小さな来訪者たち
週末の朝、心地よい眠りを貪っていた私。トローリ温かい波間に浮かぶ如く、夢の世界を漂って・・・
と、そのとき。
「ミ」と「ビ」が混じったちょっと鼻音気味のブザーが、
ンムビイィィィィ!!!!!
と、響いたのです。
寝ぼけつつ「んむ?」と耳をすますと、どうやら階下に住む友人(私の大家さんでもある)ダーリーンのところに誰かやってきたみたい。
もそもそと起きだしてコーヒーを淹れ、愛猫ニャニャムジカ・チャマスカヤに朝のヨーグルトをおすそわけしていると、ダーリーンの声が聞こえてきました。
「葉? もし起きているなら、ちょっと来てみて!」
階下の書斎のドアを開けると、あらまあ!
手のひらにのるくらい小さな黒白のタキシード子猫が3匹、グレムリン(※)みたいにでっかい目をしてひょこひょこ歩いているではありませんか。
「近所の人が連れて来たのよ。車のタイヤの中にいたんですって。もしかしたら母猫がそばにいるかもしれないから、様子を見てるんだけど・・・捨て猫かもしれないわね」
ダーリーンと旦那さんヨースのうちには、すでに3匹の猫がいます。伝染病を持っているといけないからチビたちはひとまず書斎に隔離して、ネコネコ作戦がはじまりました。
まだキャットフードは消化できないかも、ということで人間向けのベビーフードを水で溶いて与えたり、蔵書家のヨースは本におしっこをひっかけられたりしないように本棚をビニールで覆ったり。
ゴハンをあげると「んにゃーっ」とばかりに集まるチビたち。ハグ、ハグと音が聞こえるくらい一生懸命に食べるのです。
競い合うようにして食べるチビ猫。1匹ははじきだされて、2匹の取り合いとなってしまいました・・・
大人猫たちはといえば、書斎が好きな読書家の(?)イーノ君は、お気に入りスポットを冷蔵庫の上に移しました。最年長の兄貴猫エディプスは、おチビがいる気配がわかるらしく、ときどき書斎の前に来ては興味深げに見守っています。それまでいちばん歳下だった“ベイビー”ちゃんはちょっぴりヤキモチを焼いているみたい。
書斎をおチビに一時譲り、キッチンに身を寄せているイーノ王子。知的で穏やかな貴公子なんです
ダーリーン&ヨース家の兄貴猫、エディプス君。「ザ・キング」の渾名をもつだけあって、威風堂々。
「ほんとは、あたしがベイビーなのにさ」 ちょっとフテクサレ気味のベイビーちゃん。
「あたしは、子猫とか、興味ないしー」 と、わが愛猫ニャニャムジカ姫。
なんと二日めに、チビたちにノミがついていることが発覚! でもまだ小さすぎてノミ取りシャンプーが使えないので、細かい歯の櫛でせっせとブラッシングすることにしました。これは私も手伝いましたが、ノミにはノミの事情があるとはいえ、こんなチビ猫たちの血を吸ってうれしそうにぴょんぴょん跳ねているなんて、やっぱり憎らしいものです。「ええいっ! 死滅してしまえ~」と思いながら駆除に励みました。(その後ダーリーンが猫版ベビーシャンプーを見つけてきたので、ノミは撃滅。ホッ)
おチビはやっぱりおチビなんですねー。動くものが面白いらしく、ピンクのふわふわボアがついた猫じゃらしに夢中! でも途中でお互いのしっぽに関心が移って、三匹でもつれあってしまうことも。
「こんな狭い空間にどうやって!?」と思うくらい小さな隙間でも、ぐいぐい入り込んで安心した顔をしているのを見ると、そういえば私も子どものころ押し入れの布団のあいだにもぐるのが好きだったなー、なんて思い出します(自分の身体がぴったり入る空間から外を眺めるのって、なんだかホッとするものですよね)。
アパートやコンドミニアム(日本で言う分譲マンション)に住む人がほとんど、ということもあって、ニューヨーカーはけっこう猫好き。街を歩いていてふと見上げると、窓から外を見ている猫の姿が見えたりもします。救護団体にも、引き取り手が見つからなくても毒殺しない「ノー・キル」のシェルターとか、「野良猫・外猫のすべてに家を見つけるのは不可能」というリアリティを認識しつつせめて猫人口(←ホントは“猫口”というべき?)が爆発的に増えるのをふせぐため、地域の人と協力しあいながら外猫たちに避妊手術を受けさせて、現在いる猫たちの生活を安定させようと働くボランティア団体もあります。
大都会ニューヨーク。でもここで暮らしているのは人間だけじゃなくて・・・
おチビたちはそろそろ、新しいおうちを探し中。「書斎での仕事にも集中できないからね」と言いながらも「ほら、ごらん! チビたちの写真撮ったんだよ。かわいいだろ~」なんて自慢するヨースを見ていると、思わず微笑みがこぼれてしまうのです・・・
「都会で暮らすと、疲れもたまるのにゃーっ」
(※)グレムリンってハリウッド映画に出てくるETの後輩みたいなやつだよね、と思っていたら、妖精の一種だったんですね! 道具や機械の発明を手助けしていたのに人間がありがたいと思わないので、悪戯するようになったのだとか。コンピューターがいきなり不調になるのも、グレムリンの仕業なのかしら!? 余談でした~。
★次回の更新は9月21日(金)です!










