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2007年9月

2007年9月28日 (金)

猫も店員。なぜかなつかしい、老舗の薬局

古きよきニューヨークの面影を残したグリニッジビレッジ。レンガ造りの建物が多く、道はくねくね折れ曲がり、ところどころ石畳も残っています。今回は、そんなグリニッジビレッジの街並を170年近くも見つめてきた老舗(※1)の薬局(※2)ビゲロウズをご案内したいと思います。

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グリニッジビレッジの街並を170年近く見守ってきた老舗の薬局、ビゲロウズ

ガラスの扉を開けて一歩中に入るとまず目に入るのは、コスメティック&アクセサリーのカウンター。以前はアイスクリームやソーダを出す喫茶コーナーだったのを、80年代に改造したそうです。ビゲロウズ・オリジナルのローズ・サルベ(荒れた唇や、カサカサの手につける)やリップグロス、口の中をさっぱりさせてくれるミントもこのカウンターで買えます。
個人的におすすめしたいのは、ビゲロウズ・オリジナルのハンドクリーム! 花梨(Quince)やレモンなどいくつかのラインがあるのですが、私のイチオシはレモン☆ 甘すぎない上品なレモン・メレンゲパイみたいな香りに思わず微笑みがこぼれます。つけ心地も優しく、いい香りが持続するので、思わず鼻を近づけくんくんしてしまうほど。小さめバッグにも収まるコンパクトさ、そしてお値段も手頃(1オンス=28グラムのスモールサイズが6ドル。3オンスの大きめサイズが16ドルです)なので、ニューヨークみやげにもぴったりですよ! ! 

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入口をあけるとすぐにあるのは、コスメ&アクセサリーのカウンター。この部分、昔はソーダやアイスクリームを供するパーラーだったそう。

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ビゲロウズ・オリジナルの基礎化粧品&ボディケア。レモンのハンドクリーム(写真はボディ・ウォッシュとボディ・ローション)は超おすすめ!

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こちらもビゲロウズ・オリジナル。上から時計回りに、お口をさっぱりさせるためのミント、唇や指先の荒れに効くローズ・サルベ、いろんなフレーバーのあるリップグロス

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ビゲロウズ・オリジナルのローズ・サルベ。レトロなパッケージに惹かれます

左右の壁に沿って造りつけた樫材のキャビネット棚は1838年の創業以来、大切に磨かれて店内を見守ってきました。高い天井をささえる円柱やシャンデリア(昔はガス灯だったそうです)も、同じく開店以来のものです。
左側の棚に並ぶのは、シャンプーやリンス、石鹸類。その種類の多さ、洗練度にはクラクラしてしまう! フランス産の品が多いのは、やっぱりビューティーの国の底力なんでしょうかねえ。
対して、右側の棚は香水やアロマキャンドルお化粧ポーチなど。このセレクションがまた、おしゃれなんです。ここをうろうろしているだけでキレイになれるような気がするのって・・・やっぱり勘違いでしょうか・・・ま、いーや。

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店内の壁に作りつけた樫材のキャビネット棚は、1838年の創業以来のもの。

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壁に掛かったプレートには、2代めオーナー(創始者は違う店名をつけていた)、クラレンス・O・ビゲロウ氏以下、代々の店主の名前が刻まれています。

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ずらり並んだシャンプーたち。「どれがサラサラ髪にしてくれるかな~♪」なんて迷うひとときは楽しいもの。

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フランス発、アーモンドを使ったヘア&バス製品。髪も身体もつやつやになりそう!

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コスメコーナーにもフランス発、ル・クラークの化粧品が。クラシカルな缶入りお粉をはたけば、気分は思わず40年代の女優さん!?

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デリケートで美しいお化粧ポーチや鏡、リップケースも、乙女心をくすぐるんです。

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香水&アロマキャンドルも充実! やはりアロマセラピーよねえなんて言い訳しつつ、買いたくなってしまう・・・

薬局って、なんだか用事がなくてもウロウロしたくなりませんか?
棚に並ぶ歯磨きとか歯ブラシを見ていると「そろそろ買い足す時期だっけ?」と思ってしまうし、ドイツや北欧から来た足浴用のソルトとか筋肉痛に効くクリームなんかを眺めては「ホー」と感心してしまう。いろんな形の絆創膏、べっこう柄の櫛、爪を整えるためのクリッパーややすり・・・見ているだけでなにかひとつ身体のためにいいことをしているような、賢くなったような気がするのって・・・これはやっぱり勘違いでしょうか!?

