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2008年3月21日 (金)

シゴト時間から、じぶん時間への橋渡し

 ♪月曜日は仕事にでかけ〜
  火曜日も仕事にでかけ〜
  テュリャテュリャテュリャテュリャテュリャテュリャリャ〜♪

と果てしなくリピートして歌いたくなる今日この頃(!?)
いま携わっているプロジェクトはもうすぐ終わるので、来月には「ヒマや〜」と叫んでいるかもしれませんが・・・とりあえず月〜土までオフィス通いをしているワタクシです。

 “シゴト時間”から“じぶん時間”への移行。みなさんはどうしてますか?

ワタクシはこのところ、“じぶん時間”への橋渡しに通っている場所があります。それは、メトロポリタン美術館。 昨年リニューアルしたばかりのギリシャ・ローマ部門が、いいんですよ~。金曜&土曜は9時閉館なので、仕事帰りに立ち寄ることもできるというワケ☆ 

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メトロポリタン美術館の正面ロビー。受付には日本語の話せる方も常駐しています。

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  「壮麗」という言葉が浮かぶ、古代ギリシャ部門。

 正面ロビーから左に折れると、広々した回廊に設置された大理石の像と、イオニア半島特有の黒や赤の釉薬を塗った陶器が並びます。実を言うと、チラッとのぞいたときは「前とあまり変わってないナ」と思っていました。
 ところが、その奥に・・・ドーンと広い空間が!
 ギリシャ部門と同じく大理石の像が並びますが、配置デザインの微妙なちがいなのか、こちらヘレニズム時代&ローマ部門はなんだか親しみやすい雰囲気。まるで、さっきまで散歩したり談笑していた人たちが「ぴたっ」と動きを止めたみたい(頭だけのヒトや鼻もげのヒトもいますが・・・わーっ、ホラー!?)
 訪れる人の反応もさまざま。あちこちに置いたベンチに腰掛け、彫刻とじっとにらめっこしている人。胸像と並んで“ツーショット”を撮る人。生身のヒトと大理石のヒトの距離が従来より「身近」な感じ。大きな天窓が“突き抜け感”を演出してくれるのか、この空間にはなにか気持ちのいい空気が漂っています

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ヘレニズム&ローマの間。大きな天窓から降り注ぐ光が気持ちのいい、中庭のような空間。

 しかしワタクシ的イチオシは、このメイン広間の横にある細長い回廊です。何気なく見た風景や、ふと聴こえた声。予期していなかったものに予期していなかったときに出会って、「うわー!?」と感動してしまうことってありませんか? この回廊で出会った壁画は、そんな出会いのひとつでした。

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紀元前一世紀後期、アウグスタス皇帝時代の宮殿の寝室の壁。頭部は女性、身体は鳥の妖精「セイレーン」は、東洋の羽衣天女のイメージと重なります。

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西暦79年のヴェスヴィオ火山噴火によって宮殿の大部分が損傷を受けたものの、残った一部を修復して展示してあるのだとか。

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 まず惹かれたのは、その色合いでした。「くれない」という言葉そのものの鮮やかな紅と、東洋的な静けさを思わせる薄墨色。絵柄がまったく「古くさ」くないことにもビックリ。はじめて見たときはずっと後の時代のものと思ったくらいです。紀元前一世紀にこんなモダンな感覚のデザインがあったとは!
 トロリと柔らかな蒼が基調の壁画には、海にまつわる神話の場面が描かれています。向かって左は、美しい海の精ガラテアと、彼女に夢中になってしまった一つ目の巨人ポリュペモス。向かって右は海の怪物の生け贄にされそうになったアンドロメダを助ける英雄ペルセウス。宮殿に住んでいた人々は、この絵を見てどんなふうに感じていたんでしょうね。

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海の精ガラテアに恋してしまった一つ目の巨人ポリュペモス。

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海の怪物に生け贄にされそうになっていたアンドロメダ王女を、メデューサを退治したばかりのペルセウスが助ける場面。怪物は「くじら」という説もありますが、これは「竜」に見えますね

 そして・・・この方を見たとき、ズギューンと心が貫かれてしまいました!

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何かを問いたげなつぶらな瞳。いまにも動き出しそうな全身の気配。二千余年という時を越え、こんなに生き生きとしていらっしゃるとは・・・ワタクシ、この鳥さんに惚れました。

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こちらは「黒の間」と呼ばれる寝室。漆黒ではなく、薄墨色の壁がミステリアスな印象です。

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欠けた一部には何が描かれていたのか・・・“永遠のかくれんぼ”をしている神話動物。

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部屋が薄暗く、輪郭もぼやけているため、いつも「何の場面か知りたいーっ」とジタバタしてしまう壁画。

二千年という時を経てきた品々の多くは、いまとなってはどこの誰が作ったのかわからないけれど・・・寝室の壁やさりげないガラスの器の向こうに、確かに生きていた人々の息吹を感じます。
——この首飾りをつけていたのはどんな女性? この鎧をまとっていたのは、どんな男性? どんな服を着、どんな髪型をして、どんな言葉を話して生きていたのだろう? 

