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2008年3月

2008年3月28日 (金)

春の宵、ワインを楽しむ

 春の宵——というには少し肌寒いニューヨークですが、夏時間がはじまったおかげもあり、「もうこんな時間なのに、まだこんなに明るい!」と感動するこのごろです。
 「夏時間」と書いたけれど、春から秋にかけて時計の針を1時間早めるこの習慣を“summer time”と呼ぶのは英国式。アメリカでは“daylight saving time”=「日光節約時間」と呼ぶのです。んんん、いまいち情緒に欠けるというか・・・ミヒャエル・エンデの『モモ』に出てくる時間泥棒のおじさんたちを想像しちゃいませんか!?

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6時すぎても、まだ空は光を宿して。

 なにはともあれ、「夕暮れ」「黄昏」「薄暮」など美しい名前で呼ばれるひとときを1時間も多く楽しめるのは嬉しいことです。特にほっと気の緩む週末の夕暮れどき、気の置けない友だちとワインを飲みながらおしゃべりするのは嗚呼、至福のひととき♪♪
 
 ここ数年、ニューヨークでも「おいしいワインを、手軽に楽しもう」という感覚がわーっと盛り上がり、定着してきました。
 ワインの好みっていろいろですよね? たとえば同じ白でも「軽くてさっぱりめ」「草のように青々した爽やかさ」「トロピカルフルーツのように甘く芳醇」などいろんなタイプがあるし、あれこれ試して味比べしたいときもある。いまニューヨークに続々登場しているワインバーでは、さまざまな味を厳選して揃え、飲みごろの温度で、きちんとしたグラスに入れて、供してくれる。それもグラス一杯7~16ドル、というお財布事情に合わせやすいフレキシブルな値段設定で! 考えてみればワタクシがニューヨークにやってきた10ン年前は、こんな洒落たものなかったかも・・・あ、だけど公称26歳のワタクシ。10ン年前は十代だった筈なのでお酒が飲めるわけはなかったわ! あらー、ほーっほっほっ!?

 し、失礼いたしました。
 で、ワインバーの話でしたね?

 うれしい傾向としては、それと一緒に、ワイン+ちょこっとおいしいもの、が楽しめるワインバーもどんどん増えているんです。この「おいしいもの」はかなりのキーワード。それも、チーズやフルーツ、野菜を使った「一味変わったおつまみ」に力を入れるお店が多く、大拍手なのです。
 このあいだも、素敵なお店に行ってきましたよー。しかもとびきりのカワイコちゃんと一緒に。ワタクシってばもう、ウハウハ!!

 し、失礼いたしました。
 悪ノリが多いこのごろですが、
一緒に笑って済ませてくださいね(汗) 

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ここはフランス産を中心に揃えたワインバー「ソレックス」。ニューヨーク・ワインバーの先駆「ヴェローチェ」の姉妹店。

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本日のワイン友だちは“オリキューズ”ポルトガル編にも参加してくれた明代ちゃんです。オーナーの一人、クリストフさんと。

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レンガの壁。崩れた部分を「飾り」にしちゃうのが、ニューヨーク流インテリア!?

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なに飲む? と相談するのも、楽しいひととき。

 さてさて・・・何かいただきましょうかね♪
まずは、南仏コスティエール・デュ・ニームの白を。・・・なーんて言うといかにもワイン通みたいだけど、実はメニューに書いてあった「アプリコット、レモンの皮、桃のつぼみ」という“味ガイド”に惹かれたのでした。

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ワインのメニューも食べ物のメニューも、そのときどきの季節によって変わります。ブドウの種類と味の目安が書いてあるので、わかりやすい、選びやすい。