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べっこう柄の櫛、爪ケア用の品々・・・モノの形って美しいな、と思ってしまいます

奥にある薬局には数名の薬剤師が常駐していて、お医者さんでもらう処方箋を渡すと薬を調合してくれます。なんと19世紀にはマーク・トウェインもここでお薬を買っていたそうですよ! ホメオパシーなど自然療法系の薬も多く、このコーナーにはほんと「老舗」の雰囲気が漂っています。

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奥の薬局では熟練の薬剤師さんたちが、薬を調合したりあれこれ相談にのってくれます。俳優のロバート・デニーロスーザン・サランドンもここに薬を買いにくるんですって☆

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薬局部門の壁には、なんだかなつかし~い感じの絵が掛かっています。

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処方箋をもってきたお客さんが薬の調合を待つあいだに腰かけたり、買い物にきたお年寄りがひとやすみするための椅子。

おっと、足下をすり抜ける白黒の猫ちゃん発見! 
そうなんです、ビゲロウズには代々「店猫」がおりまして、お母さんが買い物中に子どもたちと遊んであげたり、薬の処方を待つお客さんのためのイスにじーっと座って温めたり、窓ガラスをぺろぺろ舐めてきれいにしたり、はたまた「今日はどこが具合悪いんですか?」とアドバイスしたり(!?)、老舗ならではの細やかなサービスを提供してきたそうです。現職のアレグラちゃん(アレルギーの薬にちなんで命名)は、ついこのあいだお役目を引き継いだばかり。まだ「修行中」だとかで、とりあえず店内の巡回に忙しそうでした。

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先代の店猫、レックス(処方箋をしめす医学用語、RXにちなんだ名前)君のご遺影。この方は2007年8月に亡くなるまで生涯現役だったそうです

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現役店猫アレグラちゃん、店内巡回中。「ここには何か隠れてるのかな」

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検品作業も、修業のうちです。

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「マダム、ご用事があったら言ってくださいね」とさりげなくも温かい顧客サービス。がんばって立派な店猫になってね♪

(※1)「老舗」と書いて「しにせ」。いい言葉ですよね~。「幾度も洗われて色の落ち着いたのれん」→「伝承の技」→「語り継がれ、愛され続ける味」・・・と瞬く間にパパパパッと連想してしまい、またたびを嗅いだ猫のようにゴロニャーンとなってしまう私なのです。ヘン!?

(※2) 「薬局」は英国やオーストラリアでは「ケミスト」と呼ばれるのだとか(そちら方面にお住まいの方、どうなんでしょう?)。北米では薬局のみなら「ファーマシー」、雑貨やお菓子なども売っている店は「ドラッグストア」と呼ばれます。でも19世紀の面影を色濃く残したビゲロウズは「アポセカリー」と呼びたくなってしまう。古代ギリシャの言葉で“ものを貯蔵しておくところ”を示す「アポテケ」が語源だそうです。あのノストラダムスも本職は「アポセカリー」だったんですって! 余談でした~

 

★次回の更新は10月5日(金)です! 

2007年9月21日 (金)

ベスト・ベーグルを探せ!

パリならバゲット。ロンドンならスコーン。東京だったら木村屋のあんぱん(桜あんぱん+ミルクたっぷりコーヒーの幸せ♪)。さて、ニューヨーク名物のパンとくれば・・・
もちろん、ベーグル

ベーグルが登場する歴史上もっとも古い記録は、ポーランドのクラクフ市で1610年に出された条例(※1)だそうです。東欧系ユダヤ人の移民たちによって北米、特にアメリカではユダヤ系移民の多いニューヨーク、カナダではモントリオール(※2)に定着しました。

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ユダヤ教徒にはいろいろ食の規律があって、ニューヨークの食べものやさんではときどきこういう「認定証」をみかけます。

