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2007年9月 7日 (金)

秋だから行きたい! ミュージアム

陽射しがやわらぎ、朝夕の涼しさに秋の気配が感じられる頃となりました。ニューヨークにも蝉がいるらしく、こちらハーレムの裏庭からは、夕刻になるとジジジジィーと郷愁をさそう声(←羽音というべき?)が聞こえてきます。
仕事+風邪+もろもろのハプニングに見舞われて、旅行はおろか、海や郊外への日帰り遊びさえ叶わなかった今年の夏。せめて数時間の逃避行+芸術の秋のプレビューということで(?)美術館を訪ねています。

ニューヨークといえばMOMAホイットニーグッゲンハイムなど個性豊かな現代美術館がたくさん。なかでも私のお気に入りはメトロポリタン美術館。 

ずっと前にはじめて訪れたときは入場料15ドルのモトを取ろうと欲張ってしまい、巨大な館内をあちこち歩き回りました。おかげで一日の終わりには古代エジプトのミイラとモネの油絵と中国の仏像が頭の中をぐるぐると渦巻き、足はむくんでパンパンという、なんともトホホな状態に・・・。
でも去年ふと調べてみたら、なんと年間60ドルで通い放題という会員制度があるではないですか! さっそくインターネットで登録し、晴れて“ネット・メト会員”に♪ おかげでこの1年は“プチ逃避行”にずいぶん通いましたよー。。

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メトロポリタン美術館の目玉のひとつ、デンダー寺院。本殿を囲む池には「コインを投げ入れないでください」との札があるにもかかわらず無数の銅貨が。水をみるとお金を投げ入れたくなる人間の心理!?

芸術に対する個人の好みって、不思議だと思いませんか? どうしてそれが好きなのか言葉では説明できなかったり、同じような環境のもと育った家族やきょうだいでもまったく違うものに惹かれたり。
美術だけでなく音楽やファッションを含め、私はオールドファッションというか、アナログ的というか、1940年代以前の世界が好きみたいなのです。現代美術はどうも生理的に合わなくて、逃げ出したくなってしまうことも。他方、ルネサンスから19世紀あたりのヨーロッパ美術は見ていて心地よいなと思うし、それからこれはやっぱり育った環境のせいか、日本美術、特に鎌倉時代あたりの仏像を前にするとほっとします。

メト美術館でいちばん好きなのは、古代メソポタミアの部屋。ここには翼をはやした一対の巨大な石像があります。胸まで垂れるふさふさのひげをはやし、にっこりと笑う神話的動物。ラマスー、あるいはシェドゥと呼ばれるこのヒトたちは、守護神として王宮や都市の入口に置かれていたのだとか。私は秘かに「翼のはえたおじさん」と呼んで、気持ちがざわざわしたときや拠り所が欲しくなったとき、会いにいきます。
古代の王宮を模した部屋でおじさんたちとこっそり“会話”をし(声には出しませんが)、それから古代シリアから出土した青銅のガラガラや古代アナトリアからやってきた壷なんかを眺め、もしも時間があれば古代エジプトの神様に会いに行くことも。一時間ちょっとの逃避行。でもその中で数千年、数千キロの時空間を旅している・・・とも言えますよね!?

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こちらもエジプトより、陶製の小羊。この微妙な表情がね、なんとも気になってしまうのです。

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古代メソポタミアの守護神ラマスー、別名「翼のはえたおじさん」。右のおじさんは雄牛の身体、左のおじさんは獅子の身体。

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古代シリアのガラガラ。お祈りなどに使われていたのだとか。これを祈祷師が振りながら踊ったのかな、なんて想像してみると、古代の人々に親近感が湧いてきませんか!?

もっと遠くへ旅しちゃおう! と思い、先日はアメリカ自然史博物館の特別展『神話世界のいきもの展』に行ってみました。一角獣人魚ドラゴン日本のカッパもいましたよ! 
怪しいカーニバルの見せ物に使われた“人魚のミイラ”(←小動物の骨と魚を組み合わせた偽物)とか、“1つ目巨人の頭蓋骨”(←本当は額に穴のあいた象の頭蓋骨)とか、思わず「だはははは!」と笑ってしまう展示品も。でも古今東西くりかえし登場する龍の姿や、深海に生きる巨大イカの写真なんかを見ていると「世界には知らないことや不思議なことがたくさんある」と思えてきます。

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こちらは『神話世界のいきもの展』開催中の、アメリカ自然史博物館。『ネバーエンディング・ストーリー』を思い出しますネ。

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同じ館内にはプラネタリウムと、すばらしい鉱物博物館も。宇宙へ思いを馳せたいときにはこちら☆

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さすが自然史博物館、玄関から「ヌォ~ッ」とブロントザウルス君が迎えてくれます。

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『神話世界のいきもの展』は写真禁止だったので、常設展の化石コーナーを撮影してきました。こちらは古代の海の中。

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空飛ぶカメもいますっ!(じゃない、海の中から見た風景でした)

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昔はこーんなに大きな象がいたのですもの、一角獣やドラゴンだっていたかもしれませんよね!?