 うん、おいし~。

 軽めで柔らか&フルーティな飲み口、春のはじめにぴったりです。お供には、ブルゴーニュ地方名物のエスカルゴと、カニの風味いっぱいのミニ・クラブケーキを注文☆
 エスカルゴはひとくちサイズで、サクサクに焼いたパイにのって登場しました。熱々のところを、つまんで口にポイッ。そして冷えたワインをキュ~。
 「手でつまむ」食べものって楽しいですよね。クラブケーキは、いわゆる“カニクリームコロッケ”からクリームソースを除いたというか、カニの身がぎゅぎゅ~っと入っています。添えられたサラダは、いろんな種類のレタスやルッコラの若い葉っぱを軽いヴィネグレットであえたもの。いいですねー。春の味ですねー。

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 二杯目は、ピノ・ノワール種のブドウを主体にした、ロワール渓谷メネトウ・サロンの赤を頼んでみました。飲み口軽やかで、いい感じ。
 みなさんは、どんなワインが好きですか? ワタクシは以前住んでいたオレゴン州でピノ・ノワールに開眼してからというもの、赤といえばピノピノとつぶやいております。さらりと飲みやすいのに味わい深いところが、いいんです。

 おつまみには「アルザス風のタルト」を頼んでみました。薄くのばした生地の上にクレーム・フレッシュ(フランス風サワークリーム。酸味がいくぶんソフトなのです)をたっぷり広げ、とろとろに炒めたオニオンと細切りのベーコンをのせて焼いてあります。生地は薄いピザのようにさっぱりめ。玉ねぎの甘さとベーコンの香ばしさをとろーりとクリームが包んで…んむむむむ、これはおいしい!

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伝統的アルザス風の塩味タルト。

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夜も深まり、だんだんにぎやかになってきました。

どうです、堪能していただけましたか? え、まだ飲み足りないって? では、もう一杯だけ、みなさまとバーチャル・乾杯といきますか・・・ 

 

★次回の更新は4月11日(金)です! 

2008年3月21日 (金)

シゴト時間から、じぶん時間への橋渡し

 ♪月曜日は仕事にでかけ〜
  火曜日も仕事にでかけ〜
  テュリャテュリャテュリャテュリャテュリャテュリャリャ〜♪

と果てしなくリピートして歌いたくなる今日この頃(!?)
いま携わっているプロジェクトはもうすぐ終わるので、来月には「ヒマや〜」と叫んでいるかもしれませんが・・・とりあえず月〜土までオフィス通いをしているワタクシです。

 “シゴト時間”から“じぶん時間”への移行。みなさんはどうしてますか?

ワタクシはこのところ、“じぶん時間”への橋渡しに通っている場所があります。それは、メトロポリタン美術館。 昨年リニューアルしたばかりのギリシャ・ローマ部門が、いいんですよ~。金曜&土曜は9時閉館なので、仕事帰りに立ち寄ることもできるというワケ☆ 

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メトロポリタン美術館の正面ロビー。受付には日本語の話せる方も常駐しています。

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  「壮麗」という言葉が浮かぶ、古代ギリシャ部門。

 正面ロビーから左に折れると、広々した回廊に設置された大理石の像と、イオニア半島特有の黒や赤の釉薬を塗った陶器が並びます。実を言うと、チラッとのぞいたときは「前とあまり変わってないナ」と思っていました。
 ところが、その奥に・・・ドーンと広い空間が!
 ギリシャ部門と同じく大理石の像が並びますが、配置デザインの微妙なちがいなのか、こちらヘレニズム時代&ローマ部門はなんだか親しみやすい雰囲気。まるで、さっきまで散歩したり談笑していた人たちが「ぴたっ」と動きを止めたみたい(頭だけのヒトや鼻もげのヒトもいますが・・・わーっ、ホラー!?)
 訪れる人の反応もさまざま。あちこちに置いたベンチに腰掛け、彫刻とじっとにらめっこしている人。胸像と並んで“ツーショット”を撮る人。生身のヒトと大理石のヒトの距離が従来より「身近」な感じ。大きな天窓が“突き抜け感”を演出してくれるのか、この空間にはなにか気持ちのいい空気が漂っています

