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2008年1月11日 (金)

2008年。目に見えないもの、言葉にならないものに心を向けてみませんか?

あけましておめでとうございます!!
「こんなことにトライしよう」と抱負を胸に抱いて新年を迎えた方も多いのでは? ワタクシもお雑煮を味わいつつ「今年はっ」と握りこぶしを作っておりました。さてワタクシの抱負とは・・・

<目にみえないもの、言葉にならないものにたいして、もっと意識を開いてみよう>星の王子さま』のキツネも言ってましたね、「本当に大切なものは目に見えない」って。私がそう考えるようになったきっかけのひとつは、1年少し前に出会ったある女性でした。

Portrait

「姫!」と呼びかけたくなるこの凛と美しいお姿、ご存知の方も多いかも? 画家の藤田理麻さんです。麗しき才女ですが、お会いしてみると実に気さくでフレンドリー、本当にキュートな方なんですよ~。(by葉)

理麻さんの絵には未知の、けれどどこか懐かしい世界の風が吹いています。みずみずしい湧き水のように澄んだ空気感。どっしりしたタペストリーのように濃厚、かつ薄絹のように繊細な質感。そこにたたずむ少女の、吸い込まれそうに深い瞳。絵に見とれるうち、いつか迷い込んだ夢の中、はたまた遠い昔に別の人間であった自分が見た風景に「戻って」いく感じさえしてしまう・・・

Redberries

Red Berries(小さな赤い木の実):2006年制作
「NY郊外ロングアイランドの避暑地、、、。
キャンプしないと入れない奥地にある幻想的なスワンプ(沼地)が舞台です。夢です。」
(藤田理麻さんによるコメント:以下同)

Soundofaspen

Sound of Aspen(アスペンの音色):2006年制作
「ユタ州、ワイオミング州にまたぐイエローストーン国立公園を廻った時に夢みた風景です。」

Prayerforpeace

Prayer for Peace:(平和への祈り):2006年制作
「広島国際平和サミットのために依頼されて描いた作品。3人のノーベル平和賞受賞者たち(ダライラマ法王、デズモンドツツ大司教、ベティウイリアムス女史)から直筆サインと賞賛を受けました。」

Penguins

Penguins (皇帝ペンギン):2006年制作
「夢で見た光景です。」

でも以前はもっと違う「目に見えるもの」ばかりを描いていました。「それしか知らなかったから」と理麻さんは言います。美大生のころからニューヨーク美術界でも注目されてきた理麻さんですが、画家として活動をはじめた当初は悩みがいっぱいで、いつも苦しかったのだとか。芸術の世界でも“売れるか、売れないか”という問題は切実。仲間のアーティストの成功を喜ぶ気持ちの一方で「自分はどうなのか」と不安にさいなまれることも多々あったそうです。

あるとき日本での仕事を終え、ニューヨークに帰る飛行機の中で理麻さんは高熱を出してしまいます。「どんどん具合が悪くなって・・・ところが、現金を持って乗るのを忘れていたの」。JFK空港からマンハッタンまで、地下鉄だとすごく時間がかかるし、かなり混雑します。
どうしよう・・・
熱でふらふらしながら入管に並んでいると。

ふと目の前に金髪の女性が現れ「これを使いなさい」と理麻さんにお金を握らせたのです。キャッシュがなくて困っているなんて、誰にも打ち明けていないのに! 戸惑い、返そうとすると「いまここで、あなたはこれをいちばん必要としているでしょう」。ありがとう、と顔をあげたらその人はもういませんでした。周囲に聞いても「知らないよ」というばかり。ありがたいなぁ、とそのお金でタクシーに乗り帰宅し、それっきりなんとなく記憶の奥に忘れていました。

やがてまた出張の機会が訪れ、旅の途中に読む本を探しに書店へ。すると整然と並んだ棚の一番上から、いきなり一冊の本が足元にバサッ! 「なんだろう?」と拾ってみたら、なんと同じような出来事に出会った人々の体験談を集めた本でした。中には「飛行機の中で具合が悪くなったとき黒人の男性に助けてもらい、後でお礼を言おうと探したけれどそんな人は乗っていなかった」という話も!

