猫も店員。なぜかなつかしい、老舗の薬局
古きよきニューヨークの面影を残したグリニッジビレッジ。レンガ造りの建物が多く、道はくねくね折れ曲がり、ところどころ石畳も残っています。今回は、そんなグリニッジビレッジの街並を170年近くも見つめてきた老舗(※1)の薬局(※2) 、ビゲロウズをご案内したいと思います。
ガラスの扉を開けて一歩中に入るとまず目に入るのは、コスメティック&アクセサリーのカウンター。以前はアイスクリームやソーダを出す喫茶コーナーだったのを、80年代に改造したそうです。ビゲロウズ・オリジナルのローズ・サルベ(荒れた唇や、カサカサの手につける)やリップグロス、口の中をさっぱりさせてくれるミントもこのカウンターで買えます。
個人的におすすめしたいのは、ビゲロウズ・オリジナルのハンドクリーム! 花梨(Quince)やレモンなどいくつかのラインがあるのですが、私のイチオシはレモン☆ 甘すぎない上品なレモン・メレンゲパイみたいな香りに思わず微笑みがこぼれます。つけ心地も優しく、いい香りが持続するので、思わず鼻を近づけくんくんしてしまうほど。小さめバッグにも収まるコンパクトさ、そしてお値段も手頃(1オンス=28グラムのスモールサイズが6ドル。3オンスの大きめサイズが16ドルです)なので、ニューヨークみやげにもぴったりですよ! !
入口をあけるとすぐにあるのは、コスメ&アクセサリーのカウンター。この部分、昔はソーダやアイスクリームを供するパーラーだったそう。
ビゲロウズ・オリジナルの基礎化粧品&ボディケア。レモンのハンドクリーム(写真はボディ・ウォッシュとボディ・ローション)は超おすすめ!
こちらもビゲロウズ・オリジナル。上から時計回りに、お口をさっぱりさせるためのミント、唇や指先の荒れに効くローズ・サルベ、いろんなフレーバーのあるリップグロス
ビゲロウズ・オリジナルのローズ・サルベ。レトロなパッケージに惹かれます
左右の壁に沿って造りつけた樫材のキャビネット棚は1838年の創業以来、大切に磨かれて店内を見守ってきました。高い天井をささえる円柱やシャンデリア(昔はガス灯だったそうです)も、同じく開店以来のものです。
左側の棚に並ぶのは、シャンプーやリンス、石鹸類。その種類の多さ、洗練度にはクラクラしてしまう! フランス産の品が多いのは、やっぱりビューティーの国の底力なんでしょうかねえ。
対して、右側の棚は香水やアロマキャンドル、お化粧ポーチなど。このセレクションがまた、おしゃれなんです。ここをうろうろしているだけでキレイになれるような気がするのって・・・やっぱり勘違いでしょうか・・・ま、いーや。
店内の壁に作りつけた樫材のキャビネット棚は、1838年の創業以来のもの。
壁に掛かったプレートには、2代めオーナー(創始者は違う店名をつけていた)、クラレンス・O・ビゲロウ氏以下、代々の店主の名前が刻まれています。
ずらり並んだシャンプーたち。「どれがサラサラ髪にしてくれるかな~♪」なんて迷うひとときは楽しいもの。
フランス発、アーモンドを使ったヘア&バス製品。髪も身体もつやつやになりそう!
コスメコーナーにもフランス発、ル・クラークの化粧品が。クラシカルな缶入りお粉をはたけば、気分は思わず40年代の女優さん!?
デリケートで美しいお化粧ポーチや鏡、リップケースも、乙女心をくすぐるんです。
香水&アロマキャンドルも充実! やはりアロマセラピーよねえなんて言い訳しつつ、買いたくなってしまう・・・
薬局って、なんだか用事がなくてもウロウロしたくなりませんか?
棚に並ぶ歯磨きとか歯ブラシを見ていると「そろそろ買い足す時期だっけ?」と思ってしまうし、ドイツや北欧から来た足浴用のソルトとか筋肉痛に効くクリームなんかを眺めては「ホー」と感心してしまう。いろんな形の絆創膏、べっこう柄の櫛、爪を整えるためのクリッパーややすり・・・見ているだけでなにかひとつ身体のためにいいことをしているような、賢くなったような気がするのって・・・これはやっぱり勘違いでしょうか!?
べっこう柄の櫛、爪ケア用の品々・・・モノの形って美しいな、と思ってしまいます
奥にある薬局には数名の薬剤師が常駐していて、お医者さんでもらう処方箋を渡すと薬を調合してくれます。なんと19世紀にはマーク・トウェインもここでお薬を買っていたそうですよ! ホメオパシーなど自然療法系の薬も多く、このコーナーにはほんと「老舗」の雰囲気が漂っています。
奥の薬局では熟練の薬剤師さんたちが、薬を調合したりあれこれ相談にのってくれます。俳優のロバート・デニーロやスーザン・サランドンもここに薬を買いにくるんですって☆
薬局部門の壁には、なんだかなつかし~い感じの絵が掛かっています。
処方箋をもってきたお客さんが薬の調合を待つあいだに腰かけたり、買い物にきたお年寄りがひとやすみするための椅子。
おっと、足下をすり抜ける白黒の猫ちゃん発見!
そうなんです、ビゲロウズには代々「店猫」がおりまして、お母さんが買い物中に子どもたちと遊んであげたり、薬の処方を待つお客さんのためのイスにじーっと座って温めたり、窓ガラスをぺろぺろ舐めてきれいにしたり、はたまた「今日はどこが具合悪いんですか?」とアドバイスしたり(!?)、老舗ならではの細やかなサービスを提供してきたそうです。現職のアレグラちゃん(アレルギーの薬にちなんで命名)は、ついこのあいだお役目を引き継いだばかり。まだ「修行中」だとかで、とりあえず店内の巡回に忙しそうでした。
先代の店猫、レックス(処方箋をしめす医学用語、RXにちなんだ名前)君のご遺影。この方は2007年8月に亡くなるまで生涯現役だったそうです
現役店猫アレグラちゃん、店内巡回中。「ここには何か隠れてるのかな」
検品作業も、修業のうちです。
「マダム、ご用事があったら言ってくださいね」とさりげなくも温かい顧客サービス。がんばって立派な店猫になってね♪
(※1)「老舗」と書いて「しにせ」。いい言葉ですよね~。「幾度も洗われて色の落ち着いたのれん」→「伝承の技」→「語り継がれ、愛され続ける味」・・・と瞬く間にパパパパッと連想してしまい、またたびを嗅いだ猫のようにゴロニャーンとなってしまう私なのです。ヘン!?
(※2) 「薬局」は英国やオーストラリアでは「ケミスト」と呼ばれるのだとか(そちら方面にお住まいの方、どうなんでしょう?)。北米では薬局のみなら「ファーマシー」、雑貨やお菓子なども売っている店は「ドラッグストア」と呼ばれます。でも19世紀の面影を色濃く残したビゲロウズは「アポセカリー」と呼びたくなってしまう。古代ギリシャの言葉で“ものを貯蔵しておくところ”を示す「アポテケ」が語源だそうです。あのノストラダムスも本職は「アポセカリー」だったんですって! 余談でした~
★次回の更新は10月5日(金)です!










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