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2007年8月

2007年8月31日 (金)

ニューヨークのオフィス・ランチ

本日は昼ごはんの話をしましょう!

普段は自由(&ビンボー、トホホ)なフリーランス人生のワタクシ。でも現在ちょっと趣向を変え、とある企業で短期契約社員として働いているのです。
そう、憧れのOL生活☆
とはいえ、オフィスにいるあいだはずーっとコンピューターの画面とにらめっこ。いろんな方とチームを組んで企画を立てたり、素敵な男性社員にちょっぴりドキドキしたり、なんて華やかな話はゼロなのですが(←動機不純)。

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オフィスへ急ぐ人たちにまぎれてふと見上げれば、朝日を浴びる摩天楼がそこにいて・・・

となれば・・・というか、なにはさておき、いちばんの楽しみはランチタイム!

出勤前にささっと包んだチーズサンド+フルーツ、など超簡単なお弁当をデスクで広げることもあるけれど、少しずつ外ランチのテリトリーも広げています。

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旅の始発駅グランド・セントラル駅。大伽藍のような大広間にはいろいろなドラマが溢れて・・・

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その下には人々の胃袋を満たすべく、一大フードコートが広がっているのです。

このごろ、うちのオフィス(←なーんてね。いちど言ってみたかった)で噂なのが、すぐそばのブライアント公園にあるサンドウィッチ屋さん、ウィッチクラフト。なんで噂かというと――

私の上司は、他州から引っ越してきたばかりの真面目そうな青年。普段はちょっぴり硬い雰囲気で仕事の話ばかり、それも「もっとペースをあげるように」が口癖だったのですが・・・
ある午後、シャカシャカとキーボードを打つ私たちの部署にやってきて「いまそこでサンドウィッチ食べたんだけど、いやーおいしかったあ!!」と言うのです。「ただのハム&チーズと思ったら、洋梨なんて入っててさ」と、顔をほこほこさせて。とってもおいしいものを食べてびっくりして、誰かに言いたくてたまらなくなることありますよね。まさにそんな感じでした。

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お昼どきのブライアント公園。奥に見える東屋のような建物が、ウワサのサンドウィッチ屋さんなのです。

そこで、私もトライしてみましたよ~。
柔らかいゆで卵とローストオニオン、緑のサルサを添えた白アンチョビのマリネ」とか「とろとろにローストしたポークと紫キャベツ、ハラペーニョ唐辛子とマスタード」とか、うう悩ましい。あれこれ考えたあげく「薄く切った鶏と赤ピーマンのロースト、モッツァレッラチーズ&(※)ペストー添え」を注文しました。

お店の奥のグリルで焼いてあつあつになったのを切ってもらって、公園のテーブルで木陰のランチタイム♪

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しっとりジューシーな鶏肉と、甘くこうばしい赤ピーマンと、とろけたモッツァレッラチーズにペストーの香りがあいまって・・・

うーん、お味はさすがです。鶏肉はしっとりして風味豊か、そこに赤ピーマンの甘さとチーズのコク、ペストー(※1)の香りが絡まって、なんともいえません。
んんんんんだけど、高い。
サンドウィッチだけで10ドル(※2)ちょっと、チップを入れたら13ドル。飲み物もサラダやポテトもなしでこのお値段とは、うーんびっくりです。テイクアウトのサンドイッチなら5~7ドルが相場なのですが・・・
これは、給料日のオフィスランチ向け、といったところでしょうか。

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お手軽にすませたい向きには、ニューヨーク名物のホットドッグ。工事現場のお兄さんにも人気です。

ふだんのランチでよく使うのは、ヘイル&ハーティというスープ屋さんです。日替わりで20種類近いスープ、それも「トマト&ベジタブル」とか「キノコ&クリーム」みたいな定番から「セネガル風鶏とピーナツのスープ」、「アスパラガスと蟹のビスク」なんて変わった味もあって、楽しいたのしい♪ 「スタンプ10個集めたら、スープ一杯タダ」なんてカードもあって、思わず通ってしまうというわけです。

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日替わりで10数種類のスープ、それにサラダやサンドウィッチが食べられるヘイル&ハーティ。全米チェーンかと思ったら、なんとニューヨーク限定の地元チェーンでした。

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ある日のランチ、カレー風味のチキンチャウダー。けっこうガツンとスパイスが効いていて、「カレー心」を満足させてくれました♪

楽しいおいしいオフィス・ランチ、唯一の悩みは、食べた後30分後に襲ってくる睡魔。「来るかも・・・」と思ったら遅し、どんなに意識を集中しても、手をつねってみても、効きません。学生時代を思い出しちゃいますね!? 