葉さんはじめまして。
いつも楽しく拝見させていただいてます。
おチビ達、タイヤの中にいたなんて。
私も今では動物のいない生活は考えられませんが、同時に責任もひしひしと感じます。動物の運命は人間によって左右されるので、切ない物語もたくさん耳にしますね。
しかし、このおチビちゃん達はラッキー♪
これから可愛がってくれる飼主のところにもらわれていくことでしょう~。それにしても、3匹ともそっくり・・・と思いきや!目の間の白い幅が違いますね。。。ニャニャムジカ姫はクールな反応。。。?
投稿 toramania | 2007年9月15日 (土) 15時39分
はじめまして☆
渡辺葉さんの大ファンで、エッセイ本とこちらをいつも拝見させて頂いてます。
今日は私も猫好きなので、我慢できなくて書かせて頂いちゃいました。
このおチビちゃん達、、、かわいいですねぇ。。。
猫好きには、たまらないですっ!!
そして気になるのが、配色!!
イーノ王子とそっくりですが・・・彼がパパなのでしょうか!?(偶然の配色!?気になります。。。)
そして!!ニャニャムゥのごろりん写真もたまりませんっ。。。
おチビちゃん達が無事、新しいお家が決まる事を祈ってます(^^)
投稿 MIYUKI | 2007年9月15日 (土) 16時18分
今日、このブログを発見しました。(遅い。。。)
葉さん、はじめまして。
NYにもどられたことを、御本で知って
新しいエッセイも読みたいなぁと思っていたので、
とてもうれしいです。
私も、葉さんとちょうど同じくらいNYで暮らしているので、
書かれていること、共感を持って読ませていただいています。これからさかのぼって、バックナンバーのブログ、ゆっくり読みます、楽しみ〜。
ちなみに家には、夫が以前シェルターからアダプトした雑種の姫犬がおります。私にとって初めてのペットなのですが、今や超親ばか状態です。
3匹の子猫ちゃん、よいお家が見つかりますように。
投稿 Yoko | 2007年9月16日 (日) 06時40分
フレンズ・オブ・アニマルズのみなさま、コメントありがとうございます! まずはご報告。チビたち、新しいおうちが見つかったのです! ブルックリン在住のマダムから電話があり、先週末に3匹揃ってお引っ越ししてゆきました。私はその場に居合わせなかったのですが、3匹いっしょにひきとってくれたマダムの理解&愛情深さに感激・・・仲良く育っていくことと思います♡
toramaniaさん、鋭いですね。チビたち、額の白い線の幅がちがっていて、ちょっと性格も違うんです。左右非対称のコはおっとりさんで、ごはんどきにはオロオロしていました。
ニャニャムジカ姫は貴族なので、気位が高いのです。なんでもエカテリーニャ2世の血を引いてらっしゃるんですってよ・・・(ヒソヒソ←『ベルばら』風)
MIYUKIさんも観察眼スルドシ。イーノ君もおチビも「タキシード」という柄(あれは“柄”なのか?)だそうですが、イーノ君は書斎でのお勉強に忙しくてデートの暇がないんです・・・将来はたぶんハーバードで博士号を取ると思います♪
そしてYokoさま。こんにちは。以前のニューヨーク生活も読んでくださっていたなんて、感激です! そーなんです、うるさいし、みんな態度デカイし、ときどきキチャナイけど、やっぱりこの街がいちばん! どこかでバッタリお会いできたらいいですね〜。
というわけで、ベイビーちゃんは無事「一家のベイビーちゃん」に戻ってハッピーな日々を送っています・・・
投稿 葉 | 2007年9月18日 (火) 11時54分
葉さん、こんばんは。いつも楽しみに読んでます。今回のとてもかわいらしい猫ちゃん達、みんな一緒にもらわれて本当に良かったです。幸せになって欲しいです。私の家は犬を飼ってます。最近、ベランダの下に野良猫が住み着いていてお腹をすかせているのでたまらず餌をあげてしまいました。責任を持てないならあげるなと言われましたが、どうしてもかわいそうであげてしまいます。人は嫌いみたいで近寄ってはきませんし威嚇します。それでも我が家にしか頼るところがないなら私は餌をあげようと思ってしまいます。きちんと考えなきゃいけないですよね。
投稿 おはん | 2007年9月19日 (水) 20時53分
あれ~白黒ねこちゃんですね (=ΦwΦ=)
わが家も 白黒猫がいますよっ!
もうすぐ10歳 男の子です。
タキシード猫って呼ぶのですね~
初めて知りましたよ。 ありがとうm(_ _)m
投稿 きゃろらいん | 2007年9月19日 (水) 23時25分
おはんさん、こんにちは。外猫ちゃんとの出会いがあったのですね。「責任」ってよく使う言葉だけれど、何に対するどんな「責任」で、時間的にはいつまで「責任を負うべき期間」になるのか? 考えてみたいモンダイです。外猫ちゃんがやってきて、「お腹すいたの〜!!!」と訴えたら、わたしもやっぱりごはんをあげるんじゃないかな。そのごはんのおかげで元気が出て、その子はまた自分で食べものを探せるようになるかもしれない。何かにたまらなく胸が動かされるとき、自分の中の「YES!」という声に耳を傾けて行動することは、そのとき、その瞬間において最も責任ある行動かもしれない・・・とも思うこのごろです。
きゃろらいんさんも、コメントありがとうございました。そうなんでちゅ。タキシード、りりしいですね。よいですね。ちょっと大きくなったら並ばせて、フランク・シナトラの歌とか歌ってほしいものです。ではきゃろらいん家のニャンコもタキシード? それとも白黒ぶちかな? 次回(ベーグルの後)にも猫ちゃんが登場します。乞うご期待っ☆
投稿 葉 | 2007年9月22日 (土) 09時27分