクロビ料理の美しくおいしいコラボレーションなど、様々な舞台で活躍しておられます。

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週末に開かれる奈津子さんのお料理教室は、月毎に主題が変わります。ワタクシが参加した4月の回は「春のピクニック」がテーマ。

 具体的には、こんな献立です。

 ★バーリー(大麦)と野菜のスープ
 ★リークとアスパラの豆腐キッシュ
 ★たんぽぽとフィグのサラダ
 ★ローファットグラノーラ入り、苺のパフェ

 この「春」がポイントでして、ここには隠れた意味があるのです。それは・・・デトックス!
 寒い冬のあいだは身体もエネルギーを溜めたがるもの。でもそれと一緒に老廃物も溜まってしまう。だから光にあふれた季節を前に、旬の味覚を味わいながら身体もリセット! というわけです。
 季節の移り変わりや自然のリズムもマクロビオティックの考え方には非常に大事だそう。東洋に伝わる陰陽五行の考えを季節の食べものに当てはめると、春の食べものには「太陽に向かってまっすぐ上に育つエネルギー」がいっぱいなんですって。そういえば、ふきのとう、アスパラガス、せり、柔らかいネギ・・・春の食べものは、太陽に向かって上へ上へとのびる食べものが多いのかもしれない。
 どれもおいしそうな今日のメニューの中で、とりわけ密かに楽しみにしていたアイテムがありました。それは「たんぽぽとフィグのサラダ」。たんぽぽ、って言葉を口にするだけでなんだかホクホクしてしまうのはワタクシだけでしょうか? 絵本「しろいうさぎとくろいうさぎ」で、うさぎたちがたんぽぽの花を耳に飾る場面を思い出してしまうのです。
 そして、このサラダを紹介するときに奈津子さんが教えてくれたのは、こんなエピソード。
 「たんぽぽの葉っぱはちょっと苦いのですが、これ、冬眠から覚めたクマの大好物なんですって。冬のあいだに身体にたまった老廃物を出してくれる効果があるんです」
 ワタクシ思わず「クマの好物」とメモってしまいましたよ!

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たんぽぽの葉っぱのサラダを調理中の奈津子さん。「この苦みを中和するために、ドレッシングにあるものを入れます。それはなんでしょう?」

 春になると身体は老廃物を出そうとするのですが、ここで大事なのが肝臓。肝臓は中毒性物質の解毒、分解などの役割を持つため、春には特に肝臓をいたわってあげるといいんですって。

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春は普通のお米よりも少し軽い大麦など、消化にいい食材を選びたい

 栄養学の知識なども含め勉強になることいっぱい!のこの教室。たとえばこんな技も・・・

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マッシュルームを切るとき便利な「回し切り」。くるくると回しながら切ると、外に向かう拡散のエネルギーと、内に向かう収斂のエネルギーをコンパクトにまとめることができます。

 スープを作るとき、普通ならオイルかバターで野菜を炒めるところですが、さっぱり仕上げたいときは鍋に少量の水を沸かし、少量の水で「炒める」、ウォーターソテーという手法も教わりました。ただ煮るよりも野菜の風味が引き出せるんですって。
 目からウロコなアイデアがいっぱいのこのお料理教室。どうです、味わってみたいでしょ~う? 奈津子さんの素敵なレシピ、後日、ご公表の予定です。どうぞお見逃しなく!!

 

★次回の更新は5月15日(金)予定です!

2009年5月 1日 (金)

光あふれる季節へ

 どーんといきなり、ニューヨークは初夏になりました! 今年はいつまでも寒くて、やっと春になったね・・・と思ったら予告もなしに30℃!

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近所のコロンバスアベニューにて。人々がワラワラと這い出てきました。みんな笑っています。

 しかし我々も黙っちゃいません。
 「今度の週末、すごく天気がいいらしい」
 「土曜5時!」
 「ど、どこに!?」
 などという一言メールが連絡網にて飛び交い、
 「で、酒は?」
 「だから、酒は?」
 という某ワタクシからのしつこい問い合わせなどもあり、最後まで場所は決まらないわ、酒は酒はと騒ぐ奴はいるわで大変だったのですが、とりあえず数人が集まりマンハッタン南端を目指すことになりました。

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花咲く樹のまわりで気まぐれな追いかけっこに興じる親子。

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濃いピンクの可愛いこの花が満開でした。桜の親戚(バラ科?)カナ?