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ヘレニズム&ローマの間。大きな天窓から降り注ぐ光が気持ちのいい、中庭のような空間。

 しかしワタクシ的イチオシは、このメイン広間の横にある細長い回廊です。何気なく見た風景や、ふと聴こえた声。予期していなかったものに予期していなかったときに出会って、「うわー!?」と感動してしまうことってありませんか? この回廊で出会った壁画は、そんな出会いのひとつでした。

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紀元前一世紀後期、アウグスタス皇帝時代の宮殿の寝室の壁。頭部は女性、身体は鳥の妖精「セイレーン」は、東洋の羽衣天女のイメージと重なります。

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西暦79年のヴェスヴィオ火山噴火によって宮殿の大部分が損傷を受けたものの、残った一部を修復して展示してあるのだとか。

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 まず惹かれたのは、その色合いでした。「くれない」という言葉そのものの鮮やかな紅と、東洋的な静けさを思わせる薄墨色。絵柄がまったく「古くさ」くないことにもビックリ。はじめて見たときはずっと後の時代のものと思ったくらいです。紀元前一世紀にこんなモダンな感覚のデザインがあったとは!
 トロリと柔らかな蒼が基調の壁画には、海にまつわる神話の場面が描かれています。向かって左は、美しい海の精ガラテアと、彼女に夢中になってしまった一つ目の巨人ポリュペモス。向かって右は海の怪物の生け贄にされそうになったアンドロメダを助ける英雄ペルセウス。宮殿に住んでいた人々は、この絵を見てどんなふうに感じていたんでしょうね。

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海の精ガラテアに恋してしまった一つ目の巨人ポリュペモス。

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海の怪物に生け贄にされそうになっていたアンドロメダ王女を、メデューサを退治したばかりのペルセウスが助ける場面。怪物は「くじら」という説もありますが、これは「竜」に見えますね

 そして・・・この方を見たとき、ズギューンと心が貫かれてしまいました!

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何かを問いたげなつぶらな瞳。いまにも動き出しそうな全身の気配。二千余年という時を越え、こんなに生き生きとしていらっしゃるとは・・・ワタクシ、この鳥さんに惚れました。

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こちらは「黒の間」と呼ばれる寝室。漆黒ではなく、薄墨色の壁がミステリアスな印象です。

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欠けた一部には何が描かれていたのか・・・“永遠のかくれんぼ”をしている神話動物。

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部屋が薄暗く、輪郭もぼやけているため、いつも「何の場面か知りたいーっ」とジタバタしてしまう壁画。

二千年という時を経てきた品々の多くは、いまとなってはどこの誰が作ったのかわからないけれど・・・寝室の壁やさりげないガラスの器の向こうに、確かに生きていた人々の息吹を感じます。
——この首飾りをつけていたのはどんな女性? この鎧をまとっていたのは、どんな男性? どんな服を着、どんな髪型をして、どんな言葉を話して生きていたのだろう? 

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ローマ時代のガラス器。何を飲んでいたのかな

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ネズミの形の・・・急須?? 茶目っ気のある職人さんが作ったのでしょーか。

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これも茶目っ気! お魚のカタチの・・・何に使ったのでしょう?

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普通の人(貴族かもしれないけど)が、普通に使っていたはずの器たち。どんな料理を盛っていたんでしょう。味見してみたい!!

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「あのイヤリング欲しいかも〜」と、ついウィンドウショッピングをしてしまう、煩悩でいっぱいのワタクシです

二千年前に生きた彼らも、仕事や勉学や修業に打ち込んだり、悩んだり、「わーい♪」と踊りだしたくなったり、けんかしたり、恋をしたり、私たちと同じようにいろいろ感じて生きていたはず。無名の人々が残していった暮らしの軌跡を眺めていると、日々分刻みで暮らしたり、「あと何時間でこれ仕上げなきゃ」とカリカリしたりするうちすっかりコチコチに縮こまってしまった時間の感覚が、ふわーんと伸びる気がします(←乾いたお麩をぬるま湯に入れると「ぶわーん」とふやける、あの感じ)。
 
 1時間かそこら古代世界を“旅”して、ちぢこまった時間の感覚が開いたら、週末の“じぶん時間”を楽しむ準備完了♪ みなさまも、素敵な週末をおすごしくださいね!