同じころ、理麻さんにはチベット人と知り合い、友だちになる機会が増えていました。「それまでずっとニューヨークに住んでいたのに、チベットの人には会ったことがなかった。チベットがどんな土地なのかも、ダライラマ法王のことも、何も知らなかったの」。 
中国軍の侵入を逃れて難民キャンプで暮らした経験のある友だちは、難民キャンプではいつも食糧が不足していて、本やノートもなくて、勉強したくても出来なかった体験を教えてくれました。

 そんなある晩、夢の中でこんな声がしたのです。
<いま、チベットのためにあなたができることを、しなさい>

友だちの話を思い出した彼女は(私は画家だから、絵本を作ろう)と思い立ちました。チベットにまつわる昔話や民話を集め、挿絵を描き、チベット人難民の子どもにも、他の子どもたちにも読んでもらえるよう、チベット語と英語と日本語でお話を添え、自分で編集を手がけて出版したのです。そして数千冊を自費と募金で資金を集めて買い上げ、難民キャンプに寄付しました。

Tb10_1_2

インド周辺に結核で死んでしまう子どもが多いと聞いた理麻さんが作った、結核を予防する方法をやさしく説いた本。「TBAware」というタイトルで2007年末に刊行されました。

理麻さんの画風が変わったのはこのころでした。現在、絵を描くときのインスピレーションは「夢や、泳いでいるとき、瞑想しているとき」にもらうといいます。そうやって見えるヴィジョンは細部まではっきりしており、迷いなく描くことができるのだとか。仕事に対しても、名声や生活の安定ではなく「いま、自分がやるべきこと」という意識が生まれ、気持ちがすごく楽になったそうです。

さてワタクシ、わが身をふりかえり20代の頃よりも「出来るようになったこと」も多いとは思う。が、これからどうやって生活していこうとか、恋愛の悩みとか、悩みはつきないわけです。でもなんだかね、だれかと話をするとき、どこか知らない場所に行くとき、目には見えないものや、言葉には結ばれていないけれどそこにある思いや、そういうものにたいしてアンテナを開いてみたら、もうちょっと辛抱強くてものわかりのいい(ホントか)自分になれそうな気もする・・・。

みなさまの一年も、思いがけないワクワクに満ちたものになりますように! 今年もどうぞよろしくお願いいたします♪

 

★次回の更新は1月18日(金)です! 

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コメント

あけましておめでとうございます。
だーいぶ前に飛行機恐怖症なもんでここで楽しませてもらっていますとコメントいれてたものです^^
あれから毎週楽しみに拝見しています。
素敵な方ですね、理麻さん。最近東洋医学を研究してる友人と出会えて 聞こえない声、からだの内側からくる勘って大切なんだなと思い始めたところにこの日記を読み、改めて感動しました。
自分自身はまだよくそこらへんはわからないけれど、たまには内なる声に耳をかた向けて見ることも大事にしてみようと思いました。
今年も楽しいブログを楽しみにしています☆

みいさま 覚えております~。再びようこそ&あけましておめでとうございます! そうなんですよ、理麻さん。ほんとに素敵で「理麻さんがね」って人に話すだけでも私はニマニマしちゃうのです。彼女のホームページのギャラリーにはきれいな作品だけでなくユーモラスな作品もあるので、楽しいですよー。今年もどうぞよろしく!!