そういうときはキッチンへ直行! 
さすがアメリカの企業、いや日本の企業もこうなんでしょうか。某スター○ックスの自動コーヒーメーカーがあって、いやはやコーヒー飲みすぎになりそう。ついでに思いっきり伸びをして、さあ今日もお仕事がんばりましょう!?

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睡魔に襲われた時の強力な助っ人。

※1  ペストーは英語「ペースト」とほぼ同義のイタリア語をイタリア風に読んだものです。正式にはペストー・ジェノベーゼ、バジル+松の実+ニンニク+パルミジァーノ・レッジァーノ+オリーブオイル、が一般的レシピのようです(バリエーションいろいろあり)。

※2  1ドル=約115円(8/30の為替レート)

 

★次回の更新は9月7日(金)です! 

2007年8月24日 (金)

ブルックリンのゆるゆるとごきげんな日曜日

激しい通り雨がやってきて、去っていったと思ったら、ニューヨークはぐっと涼しくなりました。夜はブーツ+ジャケットでちょうどいいくらい冷えるし、もうすっかり初秋の気候のよう。このまま夏が終わってしまうのかしら!?

さて、真珠色を帯びた薄曇りの空に覆われた日曜日。ブルックリン地区のウィリアムズバーグに出かけてきました。

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東欧の移民が多く、昔は倉庫街だったウィリアムズバーグ。

ニューヨーク市は正式には、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタテン島の5つの行政区から成っています。その中にもいろんな地域があって、それぞれにことなるお土地柄があって。
ウィリアムズバーグはマンハッタンからはイースト河の向こう岸、地下鉄でほんの数分の近さ。もとはユダヤ系移民とポーランド系移民が集まったいたのですが、ここ10年ほどのあいだに若いアーティストがどんどん移住して活気を増してきました。

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まるで「ご近所クラブ」のような路上骨董店を発見。

地下鉄の駅から上がって目抜き通りをどんどんいくと・・・両側に並ぶカフェやレストラン、ブティックは大企業のチェーンよりは個人経営の“インディー系”が多くて、東京でいえば裏原宿か下北沢みたいな感じかも!?
めざすお店「comm une」 は、歩道になにやら並べて売っている“即興骨董店”の角を曲がったところにあります。
扉をあけると白い光に満ちたブティック。そしてその奥は、広々として気持ちのいいヘアサロン! ワタクシ、伸ばしっぱなしの髪を切ってもらうべく、地下鉄を乗り継いでやってきたのです。

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ウィリアムズバーグの一角にあるcomm une salon & gift。看板を見ただけでほっとくつろげる、そんな雰囲気が漂ってます。

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ブティックの奥は、天窓から入る柔らかな光に彩られたヘアサロン。

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座っているだけでココロがほっとくつろぐ・・・そんな待ち合いコーナー。

担当をお願いしているKazueさんは確かな腕と抜群のセンスの持ち主なので、最小限のリクエストだけ伝えて、「よろしくお願いします~」とおまかせ。あとは気楽なおしゃべりを楽しんだり、ぼぉ~っとしたり。

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ここ数年、ニューヨークでのヘアカットはKazueさんにおまかせ♪ 「お願いします」のヒトコトで一安心、なのです。

それにしてもこのお店は本当に気持ちがいい! サロンだけではなく、ブティックだけでなく・・・という、1+1が2よりももっと素敵な何かに変身しているような感じ。サロン部分には天窓があって柔らかな光が降り注ぎ、森の中のぽっかり明るい空間に迷い込んだような、なんだか特別な雰囲気を醸し出しています。髪を切ってもらったあとも立ち去りがたくて、アクセサリーや服を眺めつつ長居しちゃった(欲しいものリストも増えてしまいましたよ~)。

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こんなにかわいいジュエリーもあるんです。地元のアーティストの作だとか。

そして帰り道には、うれしいおまけが・・・「ベドフォード・チーズショップ」という、ヨーロッパの街角にありそうなチーズ屋さんを発見!