 

★次回の更新は3月28日(金)です! 

2008年3月14日 (金)

オリエント急行プロジェクト「ポルトガル編」

 地下鉄に乗って異国にプチ旅行! を合い言葉に続投中の「オリエント急行プロジェクト」。これまで、中国ロシアを“旅”してきました。元祖“オリ急”パートナーのYoshikoさんに加え、今回は友人の明代ちゃんも参加。豪華3人編成の“オリキューズ”です。勢いあまってオリエントを飛び越え、ヨーロッパの西端、ポルトガルまで足をのばしてきました☆ とはいえ、実際に行ったのはニューヨークのすぐお隣ニュージャージー州のニューアーク。マンハッタンからPATHトレインという電車で15分くらいです。

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マンハッタン南、世界貿易センタービル跡から電車にのって、ニューアークへ。電車一本で行ける異国旅行のはじまり~

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ニューアーク駅からすぐのフェリー通りは通称「ポルトガル・アベニュー」。イベリア半島つながりで(?)スペインの城塞みたいなお店も出てきました。

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フェリー通りを歩いていったら、かわいい教会がありました。人々は日曜午後の散歩をゆっくり楽しんでいるようでした。

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3階建ての小さな建物が並ぶ商店街。なんだか庶民的でいい感じです。

 駅からすぐのフェリー通りをひたすら直進っ。目指すは数年前に行ったきりの店・・・名前も忘れてしまったのですが、ワタクシなぜか食べもの関係の店に関しては抜群の記憶力を持っておりまして。一度食べて「ウマイ!」と思ったら、鼻を頼りに再び探し出すことができるんですよ~。

 あった!
 が。
 なんだかひっそりした佇まいです。気合を入れて来たわりには日曜日の午後2時すぎという妙な時間帯を選んでしまった、ちょっとお間抜けオリキューズ。外したか!?と不安になりつつ扉を開けると。いやいやなんのなんの。満員大入りではありませんか! 入り口側のバーと奥のダイニングエリアに分かれているのですが、どちらも満席。しかしめげず、通りかかったウェイター君にオリキューズ・スマイル光線を浴びせてみました。
 うーむ、やはり笑顔は国境を越えますね。ウェイターのマリオ君、「僕にまかせて」と、ちょうどお勘定を終えたお客さんの席をささっと片付け、バーカウンターに座らせてくれました。

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これがウワサのSeabra's Marisqueira。アレッ、閉まってる? と思ったくらい、入り口は静かだったんですが、中に一歩入ると常連さん&地元っ子で大入り満員!

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この店の名はSeabra’s Marisqueira (←やっと判明) 「シーブラ家の魚介料理店」とかなんとかいう屋号のとおり、ガラス張りのキッチンには新鮮なエビ・カニやお魚が並んでいます。

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「ポルトガル味紀行? それなら僕に任せて!」と頼もしいマリオ君。

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楕円形の巨大なバーカウンター。週末の昼下がり、ワインやビールを飲みながらごちそうを楽しむ人々でいっぱいです。

 Yoshikoさんはロゼ、そして明代ちゃんはこっくりした赤、そしてワタクシはフレッシュな飲み口の白、ヴィーノ・ヴェルデ。それぞれ好みのワインを注いでもらいメニューとにらめっこしていると、「ほらよっ」とマリオ君が何か、お皿にのせてくれました。

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ポルトガル風ワインを手に、期待に胸踊らせるオリキューズ隊員。

 外はカリッと揚がった衣、中はトロ~リ。おお、ポルトガル風のカニクリームコロッケではないですか。ビ・美味也!!
思わず足をばたつかせてしまうほどのおいしさです。

私たちがあまりにもコロッケに感心していたので、マリオ君はすっかり“店自慢モード”に入った模様。「ほらよっ」とポーカーフェースで出してきたのは、なにやら卵サラダのような?
「カニ入りだよ。トーストしたパンにのせて食べてごらん」
おお! カニの甘さがこれまた美味也!!