ところで、作家・池澤夏樹氏によれば、日本語で美術館/博物館と呼び分けられているのは、もとはひとつの言葉だったそうです。
英語ではミュージアム、フランス語ではミュゼもともとは芸術と創造を司る九人の女神ミューズに由来する言葉なのだとか。確かに、美術館でもあり博物館でもあり・・・というミュゼ(とフランス語で言ってみました♪)はたくさんありますよね。明治時代の“外来語翻訳”でこうなったらしいのですが、なんでふたつに分けたんでしょうね? 

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仕上げはカフェにて、一角獣クッキー。でもとても食べられなくて、おやつ用は別途、フルーツタルト購入(おいしかった)。

「あづい!!」と叫び寝返りを打つ熱帯夜も、そろそろ終わり。遠い記憶に耳をすましてみたり、世界の不思議に思いを馳せたり・・・そんなふうに秋への準備をしてみるのも、いいと思いませんか?

 

★次回の更新は9月14日(金)です! 

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コメント

NYには本当に見ごたえがあり、
価値のある美術館がありますね!
バンクーバーではロクなものがないのですが、
今はクリーブランド美術館から借りている
「モネからダリ」展が開催されています。
私も息子を連れて早速行って来ましたよ!

日本では毎週くらい何かを見に出かけていたので、
ホントこっちでは物足りないことばかりですけど、
今回の催しで生き返りました!!
息子は私と同じくダリが気に入ったようでした。
ヘンなところばっかり似る子だ・・・(笑)

庭ふくろうさん、こんにちは! 
モネからダリ、ですか。ビジュアル的に想像すると、「そ、その間がどうなっているのか、知りたい・・・」と好奇心がふくらんでしまいます。私も、ダリ、けっこう好きです。思わず奇天烈さに関心が行ってしまうのですが、実はすごい画家ですよね。・・・っていうか、画家ですよね・・・パフォーマーじゃなくて(汗) そんでもって、そういうダリと感性リンクしたご子息、素敵ですわ♪

じぇんじぇん関係ないけど、さきごろ英国で開催された「世界ひげコンテスト」では「口髭」「帝王髭」などにまじって、「ダリ髭」部門があったそうです。まあちょっと見てやってください。(うまくリンクつながりますように)   
http://news.bbc.co.uk/2/hi/in_pictures/6974110.stm

葉さん、はじめまして♪
家の都合でNYに何度か足を運ぶことになり、葉さんの本を片っ端から読みました。
興奮したり、感動したりも味わいましたが、つらくて引きこもったりもしました。
まだまだ葉さんのNYとは違うようです。
前回、帰国してから3ヶ月。もう戻りたくない・・。と思っていましたが、昨夜、あなとと私も「つながっている」と読んで手をつないでもらった感じがして涙がでました。そして今日、ここへたどり着いた訳です。

メトロポリタンへ初めて行ったとき、圧倒されて欲張ってあちこちうろうろしてしまい、結局家へ戻って思い返してみると50の家からセントラルパークの淵を歩いて行く途中の水溜りに写った緑の木々がとびきり素敵だったことしか心に残っていません・・笑。

今は日本の方が好きだけど、夕焼けも緑も空も、好きな風景を日本より大きく感じるのは何故だろうと思います。

お髭の数々、見てきました。
わっはっは~!!
手入れが大変そうですよねぇ。
それだけで午前中がつぶれてたりして(爆)

ともさん、はじめまして。ようこそいらっしゃいました! 

人には「なぜか惹かれる場所」ってあるよね、と思います。だから逆に、自分にはピンとこない場所というのも、あると思います。なんでしょうね、「相性」という言葉はすこし緊張してしまいますが、「暑がり」と「寒がり」がいるようにいろんな思い、いろんな感覚がある、そういうことなのかもしれません。

ニューヨークはともかく「濃い」街ですし、うわー、きつー、と思われる方がいても、不思議はありません。そういうときは無理したり頑張りすぎないで、「ほっ」とできるものへと顔を向けるのはよいことではないかしら。水たまりに映った木陰、私も見るの好きです。うまくいえないけど、そういうものも、宝ものの一種だと思うんです。

翼のおじさんも、今度訪ねてみてください(キュッと上がった唇がけっこうキュートなんです) 。私こーゆー者ですが(右上写真参照)どこかで遭遇したらお声をかけてくださいね!

庭ふくろうさん、ひげ訪問ありがとうございました。結局優勝したのはわりと普通(っていうか・・・っていうか・・・比較すると、ってことです)のひげ者だったのですが、放射線状に広がっている人とか、横にびよーんとのびている人とか、満員電車は嫌でしょうねえ(←余計なお世話)

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プロフィール

渡辺葉
渡辺 葉(わたなべ よう)
翻訳家・エッセイスト。慶応大学卒業後、カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校への留学を経て女優を志す。95年からニューヨークで暮らし始め、舞台女優として活動。現在はエッセイの執筆や料理本の翻訳などを手がける。料理とダンスが大好きな、好奇心旺盛な女性です。
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