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ウィリアムズバーグの目抜き通り、ベドフォード通りのチーズ屋さん。こんな素敵なたたずまいの店、立ち寄らないわけにはいきませんよね!?

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「僕も入りたいよ~」と通りすがりのワンコ。

ガラスの嵌った木の扉をあけると、おいしそうなものたちがずらーり、並んでいます。ストロベリーやトフィー味のビスケットトロリと熟したチーズ各種いちじくや柑橘類のジャム。うー、目移りしてしまう。店内に入る前は別に食べものを買っていくつもりはなかったのですが、もうすっかり「何かおいしいもの買ってかなくちゃね」モードに入っております。

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ウサギは「トフィー味」、ライオンは「いちご味」のビスケット。

かわいいジュースの並ぶ冷蔵ケースで見つけた一品に、ピピッとアンテナが反応してしまいました。「エルダーフラワー入りスパークリングウォーター」・・・エルダーベリーといえば「にわとこ」の実のこと。身体にも良いと聞いたことがあるけれど、そのエルダーの花が入った飲みものとは、これいかに!? お値段は6ドル50セント。こういうのって高いんだろうか、安いんだろうか。よくわかりません。これがワインだったらすごい安いよ、などとわけのわからない比較をしつつ1本購入してみました。どんな味なんだろう? なんだかワクワク♪

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チーズやハム類はカウンター前にある番号札を取って待ち、順番にお店の人に応対してもらう仕組み。

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イタリアのゆでたハム「プロシュート・コット」やうずら卵もあります。

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ラズベリー、クランベリーなど果物の味を活かしたジュースやフレッシュチーズ。

空からはぽつん、ぽつんと雨粒が落ちてきているものの、急いで帰る気になれなくて・・・のろのろ、ゆるゆると駅に向かいます。途中でヴィンテージのアクセサリーを売っている店やセール中のブティックに立ち寄って、道草する贅沢を味わいつつ。

大事に持ち帰った「エルダーフラワー入りスパークリングウォーター」は、日なたに揺れる花の香りと、ほのかにはちみつの味がしました。ちょっぴりナマケモノな日曜日と、黄金色の不思議な飲み物。すぎゆく夏の気配を思いがけず味わった、そんな一日になりました。

 

★次回の更新は8月31日(金)です! 

2007年8月17日 (金)

非常時のニューヨーカー

未明から遠くでゴロゴロと鳴っていた雷は、夜が明けるにつれてどんどん近づいてきました。紫をおびた灰色の空に閃光が走り、ガラガラ、ドシャーン! 寝ぼけまなこでベッドから這い出すころには、窓の外は叩きつける雨の水煙でけぶり、ガーゼの幕を降ろしたよう。

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朝起きたら、窓の外ではサワサワと雨が降っていました。

それでもコーヒーを飲んでいるうちに雨は小降りになり、仕度をすませて外に出たときにはすっかりピーカン! 道路も乾きはじめていたのです。

この日は通訳の仕事で、朝10時にブルックリンに行く予定だった私。ブルックリンはマンハッタン島の右下(えーっと、もっと正確にいうと南東)にある地区で、私の住むハーレムからは地下鉄でマンハッタンをぐぐーっと南下し、イーストリバーをトンネルでくぐります。
今日も暑くなりそうだから、仕事が終わったらアイスクリーム食べにいっちゃおうかなー♪ なんて考えつつ地下鉄の駅に向かったら。

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雨のマンハッタン~♪ なんていうと歌みたいですが、通勤する方はターイヘン。

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防火水栓も力なく濡れそぼっています!?