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“突き出し”のカニクリームコロッケ。カリッ&トロ~リで感涙美味なり。

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“突き出し・その2”はカニ入りサラダ。熱いトーストに、ひんやり&ふんわりの組み合わせが、んも~(感涙美味その2)

 マリオ君のアドバイスを得て注文したのは・・・
・ガーリック風味のトリ貝(New Zealand cockles in a tangy garlic sauce)
・アレンテージョ地方の郷土料理、パンと魚介類の実だくさんスープ(Açorda de Marisco)
・こちらもアレンテージョ風、豚肉とアサリの煮込み(Carne de Porco a Alentejana)  

洗面器のような鍋いっぱいのトリ貝、ぷーんとガーリックの香りがただよいます。トリ貝ってはじめて食べるのですが、ハマグリの小柄なイトコみたいな、なかなかのお味。下にたまった汁にパンを浸して食べるのがまた・・・たまらん。

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ハーブ&ガーリックの香りたかいトリ貝。貝殻を手でつまんでそのまま「ちゅるん」と食べ、ワインで流し込むワケですよ。

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バーの中の大きなアルミ容器に並んでいたお魚たち。マリオ君に頼んで味見させてもらいました。左はイワシ、右はシシャモ。海洋民族日本人だもの、頭からバリバリ!

ワタクシ的に一番興味があったパンと魚介類の実だくさんスープは、さらに大きめの土鍋にて登場。卵を割り入れて混ぜ、お皿によそって「主菜」として食べるそうです。むむむ。こ、これは素敵! 魚介入りクリームグラタンのよう。
豚肉とアサリの煮込みはスパイスが効いていて、これも好きな味。醤油味とはまた違った、しかし“おいしい茶色”の味です(←おでん鍋で煮込んだゆで卵とかも、“おいしい茶色”だと思う)。これ、残りをゴハンにのっけて食べてもおいしいかも。魚介の「だし」を上手に使う手法は、形は違えど「アサリのみそ汁」と同じ原理ですよね。うーむ、味わい深いぞポルトガル料理・・・。

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ポルトガル南部、アルテージョ地方の郷土料理。アサリの「だし」が豚肉にしみて、野菜のピクルスの酸っぱさがアクセントに。これ、イケルよ!

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土鍋にぐつぐつと煮えているのは、パンと魚介入り実だくさんのスープ。生卵を割り入れてまぜまぜして食べます

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魚介入りクリームグラタンみたいで、優しく深みのあるおいしさ。

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バーカウンターの中に並ぶおつまみ(見えますか?)が気になる・・・。向こう側のお客はサッカーの試合に夢中のようす。

ああ、おなかいっぱい・・・食べきれなかった分は包んでもらいました。アメリカのレストランは、こうした「お持ち帰り」が定着しているので助かります。

それでもまだ終わらないオリキューズ。何を隠そう、この店に入ったときからデザート・ケースをチェックしていたのです。全員一致で選んだフランは、正しいプリンの味♪ クレーム・ブリュレのアイスクリームもカスタード味が後を引きます。

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卵たっぷりのプリン。ほんのりオレンジ風味なのは、たぶんオレンジフラワー・ウォーターを加えているのかな?