 暖かくなると巷に人々が増える。この非常に分かりやすい法則が、ワタクシはとても好きです。人種とか言語とか文化背景が違っても、なーんだ、嬉しいときはみんな嬉しいよね!! ということだと思うのです。

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午睡中のラブリーなおふたり。

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マンハッタンの南端バッテリーパークからは、自由の女神が見えるのです。

 以前にも書いた気がしますが、冬も好きなのです。空気がピリッと引き締まることや、手袋やマフラーをつける楽しみ。寒い中ふうふう言いながら帰ってきて、温かいお茶を啜るときの幸せ!  
 でも世界が光に溢れていく季節の喜びは、とびきりおいしいシャンパンを飲み干すときの浮かれ心地にも似て。ただ外に出て光を浴びているだけで「うん、世界はこれでよしっ」と思えてしまう。すれ違う人も、みんなニコニコ、ワクワクしていますね。

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友人、絢子Pの赤ちゃん、通称「れみっこ」にとっては初めての春。

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バギーからこんな風景を見上げつつ・・・

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れみっこはそろそろ、世界を発見したくてたまらないのです。絢子ママ(左)と「2番目のママ」ゆーこちん(右)に支えられて。

 そういえばバッテリーパークって不思議な名前だといつも思っていたのです。「電池公園」!? 
 調べてみたら、バッテリーには「砲列」や「砲兵隊」という意味があるのだそう。アメリカが植民地だったころ、その「母国」だったオランダや大英帝国がここに砲兵隊を設置していたことから、バッテリー・パークという名前がついたそうです。気まぐれで誰かが「電池公園にしちゃおうぜ」とか言って名付けたわけではなかったようです(ヨカッタと安心すべきなのか、残念がるべきなのか)。
 バッテリーパークの西側には低いベンチに囲まれた芝生エリアがあって、ここは子供達の楽園! ワタクシは幼少のみぎり、家の周囲に林とか原っぱがあって、ほとんど裸足で駆け回っていました。足の裏に草や土の感触、気持ちいいんですよね。

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おもちゃを両手にもって、お話を作りながらひとり遊ぶ男の子

 草のにおいっていいですね。芝生というのは人工的な“環境”ではありますが、それでも草のにおいを嗅ぐと「むふー」と楽しくなります。
 水のそばなら、なおうれしい。ハドソン河がニューヨーク湾に注ぐこのあたり。目の前の水は河なのだろうか、海なのだろうか。

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午後の陽射しが水面を照らして。対岸はニュージャージー州。

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「ボォー」と汽笛を鳴らして、船が行く。子供も大人もそれを目で追う。

 原っぱで走り回る子供たちや水面に踊る光を目で追ううちに、いつしか夕暮れてきました。

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世界が薄い青に染まりだす。これはマンハッタン南端とスタテン島を結ぶフェリー。ロゴの字体がなかなか良いです。

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黄昏という言葉に、そしてその色に、胸がざわざわするのはなぜなんでしょうね。

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タプタプと音をたて寄せる波を見ていると、そのまま船に乗って旅に出たくなります

しかし我々は船出したい心をグッと抑え、酒と食物を求めて地上をさすらうのであった。

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れみっこはすっかり疲れてスヤスヤ

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バッテリーパークから2、3分歩くと、ストーン・ストリートに出ます。古い石畳をそのまま残したこの短い通りにはレストランやバーがずらりと並び、毎晩道にテーブルが並んで、街角がそのままレストランになってしまうのです。

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暗いけど、見えるかな?

 いまは以前より静かだそうですが、金曜日になるとウォール街のトレーダーたちが繰り出しブイブイ言わせていたそうです。ブイブイってまだ使われている言葉なのかしら? それとも死語? まあいいや言っちゃえ、ブイブイ~
 ピザがおいしいアドリエンヌズに直行し、ハッハッハッと息づかいも荒くキャンティを注文しました。

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ピザは、菜の花によく似たほろ苦いブロッコリーラーブと、粗挽きスパイシーな味がたまらんイタリアンソーセージの組み合わせ。

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そして本日のスペシャルパスタ。鶏の胸肉にナスとチーズを巻き込み香ばしく焼いたもの。これはウマイ!

 グラスが触れ合う音。肌を包む柔らかな闇。アアみなさん、初夏が来ましたよ・・・乾杯!!

 P.S. ストーン・ストリートは昼間歩いても、「19世紀のマンハッタンはこんなだったのかなあ」と思える情緒があり、小さいながら面白い一角です。この通りのフィナンシェというベーカリーはなかなか良いです♪

 

★次回の更新は5月8日(金)予定です!

2009年4月24日 (金)

Good Hair Day!!