あれっ!? 入口周辺にも、階段の途中にも、あふれんばかりの人、人、人。ホームにはもっと沢山いるみたい・・・
「地下鉄、走ってないんですか?」
目の前のおじさんに聞いてみても、首をふるばかり。

間に合わなかったら、困るうぅ~。
別の地下鉄で南下すべく、東へ横切るバスに乗りました。でもこちらの駅でも同じこと。むわん、と熱気がこもるホームに立ち尽くす人々。しばらく待ってみたけれど、電車が来る気配はまるでなし・・・ 

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ちょっとの雨でも、ニューヨークの地下鉄構内はすぐ浸水してしまう。

そうだ! 
ひらめいて、バスで南下することにしました。でも渋滞の道路を満員のバスでいくわけで・・・食べすぎのカタツムリの大行進みたい。あ、日本語には「牛歩戦術」って言葉があったっけ。あれは国会か。冷房で車内は涼しいのがせめてもの救いです。

「わたし、もう3時間もバスを乗り継いでるの」
隣に立っていた東南アジア系の顔立ちの女性が話しかけてきます。
「ニューヨークの地下鉄って、ちょっとした雨ですぐだめになるよね」と答えると、
「システムが古いからじゃないかしら。あなたの国は日本でしょ? 日本の電車は世界一よね。ビューンと鉄砲みたいに走る電車もあるでしょ」
そうそう、新幹線のこと英語では“Bullet Train(弾丸電車)”と呼ぶのです。

停留所に着くと、わっと数十人が押し寄せます。
「だめだ。そこまで!」
もともと満員なので、7、8人が乗ったところで運転手さんが半ば強引にドアを閉め、出発進行。窓の外を見ると(もう、これしか手段はない)とあきらめ顔でずんずん歩く人たちで、歩道は小川のよう。
外はサウナ並みだし、車内は混んでいるし、(どこに向かっているにせよ)大遅刻だし。乗るときに押されて痛かったのか、「オー・マイ・ゴッド!」とつぶやいて顔をしかめている人もいます。
でも杖をついた女性が立っているのを見て「マダム! ここに座りなさい」と声をかけ、席を立つ人もいて。

ニューヨーカーの魅力って案外、非常時に光るような気がします。

みんな「自分の力で泳いでかなきゃ」という気負いを持って生きている。その分、ときどき自分勝手なふるまいをしてしまう人もいるけれど、多くの人はみんなが同じように困っているのをわかっていてさりげなく助けあう。この日のバスでも見知らぬ同士が情報を交換したり、少しずつ詰めあって仲良く手すりにつかまったり、微笑ましい光景を見かけました。

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急いでいるときには時間がいまいち読めないけれど、非常時には案外頼りになる、ニューヨーク市公共バス。

「わたし、ここから歩くわ。気をつけてね。よい日を!」
東南アジア系の女性はそう言ってにっこり笑い、降りていきました。

国連のそばでバスを降り、数ブロック歩いてようやく地下鉄の一部が動いていることを発見! そこからまたえっちらおっちらマンハッタンを南下して・・・通訳仕事は1時間半の大遅刻でしたが「今日は仕方がないよ」と許してもらえて、とりあえず安心。時給制なので、その分お金にならないのですが(涙)。

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東京でいえば新宿駅!? 繁華街タイムズスクエアの地下鉄構内。

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タイムズスクエア駅構内にて。

でもそのかわり、とっても濃厚なニューヨーク的一日を味わうことができて、貴重な体験だったのかも――と思うことにしました。

 

★次回の更新は8月24日(金)です! 

2007年8月10日 (金)

古きよきニューヨークが味わえる、とっておきの本教えます

ニューヨークを舞台にした本というと、みなさんは何を思い浮かべますか?