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クセになるおいしさ、クレーム・ブリュレのアイスクリーム。

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明代ちゃん(左)、ワタクシ(中)、Yoshikoさん(右)。酒も飯もばっちり、の万能(?)オリキューズです。

それにしても異国的なのに妙に落ち着くこの気配はなんだろう。
ポルトガル語には「サウダージ」という言葉があって、他言語に正確には訳せないほど微妙な意味合いを帯びているけれど、あえて訳せば「ちょっぴり切なくて甘い、もう帰れない過ぎし日々への想い」みたいな意味だと聞いたことがあります。ポルトガル料理は「サウダージ」な味なのかもしれない!?
 今度来るときは、バーカウンターの中にあった「イワシ&シシャモの丸揚げ」や「イカのゲソ揚げ」みたいなお惣菜を小皿で頼んで、ゆっくりワインを飲みたい気がします。みなさんも機会があったら、ポルトガル“美味プチ旅行”をおすすめいたしますよ~

 

★次回の更新は3月21日(金)です! 

2008年3月 7日 (金)

春を迎える焼き菓子2種

 わーい、3月になりましたよ!
 もうすぐ・はーる・ですねぇ♪
 という歌を思い出しちゃったり・・・しませんか? 20代の方、ゴメンナサイ。わかりませんよねぇ。なーんて、アタシもこの3月で26だけど! なーんちゃって、うっそ~ん! ほーっほっほっ(←すみません、壊れてマス)

 えー、ともかく。
 月のはじめって、新しい服をおろしたみたいな、シャッキリ嬉しい気持ちになりませんか? 「お、今月はこんな絵/写真か」なんてカレンダーをめくってみたり、急に明るい色の服を身につけたくなったり。
 
 春を待つ季節には、ふとお菓子を焼きたくなります。イースターが近いなあなんて思いながら卵を割り、朝から室温にしておいたバターを泡立て・・・。
 ところで、ワタクシが愛用していたお菓子作りの本にはよく、バターを「ポマード状にかくはんし」と書いてあったのですが、家族の誰もポマードを使っていなかったワタクシにはこれが大きな疑問でした。
 「ポマード状」って、“コテコテ”なんだろうか、それとも“でろでろ”なんだろうか?
 と、想像力の翼をいっぱいに広げ、夢想したものです。あげくの果ては(そういえば、“口裂け女”ってポマードが苦手なんだっけ・・・)
と、昔全国の小学生を恐怖のるつぼに陥れた不幸な女性(まったくのフィクションらしいですが、誰がどのようにでっちあげたのか?)を思い出したり。いかん、どうも油断するとすぐ70年代にスリップしてしまうこのごろです。

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ワタクシ愛用の私家版お菓子レシピ。これは! と思ったレシピは書き写したり、自分のレパートリーに加えたいものを書き写したり。

 話をもとに戻しましょう・・・春になるとお菓子を焼きたくなる、というお話でした。
 材料には粉と砂糖、バターと卵。あとはせいぜい果物かスパイスを加えるだけの、焼きっぱなしのシンプルなお菓子が、ワタクシは好きです。かわいいビスケットの缶などに入れておいて、朝、ハーフ&ハーフ(←生クリームよりさらっとしていて、ミルクよりコクのある乳製品。イギリスでは“ハーフ・クリーム”と呼ばれるそうです)入りのコーヒーと一緒に食べると、なにはともあれ「んむむむむ・・・」と幸せになります。

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小麦粉、砂糖、バター、卵・・・シンプルな材料で作る、焼きっぱなしのお菓子が好きです。

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朝はコーヒー党。フルーツとヨーグルト、そして自分で焼いたお菓子を少し。これで1日、幸せになれるっっ

<キャラメル風味の焼きっぱなしケーキ>

・砂糖100+130g
・ コーヒー用クリーム (または、生クリーム) 大さじ5
・バター(室温) 230g
・卵(Mサイズ) 5個
・薄力粉 230g
・ベーキングパウダー 小さじ1
・塩 小さじ1/4