ニューヨークのベーグル屋さんはたいてい、持ち帰りだけでなくイートイン・コーナーがあります。無造作にカゴに放り込まれた幾種類ものベーグルたち。どれが焼きたてかな? と目をこらし、何を挟もうかドキドキしながら悩むひととき☆
白ごまベーグルに卵サラダを挟んでもらい、黒コショウをふりかけて食べるのもいいし、プレーンベーグルにクリームチーズ+スライストマトも捨てがたい。あるいはクリームチーズ+ノヴァ(塩分ひかえめで低温スモークしたマイルドなサーモン)+スライスオニオンちょっぴりとか・・・
「えいっ!」と意を決して注文すると、カウンターの内側でパパッと作ってくれます。ベーグル屋さんの仕事の早さは、見ていて気持ちのいいもの。ランチどきで列が長くても、こちらがレジに辿りつくころにはお好みのベーグルサンドが熱々のコーヒーと共に待っていてくれるのです。

ニューヨークにベーグル屋は数々あれど、私の個人的お気に入りはダウンタウンにある、マレイズ・ベーグル! 

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ウエストビレッジ&チェルシーに店舗のある、マレイズ・ベーグル。

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かごに「ホラよ!」と放り込まれたベーグルたち。ホウレンソウを練りこんだスピナッチとか、オート麦入りなんて変わり種もあります。

皮はパリッとして歯触りがよく、中はふっくら。私はここんちのホワイトフィッシュ・サラダが好きで、一時は真剣に「毎週食べてもいい!」と考えていたほどなのです。
ホワイトフィッシュは日本語でなんて言うんだろう? ズバリこれ、という訳語が見つからないのですが、どうやらマスの一種みたい。これをスモークしてほぐし少量のマヨネーズであえたのが、ホワイトフィッシュ・サラダです。燻製といってもスモークがあまりキツくなく、しみじみした旨味があっておいしいですよ~。

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ワタクシの愛するホワイトフィッシュサラダ+スライストマトのサンドイッチ。今日は黒パン生地の「プンパーニッケル・ベーグル」にしてみました。

ニューヨークのベーグル屋といえば必ず名前があがるのが、H&Hベーグル
ゼイバーズのお隣に小売店があるほか、いろんなお店に卸売りしています。この店は残念ながらイートインコーナーがなく、お持ち帰りのみ。パンは翌日になるとすこし身が締まるので、軽くトーストしてクリームチーズを塗り、キュウリを挟んでランチにしてみました。さすが老舗、一日たってもおいしかったです♪(でもやっぱり、ベーグルは焼きたてをお店で食べるほうに1票入れておきます)

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こちらはアップタウンにある老舗H&Hベーグル。

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持ち帰りのみなのが、ちょっぴり残念。

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H&Hでは、ベーグル一個でもこんな袋に入れてくれる。ちょっと嬉しい。

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本日買ったのは「エブリシング(全部のっけ)・ベーグル」。白ごま、ポピーシードなどいろいろのっかってます。軽くトーストして、クリームチーズとキュウリを挟んでみたら、美味♪

むかーし住んでいたカリフォルニアにもベーグルはあったし、オレゴン州にも「ニューヨーク風ベーグル」の店がありました。でもね、ナニカがちがうんです。ニューヨーク風ベーグルの身上である“皮パリ+中ふっくら感”がなくて、全体にモソモソしてしまうというか、水をがぶがぶ飲みたくなってしまう。
讃岐うどんはやっぱり香川県よねとか、大阪のたこやきを食べたら他では食べられないとか、その土地ならではの食べものってありますよね。素材や気候に沿って形づくられたり、それを食べて育った人たちによって代々、伝えられてきたり・・・そんなふうに時間という「材料」も含めた、味の確かさなのかもしれません。

もちろん言葉やファッションと同じように、食文化もどんどん変わっていくもの。移民が新しい土地へとたずさえ持ちこんでゆく美味もあれば、海外を旅した人が「こんな食べものがあったの!」とビックリして持ち帰る美味もある。変わっていく味と伝えられていく味のバランスの中で「やっぱり○○はここでなくっちゃ」とこだわりを持ってみたり、「本当においしい△△はあそこに行かないと食べられないね」とちょっとした“不便さ”を味わってみるのも(便利になりすぎた社会だからこそ!?)、ささやかなれど楽しいことだよね、なんて思うのです。