たとえばF・スコット・フィッツジェラルド作『華麗なるギャツビー』は、“黄金の20年代”とも呼ばれた1920年代のニューヨークが舞台。若き日の恋人にもう一目会いたいがために夜毎、豪奢なパーティーを繰り広げる謎の富豪ギャツビーが主人公の、たまらなく華麗でせつないラブストーリーです。ロバート・レッドフォード&ミア・ファロー主演の映画を通じてご存知の方も多いかもしれませんね。

もうひとつの名作『ティファニーで朝食を』は、セントラルパークの東、アッパー・イーストサイドが舞台。オードリー・ヘップバーンの可憐さときたら、ああ、もう! ギターをつまびきながら歌う『ムーンリバー』、五番街の宝石店ティファニー前でのシーン・・・何度見てもウットリしてしまいます。
原作の結末は映画とちょっと違って、ビタースイート&ミステリアス。活字ならではの距離感がまたいい感じなので、過ぎゆく夏のお伴にページを開いてみてはいかがでしょう?

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きらびやかな光が灯る、夕暮れ直後のニューヨーク。

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『ティファニーで朝食を』のホリー・ゴライトリーが住んでいたアッパーイーストサイド。これは3月末に行われるアイルランド系のお祭り「聖パトリックの祭り」のパレード。

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雪に覆われたセントラルパークからアッパーイーストサイドを眺めて。

それから、今日は、あまり知られていないニューヨーク本を2冊ご紹介したいと思います♪

ひとつは、シャイでおチビの黒猫ジェニー・リンスキーのおはなし。なんと初版は1944年! ずっと絶版になっていたのですが、アメリカでは数年前に復刻版が出てふたたび人気を集めています。

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シャイな黒猫、ジェニー・リンスキーが主人公の『ジェニーとキャットクラブ(日本語版は『黒ネコジェニーのおはなし1』)

みなしごの黒猫ジェニー・リンスキーは、グリニッジ・ビレッジの一角にすむティンカー船長にひきとられます。ティンカー船長の裏庭は、近所の猫たちが集まって会議をしたり、ピクニックなど楽しい催しを企画する「キャット・クラブ」の集会場。でも内気なジェニーはなかなか「仲間にいれて」と言えません。でも優しいティンカー船長が編んでくれた赤いマフラーを首に巻くとようやく勇気が出て・・・

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シャイなチビ猫ジェニーも、ティンカー船長が編んでくれた赤いマフラーを首にまくと勇気が出るのです。

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ティンカー船長の釣り道具入れにまちがって入りこんでしまったジェニー。

仲間の猫たちに見つめられて怖くなり、思わず「ヤオ! 」と叫んで逃げ出してしまったり、同じくみなしごの猫チェッカーズとエドワードを「きょうだい」として迎え入れたものの、「ティンカー船長のおひざはあたしのものなのに」とヤキモチを焼いてしまったり。日々起こる事件のなかでジェニーが経験するいろいろな気持ちの「ざわざわ」には、多くの子ども(そして、昔子どもだった大人たち)が共感できるはず。思いがけずズーンと心を打つひとことが出てきたりして(私、ひとりで読んでいていきなり号泣してしまいました)、何度も取り出して読んでしまう一冊です。日本では福音館書店より『黒ねこジェニーのおはなし (訳・松岡享子、張替恵子)として1982年に刊行。残念ながら現在は絶版なのですが、復刊希望本としてよく名前があがっているようです。図書館でも見つかるのではないかしら。

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キャットクラブの面々。歌が上手なコンチェルティーナ(樹の上で歌っている)、踊りの名手マカロニ、ふたごのロムルスとレムスなど、個性豊かな猫たち。

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「ジェニーがマフラーをなくしたおはなし」

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友だちのピックルスとフロリオと一緒に夜のニューヨークを探検するジェニー。「キャッスル・ハンバーガー店」の窓にある「キャッスル・ハンバーガー25セント」「ロイヤル・キャッスル・ハンバーガー30セント」「スーパー・ロイヤル・キャッスル・ハンバーガー35セント」という値段表に40年代を感じます!?