1.小鍋に砂糖と水小さじ2を入れ、中火にかける。砂糖が溶けてブクブク泡立つまでは、かき混ぜないこと。

2.砂糖が泡立ち、焦げてきたら、鍋ごと小刻みに回すように揺する。いいにおいがして焦げ茶色のちょっと手前になったら火を止め、コーヒー用クリーム大さじ2(リッチにしたい時は生クリームでもOK)を入れ、さっと揺すって混ぜる。様子をみながらコーヒー用クリームを大さじ1ずつ、3回に分けて加え、キャラメルクリームを作る。

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砂糖+水+火=ほろ苦くて甘いキャラメル! 作る過程はけっこうスリルありますが、この方程式は素敵すぎる。鍋肌にこびりついたキャラメルは、ミルクを入れて弱火でとかし、キャラメルミルクをつくります。紅茶に入れてもgood!!!

3.大きめのボウルに、室温にしておいたバターを入れ電動泡立て器で混ぜる。“ポマード状”改めマヨネーズ状になったら、砂糖を2~3回に分けて加え、よく混ぜる。

4.2で作っておいたキャラメルソースを加え混ぜる。このあたりで、オーブンを180度にあたためておく。

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バターと砂糖がまざったら、キャラメルソースを加えてさらにまぜまぜ。

5.卵をひとつずつ割入れ、よく混ぜる。

6.薄力粉とベーキングパウダー、塩を混ぜてさっとふるい、2~3回に分けて加える。木べらでささっと切って返すように混ぜる(練らないこと)。

7.軽くバターを塗った16センチ丸形2個に入れて、あたためておいたオーブンへ。25~35分あるいは竹串を刺して何もついてこないようになるまで焼く。

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型に入れたら、一度上から「どん!」と落とすと、型の内部にたまった空気が抜けます。

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キャラメルの香り漂う、焼きっぱなしケーキ。ラップかビニール袋で4~5日はもちます。

<レモン&カランツのサブレ>

1.大きめのボウルに薄力粉225gと粉砂糖90g、塩ひとつまみを入れて混ぜる。

2.バター(冷たいままでOK)225gを角切りにして加え、指でちぎり、ほぐしながら混ぜていく。

3.さらさらのパン粉状になったら、カランツ1/4~1/2カップ(好みで調節)を加えてざっと混ぜる。小さめの卵1個、国産レモン1個分の皮をすりおろしたもの、レモン1/2~1個分の絞り汁を入れ、ゴムベラで混ぜる(レモン汁は最初に1/2個分を入れ生地のまとまり具合をみて足していく)。もし生地がべとつくようなら、薄力粉を少量ずつ足して、べとつきすぎない程度にまとめる。

4.生地をひとつにまとめ、ラップで包む。すぐに焼かない場合はそのまま冷蔵庫で数時間~2日ほど冷やし固める。すぐに焼く場合は、冷凍庫に数分入れてさっと冷やす。サブレの型抜きをする前に、オーブンを180度に温めておく。

5.調理台またはまな板に軽く強力粉をふって、サブレ生地をのし棒で厚さ7~8ミリにのばす。台の端に粉をひとつかみ置き、そこに型をうずめるようにして粉をまぶし、サブレ生地を抜いていく(カランツ入りなので、丸形や楕円形など、あまり複雑でない形を選ぶと失敗しない)。

6.型抜きしたサブレを、オーブン用シートを敷くか、軽く粉をふった天板に並べ、12~18分またはおいしそうな焼き色がつくまで焼く。

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レモンの香りとカランツの風味がきいてるサブレ。冷たいバターを切り混ぜるので、歯触りサクサクです☆

※カランツを入れずに、プレーンの「レモン・サブレ」としても、おいしくできますよ☆

 

★次回の更新は3月14日(金)です! 

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プロフィール

渡辺葉
渡辺 葉(わたなべ よう)
翻訳家・エッセイスト。慶応大学卒業後、カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校への留学を経て女優を志す。95年からニューヨークで暮らし始め、舞台女優として活動。現在はエッセイの執筆や料理本の翻訳などを手がける。料理とダンスが大好きな、好奇心旺盛な女性です。
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