(※1)「妊娠した女性にはベーグルを与えること」という条例だったそうです。「なんでベーグルを?」とか「他の人は食べちゃいけないの?」とかいろいろ疑問が湧いてきますが・・・「円い形=生命の象徴」と見なされたのでは、というのが一般的な見解、ということでした。

(※2)生地を形作ったあとグラグラ沸いたお湯にいれてさっと茹で、それから焼く・・・というのがベーグルの作り方なのですが、ニューヨークとモントリオールでは生地に入れる材料と、この「茹で湯」にはちみつを入れるか入れないかで味に違いがあるのだとか。はちみつを入れないニューヨークのベーグルはぷっくりふくらんで、さっぱり味。モントリオールのベーグルはもちもちして、いくぶん甘みが際だっているのだそうです(こっちも食べてみたい)。

 

★次回の更新は9月28日(金)です! 

2007年9月14日 (金)

小さな来訪者たち

週末の朝、心地よい眠りを貪っていた私。トローリ温かい波間に浮かぶ如く、夢の世界を漂って・・・

と、そのとき。
「ミ」と「ビ」が混じったちょっと鼻音気味のブザーが、
ンムビイィィィィ!!!!!
と、響いたのです。

寝ぼけつつ「んむ?」と耳をすますと、どうやら階下に住む友人(私の大家さんでもある)ダーリーンのところに誰かやってきたみたい。 
もそもそと起きだしてコーヒーを淹れ、愛猫ニャニャムジカ・チャマスカヤに朝のヨーグルトをおすそわけしていると、ダーリーンの声が聞こえてきました。
「葉? もし起きているなら、ちょっと来てみて!」

階下の書斎のドアを開けると、あらまあ!

手のひらにのるくらい小さな黒白のタキシード子猫が3匹、グレムリン(※)みたいにでっかい目をしてひょこひょこ歩いているではありませんか。
「近所の人が連れて来たのよ。車のタイヤの中にいたんですって。もしかしたら母猫がそばにいるかもしれないから、様子を見てるんだけど・・・捨て猫かもしれないわね」

Kittens

ダーリーンと旦那さんヨースのうちには、すでに3匹の猫がいます。伝染病を持っているといけないからチビたちはひとまず書斎に隔離して、ネコネコ作戦がはじまりました。

まだキャットフードは消化できないかも、ということで人間向けのベビーフードを水で溶いて与えたり、蔵書家のヨースは本におしっこをひっかけられたりしないように本棚をビニールで覆ったり。

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ゴハンをあげると「んにゃーっ」とばかりに集まるチビたち。ハグ、ハグと音が聞こえるくらい一生懸命に食べるのです。

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競い合うようにして食べるチビ猫。1匹ははじきだされて、2匹の取り合いとなってしまいました・・・

大人猫たちはといえば、書斎が好きな読書家の(?)イーノ君は、お気に入りスポットを冷蔵庫の上に移しました。最年長の兄貴猫エディプスは、おチビがいる気配がわかるらしく、ときどき書斎の前に来ては興味深げに見守っています。それまでいちばん歳下だった“ベイビー”ちゃんはちょっぴりヤキモチを焼いているみたい。

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書斎をおチビに一時譲り、キッチンに身を寄せているイーノ王子。知的で穏やかな貴公子なんです

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ダーリーン&ヨース家の兄貴猫、エディプス君。「ザ・キング」の渾名をもつだけあって、威風堂々。

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「ほんとは、あたしがベイビーなのにさ」 ちょっとフテクサレ気味のベイビーちゃん。

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「あたしは、子猫とか、興味ないしー」 と、わが愛猫ニャニャムジカ姫。

なんと二日めに、チビたちにノミがついていることが発覚! でもまだ小さすぎてノミ取りシャンプーが使えないので、細かい歯の櫛でせっせとブラッシングすることにしました。これは私も手伝いましたが、ノミにはノミの事情があるとはいえ、こんなチビ猫たちの血を吸ってうれしそうにぴょんぴょん跳ねているなんて、やっぱり憎らしいものです。「ええいっ! 死滅してしまえ~」と思いながら駆除に励みました。(その後ダーリーンが猫版ベビーシャンプーを見つけてきたので、ノミは撃滅。ホッ)