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ジェニーのそっくりさん、階下に住むマウ嬢。

もう一冊は『ティファニーのテーブルマナー』 。映画『ティファニーで朝食を』の公開と同じ、1961年に初版が出ています。作者のウォルター・ホービング氏は宝石店ティファニーの初代理事長で、数々のチャリティ基金や教育基金の設立者でもありました。

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ティファニー・ブルーの装丁が美しい『ティファニーのマナーブック』。以前はティファニー宝石店の顧客に配っていたのだとか。

高校のころ、ある歳上のお姉さんに日本語版をプレゼントしてもらったのが、この本との出会いでした。高級なレストランでの正式なディナーなんて経験がなくて、ドキドキしながら読んだのを覚えています(日本版は鹿島出版会から。以前は白×黒に赤い縁取りの装丁だったのですが、復刻版は原書とおなじティファニー・ブルー!)このあいだふと書店で再会し、英語版を購入。改めて読んでみると、短いながらもエレガントで、ウィットの効いた文章なんです。たとえば――

空中戦艦みたいに肘を突き出さないこと
とか、
ナイフとフォークを持ったままで会話するのはまったくかまいませんが、ナイフはお皿から数センチ以上はもちあげないこと。これさえ覚えておけば、ナイフを口につっこんでいるところを見つかる心配もありませんよ」(*以上の抜粋は、筆者訳)

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招待してくれたご主人や奥様が食べはじめるのを待つ必要はありません。でもアイリッシュ・ウルフハウンドみたいに料理に躍りかかるのはやめましょう。

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おまちかね、「デザートコース」の章。

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「これはやめましょう」の例。左「ナイフとフォークをこんなふうに持つと、ケンカを売っているみたいに見えます」 右「ナイフは皿から数センチ以上持ち上げないこと」

もう大人だからテーブルマナーは大丈夫・・・と思っていたら「あれ、そうだったの!?」なんて勘違いしていたことも発見してしまいました。イラストがかわいいので、「ハウツー本」というよりは絵本感覚で書棚に置きたい1冊です。

 

★次回の更新は8月17日(金)です! 

2007年8月 3日 (金)

「アメリカ」がギュギュッと詰まった!? スーパーマーケット

スーパーマン、スーパーファンド、スーパーマリオ(古い!?)・・・世の中「スーパー」は多々あれど、暮らしに欠かせないのはやはり、スーパーマーケットですよね♪

逆に、スーパーマーケットの棚からその土地の暮らしぶりが窺えたりもするもの。いきなり余談ですが、昨年旅したチェコ共和国プラハのスーパーマーケットではソーセージ&ハム類とヨーグルト部門の総面積がものすごく広かったこと、そしてインスタントスープ(ク○ールなど日本でもおなじみの大手メーカーもありました)の充実ぶりにチェコ人の食卓を垣間みた気がしました(さらに余談。スープはきのこ&クリームやパプリカ風味などやはり東欧っぽいフレーバーがおいしかったです)。

アメリカのスーパーマーケット事情といえば、とにかくすべてが「どーん!」「バーン!」と広くでっかく、スーパーサイズということ。シリアルの種類の多さやミルク、ジュースの大きさにはやはり唸らされます。(例えば、ミルクの最大サイズは1ガロン=3.78リットル)

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だーーーッ!! と並んだシリアルたち。これは近所のスーパーにて。

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普通のスーパーではオーガニック食品はまだまだ少なくて、エスニック系食品(英語ではインターナショナル・フードという言い方をします)と一緒。

豊かさの象徴のようなスーパーマーケット・・・でもこの言葉が生まれたのは、意外なことに1930年代アメリカを襲った大恐慌の最中だったそう。ウォール街の株価大暴落(1929年の“暗黒の火曜日”)が引き金になって長いこと不景気が続き、みんなが経済的に苦しくなったため、コストを抑えて商品を安く売るスーパーマーケットが定着したのだとか。歴史の必然というのでしょうか、興味深いですね~。

豊かさの象徴と書いたものの、従来のスーパーマーケットは野菜や肉など生鮮食品の質があまりよくなかったのも事実。「これ、たっぷり農薬を使って栽培して、うーんと遠くから運んできて、何日も棚に並んでいたんだろうな」という野菜とか、水っぽいブロイラー鶏とか、あまり食指が動かない商品が並んでいる。うちの最寄りにあるスーパーマーケットなど、悲しいけれどまさにそんな感じです。唯一「タコのピリ辛オイル漬」缶詰(スペイン産。アボカド&トマトとあえてサラダにするとおいしい)とトイレットペーパーを買いに行く程度で、ほとんど足を運びません・・・。