葉さん、こんにちは。
昨日はひょんな所でお目にかかれて嬉しかったです。
葉さんのエッセイが大好きでずっと読んでいますが、ブログをやってらっしゃるとは知りませんでした。
こちらでも美味しそうなレシピやNYでの素敵な暮らしぶりがかい間見れて嬉しいです。
これからも素敵なエッセイ楽しみにしてますね。

葉さんのレシピ“とりねぎ”(「NYで見つけた心地よい暮らし」から拝借)は私の得意料理になってます。
(*^_^*)

画家やアーティストたちは不思議なインスピレーションを持っている人が多いですね。
彼/彼女らはどこかからか啓示を受けていて、
 それを表現していると作品になっているというものです。
直感、予感、虫の知らせなどはみんなそういう啓示の類だと聞いたことがありますよ。

あと2週間くらいでNYへ出発します。
心配なのは天候のことくらいです。
飛行機が無事飛びますように!

葉さま

目に見えないものに意識を開く、、、急にはできないけれど、私もそうありたいと思います。私もフリーランサーとして生きていますが、ふーふー息切れしてしまったり、急に不安になったりで、心の中がしーんと穏やかななことがないんですよね。だからこそ、今このときに藤田さんの暖かな絵と体験を葉さまの文章を通して知ることができたのも、なにかの啓示なのかな、と思ってしまいます。今年もさらに素敵な年になりますよう!

私事ですが、版画の作品を作っている時に、これで最後の版にしようかな、もう一版刷ろうかなと迷っていて、その版をはじめて刷り合わせて見た時に、あぁこのイメージが自分で見たかったのだ、とわかるときがあります。うまく言えないのですが、見たことなかったけれど、このイメージを待っていたのね、という感じ。その感じがあった作品は、自分の中ではすっきり完成します。目に見えていなかったけれど、思い描いていたものが、表現できた時の嬉しい気持ちが、次へのエネルギーになるというか。
私はまだまだ自分の表現で四苦八苦だけれど、理麻さんのようにもっとひろい気持ちで制作していけるように修行してまいりたい~。
そりでは葉さん、今年もよろしくお願いします。

渡辺 葉様
「いま、自分がやるべきこと」をするっていう考え方はとても
素晴らしいですよね。
僕もフリーランスなので、今年の目標にしよかなって思います。
それが出来たら今よりもっと穏やかに暮らせるかもしれません。

前回の葉さんのベリーダンスの写真とても素敵でした。 
ちょっとセクシーすぎて目がクラクラ、じゃなくて頭がクラクラしてしまいましたけど。(笑)

asakoさま
おおもしかして、海森の! ワタクシもびっくり&光栄でございました。わ〜い♪ しかしあそこのもずく天ぷらはおいしいですねえ・・・(*海森は新宿三丁目の沖縄居酒屋です。酒もゴハンも美味し!) 今度一緒にゴーヤビール飲みましょう♪

庭ふくろうさん
そろそろ、そろそろ? ニューヨークはいま寒波ですよ! って、バンクーバーから来る人には「暖かい」かも!? 飛行機がちゃんと飛び、着陸するよう祈っておりますよ〜

Matzkeさま
フリーランス人生、自分で選び生きる自由と共に、いろいろな不安もつきものですよね。このあいだ会った音楽家が言ってました。「Live while you are alive!」って。
理麻さんのサイトに行くと、いろいろな作品が見られますよ! お薦めですっ

Yokoさま。
ふぅぅ〜〜む。それは興味深いですね! なんだかわかるような気がします。「アーティスト」と「自己表現」という言葉、並立して、あるいはつなげて語られることも多いけれど、自己をlet goしたところに「ああそうだったのか!」という瞬間があるってこともあるかも、という気がしてならないルリユール希望のワタクシです。今年もよろしくっ!!

由宇さま
ふぉふぉふぉ。どや? イケイケやろ?
しかし実に、いま自分がやれるのはひとつかふたつのことですもんね。「耳をすます」ってよく使う言葉ですが、もっと、もっと、その技を身につけようと私も思います。

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プロフィール

渡辺葉
渡辺 葉(わたなべ よう)
翻訳家・エッセイスト。慶応大学卒業後、カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校への留学を経て女優を志す。95年からニューヨークで暮らし始め、舞台女優として活動。現在はエッセイの執筆や料理本の翻訳などを手がける。料理とダンスが大好きな、好奇心旺盛な女性です。
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