おチビはやっぱりおチビなんですねー。動くものが面白いらしく、ピンクのふわふわボアがついた猫じゃらしに夢中! でも途中でお互いのしっぽに関心が移って、三匹でもつれあってしまうことも。
「こんな狭い空間にどうやって!?」と思うくらい小さな隙間でも、ぐいぐい入り込んで安心した顔をしているのを見ると、そういえば私も子どものころ押し入れの布団のあいだにもぐるのが好きだったなー、なんて思い出します(自分の身体がぴったり入る空間から外を眺めるのって、なんだかホッとするものですよね)。

アパートやコンドミニアム(日本で言う分譲マンション)に住む人がほとんど、ということもあって、ニューヨーカーはけっこう猫好き。街を歩いていてふと見上げると、窓から外を見ている猫の姿が見えたりもします。救護団体にも、引き取り手が見つからなくても毒殺しない「ノー・キル」のシェルターとか、「野良猫・外猫のすべてに家を見つけるのは不可能」というリアリティを認識しつつせめて猫人口(←ホントは“猫口”というべき?)が爆発的に増えるのをふせぐため、地域の人と協力しあいながら外猫たちに避妊手術を受けさせて、現在いる猫たちの生活を安定させようと働くボランティア団体もあります。

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大都会ニューヨーク。でもここで暮らしているのは人間だけじゃなくて・・・

おチビたちはそろそろ、新しいおうちを探し中。「書斎での仕事にも集中できないからね」と言いながらも「ほら、ごらん! チビたちの写真撮ったんだよ。かわいいだろ~」なんて自慢するヨースを見ていると、思わず微笑みがこぼれてしまうのです・・・

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「都会で暮らすと、疲れもたまるのにゃーっ」

(※)グレムリンってハリウッド映画に出てくるETの後輩みたいなやつだよね、と思っていたら、妖精の一種だったんですね! 道具や機械の発明を手助けしていたのに人間がありがたいと思わないので、悪戯するようになったのだとか。コンピューターがいきなり不調になるのも、グレムリンの仕業なのかしら!? 余談でした~。

 

★次回の更新は9月21日(金)です! 

2007年9月 7日 (金)

秋だから行きたい! ミュージアム

陽射しがやわらぎ、朝夕の涼しさに秋の気配が感じられる頃となりました。ニューヨークにも蝉がいるらしく、こちらハーレムの裏庭からは、夕刻になるとジジジジィーと郷愁をさそう声(←羽音というべき?)が聞こえてきます。
仕事+風邪+もろもろのハプニングに見舞われて、旅行はおろか、海や郊外への日帰り遊びさえ叶わなかった今年の夏。せめて数時間の逃避行+芸術の秋のプレビューということで(?)美術館を訪ねています。

ニューヨークといえばMOMAホイットニーグッゲンハイムなど個性豊かな現代美術館がたくさん。なかでも私のお気に入りはメトロポリタン美術館。 

ずっと前にはじめて訪れたときは入場料15ドルのモトを取ろうと欲張ってしまい、巨大な館内をあちこち歩き回りました。おかげで一日の終わりには古代エジプトのミイラとモネの油絵と中国の仏像が頭の中をぐるぐると渦巻き、足はむくんでパンパンという、なんともトホホな状態に・・・。
でも去年ふと調べてみたら、なんと年間60ドルで通い放題という会員制度があるではないですか! さっそくインターネットで登録し、晴れて“ネット・メト会員”に♪ おかげでこの1年は“プチ逃避行”にずいぶん通いましたよー。。

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メトロポリタン美術館の目玉のひとつ、デンダー寺院。本殿を囲む池には「コインを投げ入れないでください」との札があるにもかかわらず無数の銅貨が。水をみるとお金を投げ入れたくなる人間の心理!?