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近所のスーパーは苦手なのですが、唯一「タコのオイル漬け」ははずせないアイテム! イカのイカ墨あえもグッド♪

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カトリック教徒の多いラテン系住民のための、お祈りキャンドルも売っています。(こちらもハーレムのスーパー)

ではワタクシ、どこで買いものしているかというと。

ひとつは、オーガニックの野菜など良質の食材を豊富に揃えたスローフード志向のホールフーズマーケット

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ヌォ~ッとそびえる魔神の城のような・・・(ウソウソ)コロンバス・サークルのタイム・ワーナー・センター。

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地上はこうなってます。

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接近してみましょう・・・入口はこんな感じ。

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1階入口を入ると・・・

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地下のホールフーズはニューヨーカーにも観光で訪れた人にも大人気。床面積はなんと5500平方メートル

この店の特色は、既存のスーパーマーケットと同じ形式を取りながら、ゼイバーズなどの高級グルメストアで扱うレベルの食品を集め、さらに自然派サプリや化粧品、雑貨を集めたナチュラルストアの要素も併せ持っていることです。つまり、野菜や肉・魚など生鮮食品、缶詰やペーパータオルなども揃うし、イタリア産オリーブやフランス直輸入の高級チーズ、オーガニック&シェードビーン(環境への影響を考えて、他の樹々と一緒に植えたコーヒー園で栽培した)のコーヒー豆も量り売りで買えるというわけ。ヘルシーでおいしいサラダバーやデリもあって、テイクアウト・ランチにも大助かり☆ 

テキサス州が発信地のこのお店、90年代に登場して以来めきめきと頭角を現し、現在では北米と英国に200店舗近く展開中。品揃えのセンスがよく、店員の知識やマナーという点でも行き届いており、またレジの並び方に画期的なアイデアを盛り込んで待ち時間を少なくするなど、いろいろな面で従来のスーパーマーケットの先をぐんぐん走っている感じです。

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ホールフーズ店内。

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レジは数列に分かれて並び、左右順番に「次は34番レジへどうぞ」「次は17番へ」と案内されて指定のレジへ向かうシステム。レジの総数が多いので待ち時間は比較的短いし、だれもが同じだけ待つ、という民主的なシステム。

もうひとつよく行くのは、ニューヨーク市内に4店舗だけのローカル経営マーケット、フェアウェイ。野菜や果物が比較的安く買えて、お惣菜や肉、魚は対面売り場で量り売り・・・ホールフーズと似ていなくもないけれど、全体にごたごたっとしていて“大衆的”な感じがします。レジ店員の態度が少々乱暴なのでときどき「あーあ」とため息をついてしまうけれど、ここでしか買えないイタリア産グリルド・アーティチョークがおいしいので通っています。

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アッパーウエストにあるフェアウェイの店先。店の外に並べた青果は店内よりも安めなので人気高し。

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フェアウェイのオリーブ油売り場。庶民的マーケットといえど、このバラエティは目を見張るばかり!

ここ12年アメリカに住んでいて思うのは、アメリカ人の味覚がだんだん鋭くなってきているのと同時に、食品の安全や健康への影響についての関心も高まりつつある、ということ。「とにかく量で勝負!」という時代から、だんだん(ようやく、という感もありますが)質がよく安全でおいしいものを求める時代に移りつつあるのかもしれません。これはうれしいトレンドですよね!

 

★次回の更新は8月10日(金)です! 

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プロフィール

渡辺葉
渡辺 葉(わたなべ よう)
翻訳家・エッセイスト。慶応大学卒業後、カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校への留学を経て女優を志す。95年からニューヨークで暮らし始め、舞台女優として活動。現在はエッセイの執筆や料理本の翻訳などを手がける。料理とダンスが大好きな、好奇心旺盛な女性です。
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