古きよきニューヨークが味わえる、とっておきの本教えます
ニューヨークを舞台にした本というと、みなさんは何を思い浮かべますか?
たとえばF・スコット・フィッツジェラルド作『華麗なるギャツビー』は、“黄金の20年代”とも呼ばれた1920年代のニューヨークが舞台。若き日の恋人にもう一目会いたいがために夜毎、豪奢なパーティーを繰り広げる謎の富豪ギャツビーが主人公の、たまらなく華麗でせつないラブストーリーです。ロバート・レッドフォード&ミア・ファロー主演の映画を通じてご存知の方も多いかもしれませんね。
もうひとつの名作『ティファニーで朝食を』は、セントラルパークの東、アッパー・イーストサイドが舞台。オードリー・ヘップバーンの可憐さときたら、ああ、もう! ギターをつまびきながら歌う『ムーンリバー』、五番街の宝石店ティファニー前でのシーン・・・何度見てもウットリしてしまいます。
原作の結末は映画とちょっと違って、ビタースイート&ミステリアス。活字ならではの距離感がまたいい感じなので、過ぎゆく夏のお伴にページを開いてみてはいかがでしょう?
きらびやかな光が灯る、夕暮れ直後のニューヨーク。
『ティファニーで朝食を』のホリー・ゴライトリーが住んでいたアッパーイーストサイド。これは3月末に行われるアイルランド系のお祭り「聖パトリックの祭り」のパレード。
雪に覆われたセントラルパークからアッパーイーストサイドを眺めて。
それから、今日は、あまり知られていないニューヨーク本を2冊ご紹介したいと思います♪
ひとつは、シャイでおチビの黒猫ジェニー・リンスキーのおはなし。なんと初版は1944年! ずっと絶版になっていたのですが、アメリカでは数年前に復刻版が出てふたたび人気を集めています。
みなしごの黒猫ジェニー・リンスキーは、グリニッジ・ビレッジの一角にすむティンカー船長にひきとられます。ティンカー船長の裏庭は、近所の猫たちが集まって会議をしたり、ピクニックなど楽しい催しを企画する「キャット・クラブ」の集会場。でも内気なジェニーはなかなか「仲間にいれて」と言えません。でも優しいティンカー船長が編んでくれた赤いマフラーを首に巻くとようやく勇気が出て・・・
シャイなチビ猫ジェニーも、ティンカー船長が編んでくれた赤いマフラーを首にまくと勇気が出るのです。
ティンカー船長の釣り道具入れにまちがって入りこんでしまったジェニー。
仲間の猫たちに見つめられて怖くなり、思わず「ヤオ! 」と叫んで逃げ出してしまったり、同じくみなしごの猫チェッカーズとエドワードを「きょうだい」として迎え入れたものの、「ティンカー船長のおひざはあたしのものなのに」とヤキモチを焼いてしまったり。日々起こる事件のなかでジェニーが経験するいろいろな気持ちの「ざわざわ」には、多くの子ども(そして、昔子どもだった大人たち)が共感できるはず。思いがけずズーンと心を打つひとことが出てきたりして(私、ひとりで読んでいていきなり号泣してしまいました)、何度も取り出して読んでしまう一冊です。日本では福音館書店より『黒ねこジェニーのおはなし1・2』 (訳・松岡享子、張替恵子)として1982年に刊行。残念ながら現在は絶版なのですが、復刊希望本としてよく名前があがっているようです。図書館でも見つかるのではないかしら。
キャットクラブの面々。歌が上手なコンチェルティーナ(樹の上で歌っている)、踊りの名手マカロニ、ふたごのロムルスとレムスなど、個性豊かな猫たち。
「ジェニーがマフラーをなくしたおはなし」
友だちのピックルスとフロリオと一緒に夜のニューヨークを探検するジェニー。「キャッスル・ハンバーガー店」の窓にある「キャッスル・ハンバーガー25セント」「ロイヤル・キャッスル・ハンバーガー30セント」「スーパー・ロイヤル・キャッスル・ハンバーガー35セント」という値段表に40年代を感じます!?
ジェニーのそっくりさん、階下に住むマウ嬢。
もう一冊は『ティファニーのテーブルマナー』 。映画『ティファニーで朝食を』の公開と同じ、1961年に初版が出ています。作者のウォルター・ホービング氏は宝石店ティファニーの初代理事長で、数々のチャリティ基金や教育基金の設立者でもありました。
ティファニー・ブルーの装丁が美しい『ティファニーのマナーブック』。以前はティファニー宝石店の顧客に配っていたのだとか。
高校のころ、ある歳上のお姉さんに日本語版をプレゼントしてもらったのが、この本との出会いでした。高級なレストランでの正式なディナーなんて経験がなくて、ドキドキしながら読んだのを覚えています(日本版は鹿島出版会から。以前は白×黒に赤い縁取りの装丁だったのですが、復刻版は原書とおなじティファニー・ブルー!)このあいだふと書店で再会し、英語版を購入。改めて読んでみると、短いながらもエレガントで、ウィットの効いた文章なんです。たとえば――
「空中戦艦みたいに肘を突き出さないこと」
とか、
「ナイフとフォークを持ったままで会話するのはまったくかまいませんが、ナイフはお皿から数センチ以上はもちあげないこと。これさえ覚えておけば、ナイフを口につっこんでいるところを見つかる心配もありませんよ」(*以上の抜粋は、筆者訳)
おまちかね、「デザートコース」の章。
「これはやめましょう」の例。左「ナイフとフォークをこんなふうに持つと、ケンカを売っているみたいに見えます」 右「ナイフは皿から数センチ以上持ち上げないこと」
もう大人だからテーブルマナーは大丈夫・・・と思っていたら「あれ、そうだったの!?」なんて勘違いしていたことも発見してしまいました。イラストがかわいいので、「ハウツー本」というよりは絵本感覚で書棚に置きたい1冊です。
★次回の更新は8月17日(金)です!










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