芸術に対する個人の好みって、不思議だと思いませんか? どうしてそれが好きなのか言葉では説明できなかったり、同じような環境のもと育った家族やきょうだいでもまったく違うものに惹かれたり。
美術だけでなく音楽やファッションを含め、私はオールドファッションというか、アナログ的というか、1940年代以前の世界が好きみたいなのです。現代美術はどうも生理的に合わなくて、逃げ出したくなってしまうことも。他方、ルネサンスから19世紀あたりのヨーロッパ美術は見ていて心地よいなと思うし、それからこれはやっぱり育った環境のせいか、日本美術、特に鎌倉時代あたりの仏像を前にするとほっとします。

メト美術館でいちばん好きなのは、古代メソポタミアの部屋。ここには翼をはやした一対の巨大な石像があります。胸まで垂れるふさふさのひげをはやし、にっこりと笑う神話的動物。ラマスー、あるいはシェドゥと呼ばれるこのヒトたちは、守護神として王宮や都市の入口に置かれていたのだとか。私は秘かに「翼のはえたおじさん」と呼んで、気持ちがざわざわしたときや拠り所が欲しくなったとき、会いにいきます。
古代の王宮を模した部屋でおじさんたちとこっそり“会話”をし(声には出しませんが)、それから古代シリアから出土した青銅のガラガラや古代アナトリアからやってきた壷なんかを眺め、もしも時間があれば古代エジプトの神様に会いに行くことも。一時間ちょっとの逃避行。でもその中で数千年、数千キロの時空間を旅している・・・とも言えますよね!?

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こちらもエジプトより、陶製の小羊。この微妙な表情がね、なんとも気になってしまうのです。

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古代メソポタミアの守護神ラマスー、別名「翼のはえたおじさん」。右のおじさんは雄牛の身体、左のおじさんは獅子の身体。

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古代シリアのガラガラ。お祈りなどに使われていたのだとか。これを祈祷師が振りながら踊ったのかな、なんて想像してみると、古代の人々に親近感が湧いてきませんか!?

もっと遠くへ旅しちゃおう! と思い、先日はアメリカ自然史博物館の特別展『神話世界のいきもの展』に行ってみました。一角獣人魚ドラゴン日本のカッパもいましたよ! 
怪しいカーニバルの見せ物に使われた“人魚のミイラ”(←小動物の骨と魚を組み合わせた偽物)とか、“1つ目巨人の頭蓋骨”(←本当は額に穴のあいた象の頭蓋骨)とか、思わず「だはははは!」と笑ってしまう展示品も。でも古今東西くりかえし登場する龍の姿や、深海に生きる巨大イカの写真なんかを見ていると「世界には知らないことや不思議なことがたくさんある」と思えてきます。

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こちらは『神話世界のいきもの展』開催中の、アメリカ自然史博物館。『ネバーエンディング・ストーリー』を思い出しますネ。

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同じ館内にはプラネタリウムと、すばらしい鉱物博物館も。宇宙へ思いを馳せたいときにはこちら☆

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さすが自然史博物館、玄関から「ヌォ~ッ」とブロントザウルス君が迎えてくれます。

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『神話世界のいきもの展』は写真禁止だったので、常設展の化石コーナーを撮影してきました。こちらは古代の海の中。

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空飛ぶカメもいますっ!(じゃない、海の中から見た風景でした)

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昔はこーんなに大きな象がいたのですもの、一角獣やドラゴンだっていたかもしれませんよね!?

ところで、作家・池澤夏樹氏によれば、日本語で美術館/博物館と呼び分けられているのは、もとはひとつの言葉だったそうです。
英語ではミュージアム、フランス語ではミュゼもともとは芸術と創造を司る九人の女神ミューズに由来する言葉なのだとか。確かに、美術館でもあり博物館でもあり・・・というミュゼ(とフランス語で言ってみました♪)はたくさんありますよね。明治時代の“外来語翻訳”でこうなったらしいのですが、なんでふたつに分けたんでしょうね? 

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仕上げはカフェにて、一角獣クッキー。でもとても食べられなくて、おやつ用は別途、フルーツタルト購入(おいしかった)。

「あづい!!」と叫び寝返りを打つ熱帯夜も、そろそろ終わり。遠い記憶に耳をすましてみたり、世界の不思議に思いを馳せたり・・・そんなふうに秋への準備をしてみるのも、いいと思いませんか?

 

★次回の更新は9月14日(金)です! 

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プロフィール

渡辺葉
渡辺 葉(わたなべ よう)
翻訳家・エッセイスト。慶応大学卒業後、カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校への留学を経て女優を志す。95年からニューヨークで暮らし始め、舞台女優として活動。現在はエッセイの執筆や料理本の翻訳などを手がける。料理とダンスが大好きな、好奇心旺盛な女性です。
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