 いよいよ、とうとう、暖かくなってきました。春よ春よと言いつつ、なかなか気を許せない気候が続いていたのですが・・・

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でも桜はちゃんと咲いてくれました。セントラルパーク、72丁目付近にて。

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 春の嵐がいくつか来ては過ぎ、ようやく「もうコートはクリーニングに出していいかな」という陽気になってきました。

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「わーいわーい」と喜ぶチューリップのみなさん

 そしてワタクシはいそいそと、イーストビレッジを目指す。ここ数年ずっと髪を切ってくださっているKazueさんが、ブルックリンのお店からこのたび、イーストビレッジのお店「ピリカ(Pirka)」に移籍されたのです。ブルックリンのお店Commune Salonも素敵だったけれど、今度のお店もいい感じ(こちらにニューヨーカーによる英語レビューが出ています)こぢんまりして、その分なんだか「ほっ」とできるお店です。

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右側の壁は煉瓦。こんな書棚があって、まるでだれかの家に遊びに来た気分

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そしてなんだか懐かしい鏡がみっつ、並んでいます。

 で、みなさんは髪型について、どう思いますか?
 というのもまあ唐突であまりに一般的な質問ですが・・・「楽なのがいちばん」とか「ある程度は時代に即していなくては」とか「流行など存ぜぬ。やはり武士は丁髷」とか、いろいろ意見があると思うのです。それにね、髪型でガラリとイメージが変わることは、ユダヤ系なのにアフロなこの方が証明していますね。(このお兄さんは数々の堅気の就職先で仕事が続かず、やぶれかぶれで応募した「視聴者が作るCM」コンテストを総ナメにして生計を立てるに至った、という方なのです。彼のユーモアが好きかどうかは人によって変わるかもしれませんが・・・)
 えーもとい。海外在住の方、ヘアサロンどうしていますか? 違う意見もあるかもしれないけれど、ワタクシは髪型に関してはちょっと保守的でして、カットもやはり日本人の腕の立つ美容師さんにお願いしたい、と思っています。オレゴンにいたころ、少しだけアメリカ人の美容師さんにお願いしたこともありましたが、ニューヨークでは、以前はかっこいいお兄さんのQさん、そしてここ数年はKazueさんに全面的にお願いしています。数ヶ月に一度しか行かないクセに全面的も何もありませんが、いつ行っても自分以上に自分に合う髪型をわかってくれている、という信頼は、やはり一朝一夕に培えるものではありません。

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ピリカの精鋭ヘアスタイリスト御三方

 髪型って、いくら本人が「こんなのがいいナ」とイメージできても、言葉でそれを伝えるのってとても難しいと思うのです。なぜなんだろう? 「ふわふわした感じ」とか「ゴージャスに」とか「さっぱり」とか、感覚的な表現に頼らざるを得ないからかもしれませんね。
 Kazueさんは、ワタクシの毛質はもちろん生え際のクセなんかも本人よりわかってくれているし、切り終わった髪型を見ると「言葉では表現しきれなかったけれど、まさにそういう感じなの!!」という非常に曖昧な好みさえも形にしてくれるので、本当に信頼しています。

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今回は前回からの路線を踏襲して、こんな感じにしてくださいました

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こんなんが床にコロン、と置いてあります。ヴィンテージのビンゴ・マシーン。

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さりげないインテリアのセンスが気になる。そういうところも、サロンの信頼を高める一要素、という気がします。

 で、「時代、それは超越するためにある」をモットーとするワタクシ(ホントか)、世の中の動向や流行や風潮といったものにはとりあえず関係なく、ボリュームを求めております。いえ、ワタクシは人には言えない、と言いながらウェブ上で公開していますが、それはともかく、頭の形がかっこわるいんですね。人に指さされて笑われるほどではありませんが、きれいな卵形ではない。ポニーテールはよくよく位置を計算しないと「佐々木小次郎」になってしまうのです。ぬっ笑いおったな! 斬るぞッ

 ・・・じゃなくて。ともかくそういうわけで、特に後ろにボリュームを持たせるべく、こういうものを愛用しております。

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ホットカーラー。

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髪を熱から守るためのオイルやローションをつけ(手前のボトル)、巻き巻きしたあとはふんわりめに仕上がるワックスでホールド。ワックスといっても、このごろ日本製でかなりさっぱりふんわり仕上がるものが多く出ていますね

 ピリカの社長およびKazueさんの話によれば、「ニューヨーカーは、髪型も髪質も本当に多様」なのだそう。お店のお客さんも、アジア系はわずか4割。たとえば白人のブロンドの髪は、ボリュームも、切ったあとのまとまり具合も、まったく違う。「やはり最終的には経験がものを言う」のだそうです。
 ヘアにおいても日本人の指先の器用さは定評がありますが、こんなふうに腕の確かな日本人ヘアスタイリストの活躍によって、「さっすが日本人」なんて評価が上がったらうれしいですね!

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ピリカの看板は、こんなかわいい黒板なのです。ゆっくりお話を聞いていたら外はとっぷり暮れていました。ヘアサロンですごす午後のひととき、けっこう贅沢な時間だと思います。

 

★次回の更新は5月1日(金)予定です!

«春の出たとこ★おそうじ作戦

プロフィール

渡辺葉
渡辺 葉(わたなべ よう)
翻訳家・エッセイスト。慶応大学卒業後、カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校への留学を経て女優を志す。95年からニューヨークで暮らし始め、舞台女優として活動。現在はエッセイの執筆や料理本の翻訳などを手がける。料理とダンスが大好きな、好奇心旺盛な女性です。
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