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ローマ時代のガラス器。何を飲んでいたのかな

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ネズミの形の・・・急須?? 茶目っ気のある職人さんが作ったのでしょーか。

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これも茶目っ気! お魚のカタチの・・・何に使ったのでしょう?

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普通の人(貴族かもしれないけど)が、普通に使っていたはずの器たち。どんな料理を盛っていたんでしょう。味見してみたい!!

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「あのイヤリング欲しいかも〜」と、ついウィンドウショッピングをしてしまう、煩悩でいっぱいのワタクシです

二千年前に生きた彼らも、仕事や勉学や修業に打ち込んだり、悩んだり、「わーい♪」と踊りだしたくなったり、けんかしたり、恋をしたり、私たちと同じようにいろいろ感じて生きていたはず。無名の人々が残していった暮らしの軌跡を眺めていると、日々分刻みで暮らしたり、「あと何時間でこれ仕上げなきゃ」とカリカリしたりするうちすっかりコチコチに縮こまってしまった時間の感覚が、ふわーんと伸びる気がします(←乾いたお麩をぬるま湯に入れると「ぶわーん」とふやける、あの感じ)。
 
 1時間かそこら古代世界を“旅”して、ちぢこまった時間の感覚が開いたら、週末の“じぶん時間”を楽しむ準備完了♪ みなさまも、素敵な週末をおすごしくださいね!

 

★次回の更新は3月28日(金)です! 

コメント

葉さんこんばんは(&おはようございます)
NYはまだまだ寒いですね〜。
私もメトロポリタン美術館は大好きです!
週末ふら〜と行って、ふら〜と帰ってくる時に幸せを感じます!
金曜日の夜にはクラシックの演奏も聞けるしいいですよね。
あと、金曜日のモーガンライブラリーもお勧めですよ。7時以降は無料だし、素敵なトリオの演奏もあります。
またまたクラシック話になってしまいましたが、明日からプラハへ行ってきます!
いつか是非葉さんのチェロとデュエットしたいです。ブラームスなんてどうですか?
それではまたnote

私のシゴト時間からじぶん時間への橋渡しは、まず、暖かい飲み物と美味しいものをたべることです。今日は、期間限定のさくらんぼのプリンと、コーヒーでしたcherry

それから、好きな絵本を見ます。今日は『いつかはきっと』でした。この絵本、訳がすばらしいですheart02

心がパサパサになって疲れた時、私は、いつも、絵本を開きます。大好きな絵本はいっぱいです。

葉さんは、どんな絵本がすきですか?

美術館で本来の自分に戻るshine
すごくロマンチックですね。
私は会社帰りに必ず本屋を一周してました(笑)

それにしても、葉さんは、素敵な眼をしてらっしゃいますねflair
「寝室の壁」すごく素敵です。
広い美術館は、いろいろなものに気がつかずに通り過ぎちゃうことが多いじゃないですか。
何度も行けないところは特にそうですよね。
後になって「しまった~sweat01見るの忘れた」なんてweep
美術館(博物館)で、自分のその時の気分にマッチしたものに出会えると本当に幸せですよね。
毎回違う発見があって、本当に楽しいですhappy01
また素敵なものを紹介してくださいね!
私も9月になったら、年会会員になって、ゆっくり楽しみます!


葉さんご無沙汰してます!
だいぶ前にNYに押しかけたシノです。
覚えていますか?
実は以前からブログみて楽しんでいましたが
ようやく書き込みができるようになりました。。。
いつもステキなブログなので毎週楽しみにしています。
これからも葉さん節で頑張ってくださいね!
応援してますよん。

今回は時間がなくていけなかったメトロポリタン美術館、
この次は絶対に行きますからね~!(っていつのことやら?coldsweats01

メトロポリタン美術館heart01懐かしいです。大貫妙子さんの歌も大好きでlovely子どもの頃から憧れてた美術館に入った時の感動は今も忘れられません!!
しかーし、一旅行者の身分ではあの広い広い美術館をくまなく回る事は難しくまだまだ行けてない所が沢山あります。ホント広大で迷子になったりしましたがcoldsweats01それも含め良い想い出です
次またNY行ったときはゆっくり時間をとって行きたいと思いました。

こんにちは、葉さん☆

わぁ〜!懐かし〜い!
キンタローも私もメトロポリタンが大好きです。

特にキンタローのお墨付きはヨロイ、カブト展。いつも勇ましそうな顔をして眺めていました。エジプト展に行くと、キンタローはよくWalk Like An Egyptianのエジプト踊りを踊りウケのいいニューヨーカーたちを笑わせていました。爆

これから清々しい季節ですね〜
葉さん、いつも懐かしいNY便りをありがとう!(涙目)

葉さま

すっかり私も鑑賞した気分になりました。規模が並じゃないですよね。本当にすごい(←心からpaper
わたしは自分時間へのシフトがなかなか上手く出来ないので、ある日突然心と体の硬度に気づき、これはいかん!とあたふたと小旅行へと飛び出す始末です。でも参考になりましたよ。私も仕事帰りにぶらりと美術館に立ち寄ってみようと思います。でも空腹に勝てるかどうか自信はないのですが、、、。

今週もキンロー頑張ってくださいね。

Rieさま
おお、デュエット! 「ぜひっ」と言いつつ、ワタクシはまだじぇ~んじぇんへたっぴなのですsweat01 でも「いつかはきっと」(↓下記参照)って思うのは、その「いつか」への第一歩!
ブラームス、弾けるようになりたいです。がむばるぞ。

そうそうメト美術館、週末は2階カフェでいつも演奏してますね。あれって、カフェお向かいの回廊からでもけっこうちゃんと聴けるんですよね。モーガン・ライブラリーは知りませんでした。今度行ってみようっと!

オマーラさん
さくらんぼのプリンcatface
すてきっっ!
「いつかはきっと」グーグルしてみましたよ。かわいい本ですね。英語版手に入るカナ。探してみようっと! わたしも絵本好きです。これは大人向けですが、詩人岸田衿子さん+安野光雅さん絵の「ソナチネの木」はおすすめですよー。あと、アンネ・エルボー作「すきまのじかん」も、ほろりとおかしくていい感じです↓
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000030960198&Action_id=121&Sza_id=C0

ゆりりさま
本って「もうひとつの世界」ですよね。本屋さんにもひとつひとつ、独特の雰囲気があって。
メト美術館、わたしが持ってる「ネット・メト」のメンバーシップはいつでも入会可能みたいですよ。会員になると美術館ショップの買い物も割引になるし、なかなかオトクですdollar
寝室の壁、ぜひ見てみてくださいね~。

きゃひーん、しのちゃん!!!
ようこそおいでませ~。時折、どうしてるかな、元気かなって思っていましたわshine
タブラは叩いてますか? ニューヨーク、あれからずいぶん変わったよ~。書き込みありがとう! また遊びにきてくださいね!!

庭ふくろうさま。
そうですよねえ、今度また、ゆっくりいらしてください。夏のニューヨークもいいですよー。美術館散策+セントラルパークでお昼寝、とかclover

mujiさま。
ちょうど、東京の友人がCDを送ってくれたんです。わたしが以前、「そーいえば、大貫妙子さんの歌がもっと聴きたいなぁー」って言ったのを覚えてくれていて。その中に『メトロポリタン美術館』が入っていて、ああなつかしいなあ、こんな歌あったっけ・・・って聴いていたの! mujiさまのコメントを読んで「おおシンクロしている!!」とびっくりしました。
そうして先週は、ローマの石像をみながらあの歌が頭の中でぐるぐるまわっていました。

きむさま
キンタローくんのエジプト踊り、見たい・・・
あの大きな「デンダーの神殿」が彼の舞台だったのでしょうか。そして、ヨロイカブト部門は男の子には魅力かもしれませんね。しかしあんなに重そうなものを着て歩き回った・・・だけでなく戦っていたとは・・・

いつもコメントありがとう。ワタクシも、ここで世界中に住んでいるお友達に会える気がしてうれしいです!

Matzkeさま
小旅行は究極のシフト法ですよね! ヨーロッパはそれほど距離的移動をしなくてもまったく異なった文化圏をたずねることができるのでうらやましいです。
きのうはキンロー帰りにグラセン駅内の秘密のバーにて一杯ひっかけてきましたbar 壁&天井を飾る木彫りが見事で、なぜかドイツっぽいお店なのです。Matzkeさまもお仕事がんばってください♪

葉さま

そしたら是非是非キンロー明けに、軽くヨーロッパ一周にいらっしゃいませんか。プラハ、マイセン(ドレスデン)、ポルトガル、そして葉さまの第二のふるさとパリを回るのです。書いているうちに私まで楽しくなってきました。やっぱり旅はいいですよ。airplane

グラセン駅内の秘密のバーって、何だか気になりますね。バーだから、ドイツにいるみたいに「ビール大をおくれ!」と豪快には注文できないおしゃれな雰囲気なんでしょうな。私もたまにこじゃれた飲み屋に行きたいと思いますが、どうも気がつくとビールの匂いのする方に吸い込まれてしまうんですよね。
beer

明日の更新も楽しみにしています。お返事も毎回本当に楽しく読んでるんですよ。ありがとうございます。

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プロフィール

渡辺葉
渡辺 葉(わたなべ よう)
翻訳家・エッセイスト。慶応大学卒業後、カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校への留学を経て女優を志す。95年からニューヨークで暮らし始め、舞台女優として活動。現在はエッセイの執筆や料理本の翻訳などを手がける。料理とダンスが大好きな、好奇心旺盛な女性です。
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